「太陽を抱く月」最終回考:キム・スヒョンとチョン・イルの演技対決に括目!第20話を振り返る
「太陽を抱く月」は視聴率40%を超えた作品だけに、最終回でも名シーンがどっさりあったが、やはり同じ女性を愛した弟・フォン役キム・スヒョンと兄・陽明君役チョン・イルの演技が際立っていた!ここではそんな2人をはじめ「最終回の詳しいあらすじ」では伏せたメインキャストたちによる名シーンやその後の活躍ぶりを紹介しよう!予告動画はYoutubeにて視聴できる。
●最終回(20話)詳しいあらすじ
※【「太陽を抱く月」を2倍楽しむ】では各話の詳しいあらすじと見どころ・豆知識、ネタバレなしのあらすじ、キム・スヒョンとハン・ガインとキム・ユジョンが来日したイベントの再現レポートや見どころなどまとめて紹介している。
■報われぬ愛に死を選んだ陽明君(チョン・イル)
最終回前話でフォンを裏切ると見せかけてからの、最終回序盤での陽明君の壮絶な死は、何度見ても涙腺崩壊必至のチョン・イルの名演技だった。
「一時期、すべてを手に入れた殿下を恨み、殿下の地位を欲したこともありました。でも王の座を手に入れるより、友と弟の方が私には大切でした。どうか立派な君主になって下さい。そしてあの娘と我が国の民をお守り下さい」このセリフが、殺されたのではなく自ら死を望んだことを印象付けた。
この無情な結末に「陽明君を殺さなくてもいいのに・・・」と文句を唱えた視聴者も多くいたようだが、これは致し方ない。最期の一瞬に見たのも少女だったヨヌだし、親友ウンの前に幻となって現れた時にも「心ゆくまでヨヌのことを想える」から死んでよかった発言まで飛び出している。ここまで想いの強い男が、ヨヌが弟と幸せに暮す姿を目の当たりにして正気でいられるはずもない。宮廷には、第2第3の“ユン・デヒョン”がうじゃうじゃいる。陽明君のヨヌへの恋心はいつ自分で制御できなくなるかもわからない。それには死を選ぶしかなかったのだろう。それでも陽明君の死が受け入れられないという方は、演じたチョン・イルの7年後の作品「ヘチ 王座への道」で溜飲を下げてほしい。
■寡黙な男・ウンの悲しい問わず語り(ソン・ジェリム)
いつも陽明君から「自分の友か?王の忠臣か?」と選択を迫られていたウンことジェウンが、亡き陽明君の幻に向かって「今でも私を友と思ってくれていますか?」という質問にも泣かされた。幻の陽明君の答えは「無論、これまでもそうだったようにこれからもそうだ」。ブロマンスに弱い筆者はこの言葉に涙腺が決壊してしまった。ウンを演じたソン・ジェリムは本作の後、時代劇では見かけないが、現代ドラマでは大活躍している。「パーフェクトカップル ~恋は試行錯誤~」ではダメ男で主演、「君の歌を聴かせて」ではミステリアスなナム・ジュワン役と幅広い演技で楽しませてくれている。
■ヨム、幸福になるためのバックハグ(ソン・ジェヒ)
ヨムのバッグハグもよかった。自分のために命を落としたソルが少女のころから自分を好きだったことさえ気づかなかったヨム。そんなヨムの背中を押したのは、天国に行ってもひたすらヨムの幸せを願うソルの気持ちだったのかもしれない。若きキラキラ・ヨム役のイム・シワンからバトンを受けた時にはイメージが違うという声もあったソン・ジェヒだが、最後に降格されても堂々とした姿には隠しきれない品格があった。その品格を生かして「不滅の恋人」やカンテク~運命の愛」では王の役を演じている。
■愛に飢えた悲しき王妃ポギョン(キム・ミンソ)
本作は恋愛要素も多く善悪において女性が大活躍した。愛されない王妃といえば、「100日の郎君様」の王妃も最後まで夫・王に愛されることはなかったが、許されぬ恋ながら愛し合う人がいて子供も授かったのに対し、本作の王妃ポギョンは誰からも愛されずまったく救われなかった。ポギョンにとってもフォンは初恋の人だったのに…。もし、ポギョンが真に慈悲深い王妃になっていたらフォンの心を動かせたのだろうか?ポギョンに代わってフォンに問うてみたい。ポギョンを演じたキム・ミンソは「華政(ファジョン)」では16代国王・仁祖の側室・昭容趙氏としてもっと強烈な憎々しい悪女を演じている。
