「六龍が飛ぶ」時代背景:朝鮮王朝初代・太祖(李成桂)は易姓革命を成功させた愛妻家!予告動画
「六龍が飛ぶ」は、朝鮮王朝建国のために立ち上がった英雄たちの物語!そして新たな国の始祖となったのが高麗の将軍・李成桂…今回は劇中、チョン・ホジンが演じた朝鮮王朝初代王・太祖についてご紹介しよう!作品公式サイトで予告動画が公開されている。
■李成桂の登場(生1335~没1408)
李成桂(イ・ソンゲ)の高祖父・李安社(イ・アンサ)は元(中国)の支配地において4代続けて元の地方官だった。
李成桂は1335年、和寧府(元・咸興南道永興)で李子春(イ・ジャチュン)と妻の崔氏との間の嫡男として誕生。幼いころから聡明、大胆で、特に弓に長けていた。
「六龍が飛ぶ」でも、イ・ソンゲの弓の名手ぶりが各所で描かれている。
父・李子春は元が高麗出身の移住民に対して差別政策を実施したことに憤り、元に背を向けて高麗側につくことに。
当時、元の力が衰えると、高麗第31代王・恭愍王(コンミンワン)は反元政策を実施し、親元派の奇氏一族を除去しようと考えた。その意図を読み取った李子春が恭愍王と会って協力を申し出て、李成桂と旧領回復に一翼を担った。この功績で李子春は高麗の官職に。李成桂は二十歳になる前から弓の名手として知られ、父・子春と共に高麗の旧領地で元の占有地だった双城地域で勢力を築き始めた。そして、高麗が李子春の助けで双城にあった元の総管府を陥落させた後、高麗の辺境を守る主翼として成長していった。
「六龍」の第1話(全50話版) に登場する寸劇は、李子春が元に背を向けて高麗側に着いたことを裏切り者として嘲笑ったのだ。第1話詳細あらすじで紹介。
李成桂(チョン・ホジン)■李成桂は高麗最高の将軍
李成桂は、民の生活を脅かす紅巾賊と、朝鮮半島沿岸を荒らす倭寇を掃討し、1356年~1388年まで、30年余りを戦場で生き抜き、一度も敗れることなかった。民からは英雄としてあがめられ、常勝将軍として戦いに勝つたびに地位が上がり、1388年には首相格の門下侍中の次の位の守門下侍中となった。
1388年、明が高麗領の割譲を通告してきたため、李成桂は明の遼東を攻略するために鴨緑江下流の威化島に陣を構えたが、矛先を変えて遼東征伐を命令した崔瑩(チェヨン)を追放、高麗第32代・禑王(ウ王)を廃位して政権を掌握した。
これが「六龍」第20話(全50話版)辺りで描かれた「威化島回軍」だ。遼東征伐を反対し、威化島回軍した理由(四不可論)についても説明している。
また、崔瑩は「シンイ-信義-」でイ・ミンホが演じた武臣。
李成桂(チョン・ホジン)■李成桂、朝鮮太祖に!(在位:1392.7-1398.9)
禑王のあと息子の昌王(チャンワン)が即位するが、李成桂は新たに恭譲王(コンヤンワン)を擁立。この時朝廷の重臣の中には李成桂を王に擁立しようとしたが、本人が辞退した。
「六龍」でも王位に就くのを固辞する姿が描かれている。また家族思いの一面も度々観られるが、実際の李成桂も家族思いでとても穏やかな性格だった。
しかし、最後の政敵・曺敏修(チョ・ミンス)が失脚すると、李成桂を王にしようとする動きが加速し、ついに3年後の1392年、鄭道伝(チョン・ドジョン)、息子の李芳遠(イ・バンウォン)らの推戴で王に就いた。こうして474年続いた高麗王室は幕を下ろした。翌年、国号を朝鮮として李成桂は朝鮮王朝の初代王・太祖に。そして都を開城から漢陽(今のソウル)に遷都した。
新王朝誕生までのごたごたは【高麗王朝系図】で確認できる。また、「六龍」第37話(全50話版)でも描かれる。
朝鮮王朝開国が“易姓革命”と言われるのは、王氏による王室から李氏による王室に変わったことから。これについては「六龍が飛ぶ」第17話(全50話版)で詳しく解説。
李芳遠(ユ・アイン)■後継者争いに疲れた太祖
鄭道伝を中心に新王朝の基盤づくりが急ピッチで進められたが、すでに太祖は58歳。すぐにも世子冊封をしなければならなかった。太祖には生涯で二人の正妃と4人の後宮(側室)から13人の子どもをもうけた。そのうち8人が王子で、太祖は寵愛する継妃の子で八男にあたる幼い息子・芳硯(バンソク)を世子にしようとした。しかし、五男の李芳遠らが不満を唱えて「第一次王子の乱」を起こした。1398年9月に太祖が王位を退き、次男の李芳果(イ・バングァ)が第2代王:定宗となった。
太祖の退位と定宗については「朝鮮王朝第2代王・定宗(李芳果)は傀儡王?」で詳しく解説している。
■亡き妻を忘れられない愛妻家・太祖の最期
太祖の妻(神徳王后康氏(カンシ)が1356年7月12日に亡くなると、太祖は妻が忘れられずに、墓の傍に小さな庵を建てそこに籠った。朝夕欠かさず番茶を捧げ、その後、後宮を娶るものの亡き妻への想いは募るばかり。とうとう亡き妻のために興天寺を建立し、墓と寺を守ることを日課とし、その妻の産んだ子供たちと時を過ごしたりし、1408年5月24日、昌徳宮別殿にて享年73歳で生涯を終えた。
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