「逆賊-民の英雄ホン・ギルドン-」最終回考①：ドラマの悪人たちと実在人物の末路は？キャスト紹介も

民のために愛のために立ち上がった無敵の英雄ホン・ギルドンを主人公にした大ヒット韓国時代劇「逆賊-民の英雄ホン・ギルドン-」の最終回は、悪人たちを成敗したスカッとする結末だった！悪人たちの末路と史実に残る実在の人物たちの最期、そして演じた俳優たちを紹介しよう…予告動画は作品公式サイトで公開中だ。（最終回ネタバレ）

※各話のあらすじと見どころ、時代背景や豆知識は【「逆賊」を2倍楽しむ】でまとめている。
また、ドラマが伝えたかったこととドラマのその後については、最終回考②で紹介している。

■上を軽んじた暴君の最期
史上最悪の暴君、燕山君は史実と同じく流刑に処せられ、流刑地で病死した。ドラマでは暴君と化すまでの人間イ・ユンの知られざる素顔も丁寧に描いていただけに、流刑地に送られる途中、最愛のノクスの最期に号泣するシーンに敵役ながらもらい泣きした視聴者も多かったのでは？
死の直前、ギルドンが現れたのは夢か現か？「暴力と恐怖による治世」という燕山君の政治理念を「臆病者の悪あがき」と誹られ、彼の罪名を真の上とは何かわからず上を軽んじた「凌上」と言われてしまった。ギルドンのいう“上”とは民であり、民をいつくしむ君主のことだろう。
臨終に際してもなお狂気だった歴史上の人物を俳優キム・ジソクが全力で体現していた。

■暴君を止めなかった悪人の最期
妓生から王の側室にまで上り詰めたノクス（コンファ）は、ギルドンの救いの手を断り王の女として最期を遂げる決心をした。彼女を罵倒する民の前でも毅然とした態度の彼女は、得意の歌まで披露し、民の怒りを煽り、投げつけられる石つぶてに当たって死亡。
朝鮮三大悪女のひとりとして残る実在の張緑水（チャン・ノクス）の最期は斬首だったが、放置された遺体の上に、人々から投げつけられた石で、ドラマのようにたちまち石塚が出来たという。ドラマで、廃王が号泣したのはこの石塚を見てノクスの無残な死を知ってのことだった。
ドラマの随所で得意の舞や歌も披露した女優イ・ハニは、このチャンノクス役で2017 MBC演技大賞での女性最優秀演技賞を受賞した。

もう一人最後まで燕山君に仕えたキム・ジャウォン。俳優パク・スヨンが演じたこの人物も実在の人物で、燕山君を唆して彼の生母・廃妃尹氏の死に関わった者を処刑（甲子士禍）させたひとり、金子猿（キム・ジャウォン）がモデル。ドラマ同様、内官として最高の権力を握ったが政変後に行方知れずになっていて、その後の彼に関する記録は見当たらない。
ドラマでは、首つり自殺を図るが、ギルドンに止められ、暴君を止められなかった罪を生きて償いたければ自分のところに来いと、メモを渡されたが、その後登場しないところを見ると、ドラマのジャウォンもまた行方知れずなのかも。

■天に唾した母子の最期
ギルドン一家が奴婢として仕えていたチョ参奉の妻パク氏と息子ジョンハク（スハク）の最期は、まさに「天に唾する」ものだった。同じく命懸けでギルドンを倒そうとしたチュンウォン君（キム・ジョンテ扮）は、ひと足先の最終回前話で反乱軍たちに取り囲まれて矢で射殺された。
当時の儒教の教えの下に作られた身分制度で「奴婢」は、牛馬と同等。ところがギルドンの父アモゲに夫を「鎌で殺害」され、皮肉にも夫が宝物のように隠し持っていた「廃妃の手紙」でアモゲは無実となってしまった。
そんなパク氏が「廃妃の手紙」で息を吹き返し、再びギルドンたちに挑んだが、結局、ギルドン成敗に失敗したことで息子もろともあれほど嫌っていた「奴婢」の身分に落とされてしまった。

息子のジョンハクは政変の時に城門を開いたものの、「廃妃の手紙」のためにその功績は認められなかった。そして5年後、病気になった母を女主人が生きたまま捨てたことに怒り心頭となり、鎌を片手に主を殺害しようとした。しかし、現場を取り押さえられ投獄されてしまった。夢か現かギルドンが現れ、「お前たちが蔑んだ奴婢暮らしに、人として耐えられるか」と言い捨てた。
多くのドラマで憎まれ役を演じて来た女優ソ・イスクの悪役ぶりは見事で、彼女もまたパク氏役で黄金演技賞を受賞した。その息子を演じたのは俳優パク・ウンソク。

■政変を利用した男たちの最期
燕山君排除を計画した人物でありながら、パク・ウォンジョンによって流刑に処されたソン・ドファン。一時は燕山君の腹心として寵愛されたものの、ギリョンの正体を見抜けなかったことで王の逆鱗に触れ冷遇された。そして王の廃位を決心した。クーデターを成功させるには名分が必要と、ギルドンの協力で民心を得る計画をたてた。パウ・ウォンジョンを前面に出して自分は影の支配者にならんとしたが、結局目の上のたん瘤よろしく、ウォンジョンによって流刑に処せられてしまった。
流刑地で再起を図っていたが、現れたギリョンに、新王がキム・ジョンジクの弟子たちを台諫に起用したと聞き、再起の望みを絶たれた。彼らこそドファンが排除してきた一派だったから。失意の果てに首つり自殺した。
ドファンのモデルとなったのは、名前は違うがクーデターを最も早く準備していた成希顔（ソン・フィアン）ではないだろうか（参：第11代・中宗は担ぎ上げられた弱腰の王？）。もっとも成希顔は次の王、中宗の治世で文臣の最高位である領議政まで上り詰め、その4か月後に病死している。
演じたのは時代劇から現代ドラマ、悪役から善人まで実に演技幅の広い俳優アン・ネサンが、当時の儒教の教えに取りつかれた不気味な役で盛り上げてくれた。

政変を成功させた立役者で燕山君に引導を渡したパク・ウォンジョン。その功績から新王の治世では大きな権力を握ったようだったが、彼もまた大きな力を握った後、民を苦しめ、ギルドンたちに成敗された。
パク・ウォンジョンも実在の朴元宗（パク・ウォンジョン）がモデル。朴元宗は燕山君の信任を受けて要職についていたが、疎まれて左遷された。また、【韓ドラコラム】「■暴君の恐怖政治スタート」でも紹介したように、彼の姉が燕山君に凌辱されたことを苦に自殺したことで暴君を恨んでいた。こうした不満と恨みを成希顔に利用されて、政変の首謀者になった。
朴元宗は、政変の成功で一等功臣として平城君に奉じられて重職を歴任したが、中宗即位から4年後に44歳で急死している。脚本のあまりの面白さにまさかギルドンたちが？と疑いたくなる。
出番は少なかったが燕山君に引導を渡すという重要な役どころを俳優チェ・デチョルが目の演技で盛り上げてくれた。

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