■数奇な運命に打ち勝ったヨヌ(ハン・ガイン)
自分の命を狙った者に協力したミナ王女さえ許した心優しきヨヌ。自暴自棄になる王女に対して「許しが欲しいのですか?わかりました、許しましょう。あなたのせいで苦しむ殿下と兄のために、あなたの代わりに許しを乞い、罪を償う2人のために許しましょう。生きて許しを乞い、自ら罪を償って下さい。殿下と兄ではなくあなた自身が・・・」と許した。それにしても記憶が戻ってからのヨヌは随分逞しくなった。王妃となってからはさらにパワーアップしたようで、活人署に肩入れをし、王や兄の心中を察してミナの身分回復まで手を回すなど、自分自身の考えで動いている。フォンの「そなたは誰だ!」という9話の再現遊びにも「私は殿下の女で、我が国の国母のホ・ヨヌと申します」と強気発言。ヨヌを演じたハン・ガインは、本作の後、出産を経て6年後にイギリスのミステリアスかつスキャンダラスに描いた官能的な人間ドラマを韓国ドラマにリメイクした「ミストレス~愛に惑う女たち~」で主演している。
■新しい内官スタイルを作ったヒョンソン(チョン・ウンピョ)
陰謀渦巻く物語を陰鬱にしなかったのはヒョンソンのコミカル演技の賜物。最終回では、ヨヌの誕生日のために隠れてカヤグムの練習をしたフォンより、カヤグムを見事な腕前で弾きこなして、視聴者を笑わせた。このシーンが韓国で放送された当時、全国基準44.0%の視聴率を記録し、最終回の平均視聴率は42.2%で、自己最高視聴率を更新した。本作以降、「雲が描いた月明り」や「100日の郎君様」でも世子と内官とのコミカルな関係が描かれているが、内官ヒョンソンの影響が多分にあったのでは?チョン・ウンピョの巧演ぶりはアジアの巨匠イ・ビョンフン監督も認めており、「オクニョ 運命の女(ひと)」で彼をヒロインの養父役に抜擢した。
■泣きの演技で貫禄を見せつけたフォン(キム・スヒョン)
少年時代のヨ・ジングと物語をリードしたキム・スヒョン。二人の縁についてはコチラで詳しく説明。キム・スヒョンは本作が初めての時代劇だったが、とてもそうは思えないほど主人公フォンを楽しんで演じたようだ。反対勢力には皮肉屋で、王妃ポギョンにはどこまでも冷淡で、正体を知らない巫女ウォルへは隠しきれない恋心がそうさせるツンデレ、ヨヌへの一途な恋心など、同じ役のなかで様々な顔を見せてくれた。特に、女性との絡みではこれまでの時代劇では見たことのない色っぽい王を演じた。
それでも最終回では、陽明君役チョン・イル渾身の演技に後れを取ったようにも感じたが、俯瞰で撮った小さくなっていくチョン・イルからのキム・スヒョンお得意の泣きの演技で主役の貫禄を見せ付けた。
本作で大ブレイクしたキム・スヒョンは翌年、宇宙規模のラブファンタジー「星から来たあなた」で日本、アジアを超えて世界中で空前のシンドロームを巻き起こした。そして、コロナ禍による外出自粛ブームの中、「愛の不時着」「梨泰院クラス」で火が付いた第4次韓流ブームの2020年、「サイコだけど大丈夫」でまた新たなファンタジーロマンスを魅せてくれている。現代ドラマもいいが、近い将来、またキム・スヒョンの時代劇が見てみたい。
キム・スヒョンとチョン・イルは共に除隊後ドラマ復帰第1作となる作品を大成功させており、兵役前よりさらにパワーアップしている。それぞれの復帰作は、ひと足先に除隊したチョン・イルが「ヘチ 王座への道」、キム・スヒョンは「サイコだけど大丈夫」。
【「ヘチ」を2倍楽しむ】、【「サイコだけど大丈夫」を2倍楽しむ】では、それぞれ詳しいあらすじや見どころ、豆知識などまとめている。
◇ NHKBSプレミアム「太陽を抱く月」番組公式サイト
2020.05.10-09.20 日21:00-22:00 再放送
2014.05.10-09.20 土08:30-09:30 再放送
2013.01.20-06.23 日21:00-22:00 放送済
◇Youtube「太陽を抱く月」予告動画
◇作品公式サイト
【作品詳細】【「太陽を抱く月」を2倍楽しむ】
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