「蒼穹の昴」豆知識:春児が選んだ宦官って?中国奇習の伝統と人間模様を知る

2019年05月22日14時27分ドラマ
(C)アジア・コンテンツ・センター、北京華録百納影視、
博報堂DYメディアパートナーズ/浅田次郎・講談社

BS日テレで好評放送中の浅田次郎原作の日中合作ドラマ「蒼穹の昴」!文秀と春児が宮中で頭角を現してきて面白くなってきたが、今回は、春児が選んだ出世への道“宦官”について紹介、ドラマ予告動画はYoutubeにて公開中だ。
(※この記事は、【「蒼穹の昴」を2倍楽しむ】の「コラム」より一部抜粋、リライトしたものです)

■宦官は立身出世の方法!
科挙において状元となった文秀の努力はかなりのものだと考えられるが、ドラマでは春児が苦労する様子の第5話までと描写が長かった事もあって、春児が周囲に認められるようになる場面は見ていて胸がスッとしたり我が事のように嬉しくなってしまう方もいたのでは?
春児が選んだ宦官というのは、漢族の女性が足を縛って小さくする「纏足(てんそく)」という風習と並んで中国の二大奇習とされている。宦官は男性、纏足は女性に対して人体を強制的に奇形状態にするものだが、宦官は宮中にこそ求められる存在であった事から立身出世の方法としていつしか中国の歴史に定着していき、韓国時代劇にもたびたび登場する。「蒼穹の昴」の舞台である清朝においては宦官が存在して当たり前の時代だた。貧しい庶民が最後に賭ける出世の糸口として受け継がれてきたという背景を知ると、意地悪な先輩宦官にもちょっぴり情が沸く…かもしれない。

余談だが、1994年のイタリア映画『カストラート』がるが、カストラートというのは去勢された男性歌手の事で、近代以前のヨーロッパに存在していたそうだ。男性の声は低くなるものですが、男性でありながら高音の声を保つために去勢をしたのがカストラートであるので、身体的特徴は宦官と同じと言えども役割は全く違う。かのベートーベンも年少時は素晴らしいボーイソプラノでカストラートになる事を周囲に嘱望されていたそうだが、これについては[コラム]③で詳しく説明している。

■宦官の人生を綴った本
今回紹介する一冊は『最後の宦官秘聞 ラストエンペラー溥儀に仕えて』(NHK出版)。宦官について記された本は数々あるが、学術的に宦官を分析したものはかなり内容が生々しくて苦手に思う方にもお勧めできる一作。この本は実在した老宦官による証言を元に書かれた話であり、物語風に綴られているのでかなり読みやすい。主人公は孫耀庭(そんようてい)という宦官だが、浄心した日の4日後に辛亥革命が起こって実際に奉公する時は中華民国になってからという劇的な運命を辿る。清朝が滅亡しても溥儀を中心とする皇族の生き残りに使えるものとして細々と宦官たちが生きていた時代が描かれており、宦官の生き方を知る上では分かりやすく手に取りやすい一冊といえる。もっと詳しい本の情報は、[コラム]③で詳しく説明している。

BS日テレ「蒼穹の昴」番組公式サイト
 2019.05.10スタート 月~金10:00-11:00
Youtube「蒼穹の昴」予告動画
 ※2019年5月10日~2019年6月13日(予定)放送!

ドラマをもっと楽しむためのコーナー 【「蒼穹の昴」を2倍楽しむ】