チャン・ヒョク「カネの花」最終回考:ドラマが伝えたかったこと、最終回ネタバレとロケ地・無心園紹介
韓国ドラマ「カネの花 愛を閉ざした男」の最終回を見て、改めて本作の伝えたかったこと、最終回ネタバレあらすじ、そして欲心にまみれながらも美しく輝いた「無心園」のロケ地を紹介しよう。本作はDVDも大好評発売中で、作品公式サイトで予告動画が公開されている。
【「カネの花」を2倍楽しむ】では、各話の詳しいあらすじと見どころ、チャン・ヒョク来日ドラマイベント、記者会見の再現レポート、インタビューなど、ドラマを楽しむための情報がぎっしり詰まっている。
■同族経営へ警鐘を鳴らす!
「カネの花 愛を閉ざした男」は、何より利益優先の悪魔的な資本主義の時代に、人の純情が金に打ち勝つという“ファンタジー”を願い、金に支配されるのではなく、「金が人間の下にあるべき」という主張を諦めたくなくて制作された。(韓国ドラマHPより要約)
チャン・ヒョク扮する家族を奪われた主人公が、ピルジュと名を騙って20年以上もの間復讐の準備を重ね、自身も復讐のために心を閉ざしていく。そしてついに財団の会長の座に上り詰めた時、長子優先の世襲制が骨肉の争いを引き起こしたと気づき、本来あるべき企業の形にして退陣、犯した罪を償うために刑に服す。ピルジュが考えたそれは「企業の最高経営者を独立した理事会の公募により選出する」ことと、「名誉会長の財産を新薬の研究開発費に投入」こと。
ピルジュ達を苦しめた長子優先の世襲制(長子継承の原則)は高麗時代から始まった。元々は、後継者争いを避けるために高麗王朝を建国した初代・王建が「訓要十条」の中に残した(参:【高麗王朝系図】)。これは次の朝鮮王朝(【朝鮮王朝系図】)でも続くが、嫡男問題も絡んで、却って激しい骨肉の争いを引き起こすことに。6月現在NHKBSで放送中の「不滅の恋人(原題:大君)」もこの長子継承の原則が悲劇を産んだ物語。
また、近年韓国の財閥一家が問題を起こすニュースが日本にも多く伝わってきているが、韓国は今も財閥が巨大権力を握っており、ドラマで描かれるような特権意識を持つ者も少なくないようだ。31話(全32話版)で記したが、「チャン一族の実子かどうかは一切関係なく、能力のある者が会長になるべきだ」という言葉に、本作は韓国財閥にみる同族経営へのアイロニー(皮肉)と警鐘を鳴らしている作品と言えよう。
■最終回ネタバレ
3年の刑期を終えたピルジュが屋上で復讐にピリオドを打った時、背後から近づいたのは、チャン名誉会長の婚外子を名乗るチャン・ユチョルだった。名誉会長が予見した通り、同じ婚外子でありながら名誉会長に認められ、決してユチョルをチャン姓で呼ばなかったピルジュを恨んでナイフで何度も刺した。主人公死亡でドラマ完結となるのかと心配したが、モヒョンがピルジュを助けた。結局モヒョンは2度もピルジュを救った。
傷が癒えたピルジュは加平の実家で静かに暮していた。そんな中、チョンアグループのCEOが解任され、新たなCEOを迎えることに。その方法はピルジュが導入した公募による選出法だ。常任理事として不正などに厳しく目を光らせているモヒョンは、適任者としてピルジュを思い浮かべ、加平に「チョンアバイオ持株会社 最高経営者公募要項」を送った。ピルジュは本当のピルジュに名前を返し、チャン・ウンチャンとして「代表理事候補の面接」を受けに行く。
面接の日、社屋のビルでエレベーターから降りて来たのはブチョン。だが2人が約束通りに見知らぬそぶりでやり過ごす。30分のプレゼンテーションの後、新しい人生を歩き出したチャン・ウンチャンをモヒョンがそっと見送った。
■緻密なストーリー展開と圧巻の演技力
本作は予測のつかない物語の展開と、演技巧者たちの迫真の演技で第1話から8週連続で同時間帯視聴率1位を独走した。結果的に高視聴率を記録したが、もし、視聴率を優先すればチャン・ヒョクのアクションやヒロインのパク・セヨンとのロマンスをもっと増やしただろう。その方が話題性は高くなる。しかしそれをしなかったことが本作の物語を光らせ、ピルジュという主人公の人物像を際立たせたた。
そしてイ・ミスクの演じたマルランの描き方も素晴らしかった。ピルジュとマルランとの絡みは、主人公カップルのロマンスよりもセクシーでときめいた視聴者も多かったようだ。マルランのピルジュを見つめる熱い眼差しや度を超えた信頼は何を意味しているのか?それが最終回、混乱した精神状態のマルランが教えてくれた。彼女はピルジュの中に誰よりも早く亡夫スマンを見つけていたのだろう。銀行頭取の娘でおそらく傲慢に暮してきた彼女は、スマンをどう愛していいのわからなかった。その結果、殺人を命じ、婚外子を夫の子と思い込むために新たな殺人も犯してしまった。
また、後半になるにつれてどんどん演技に深みが出て来たブチョン役のチャン・スンジョとの関係も良かった。今どき流行りのブロマンスとまではいかなかったが、2人の間には確かに友情以上、兄弟未満の関係が存在した。さらに開き直ってからのモヒョン役のパク・セヨンもよかった。最終回、モヒョンが告白した後、歩み寄ったピルジュがキスするのかと思いきや、手を握るだけで立ち去る。この関係が、最終回ラスト、何も言わずにピルジュを見送るモヒョンの姿につながる粋な演出だった。
実際のところ、チャン・ヒョクとイ・ミスク、イ・スンジェらベテラン勢の圧巻の演技で、若手のパク・セヨンとチャン・スンジョは少々印象が薄かったが、ラストの3人を中心にまた違ったテーマでの続編を見てみたいものだ。
写真:慶源斎アンバサダー仁川■ロケ地:無心園
宮廷時代劇がほとんど宮殿内で展開されるように、本作の多くが名誉会長の自宅である“無心園”が舞台だった。無心園のバックにはソウルの高層ビルが立ち並び、まるでそこだけが時代の流れが止まっているようだった。特にライトアップされた夜の無心園は、そこでドロドロ復讐劇が行われているとは信じられないくらい美しい。この美しい無心園は仁川松島にあるセントラルパーク内の「慶源斎アンバサダー仁川」という格調高い韓屋式の宿泊施設がロケ地。韓国のライフスタイルを体験するのにぴったりのホテルだ。
住所:200 Technopark Ro Yeonsu Gu 406 840 仁川 大韓民国
⇒ホテル詳細
「カネの花~愛を閉ざした男~」のDVDは大好評発売中!
■キャスト
カン・ピルジュ役:チャン・ヒョク
ナ・モヒョン役:パク・セヨン
チャン・ブチョン役:チャン・スンジョ
チョン・マルラン役:イ・ミスク
■DVD-BOX ⇒DVD・OST・関連書籍・公式グッズなど一覧表示
2019年1月5日(土) DVD-BOX1 発売
DVD-BOX2 2019年2月2日(土)発売 (全2BOX)
全24話/BOX1、2 各16,800円(本体)+税
発売元:コンテンツセブン
販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
◇公式サイト
【作品詳細】【「カネの花」を2倍楽しむ】