「花郎(ファラン)」【新羅】時代背景②真興王(演:パク・ヒョンシク)と花郎精神を紹介!
韓国ロマンチック時代劇「花郎(ファラン)希望の勇者たち」は新羅第24代・真興王の治世が舞台!今回は、1500年前に実在した王とパク・ソジュン×パク・ヒョンシク×ミンホ(SHINee)×V(BTS/防弾少年団)らが演じる美形エリート集団の花郎制度について紹介、予告動画は作品公式サイトにて視聴できる。
【「花郎」を2倍楽しむ】では、各話のあらすじ(ネタバレあり、なし)と見どころ、時代背景、豆知識、実在人物の紹介などまとめて紹介している。
「花郎(ファラン)」は新羅時代を舞台に活躍した、花郎(ファラン)と呼ばれる家柄・容姿・文武共に秀でたエリート男子たちの熱い情熱と愛、青春を描いた韓国時代劇だが、新羅第24代・真興(チヌン)王の1代を舞台背景にしており、実在した王の半生をダイナミックなアレンジを加えて描いた物語としても楽しめる。では、ドラマ視聴の前に、俳優パク・ヒョンシクが演じた彡麦宗こと真興王と、花郎精神について予習しておこう。
※ここでは、ドラマのネタバレはほとんどしていないが、真興王については【新羅24代王・真興王は善徳女王の曾祖父で愛人はミシル】でもっと詳しく紹介している。ただし、そちらは一部ネタバレもあるのでご注意を。
■真興王(生534年 –没576年、在位540年-576年)
【新羅王系図】クリックで拡大高句麗、百済と新羅が三つ巴の領土争いをしていた「三国時代~新羅の誕生」までは【時代背景①】で紹介したが、高句麗や百済と比べて小さな領土から出発した新羅は2国に比べて力も弱かった。
【新羅王朝系図】を見てほしい。歴代の王名を見ると、始祖の赫居世居西干~22代王・智証麻干まで、「居西干、次次雄、尼師今、麻立干」の4種の王号を使っていたが、22代王が中国式に倣って国号を「新羅」として王命も「〇〇王」に定めた。次の23代・法興王が軍事制度の整備や法(律)の公布、官制の整備、仏教を公認、貴族会議を制度化した。そうして王位を受け継いだのが彡麦宗こと第24代・真興王だった。
即位が7歳の年だったので、法興王の娘である母・只召(チソ)太后の摂政を受けた。実際に親政(王自らが政治を行う)を行ったのは即位12(551)年の18歳になったころ。
「花郎」より Licensed by KBS Media Ltd.
ⓒ2016 HWARANG SPC. All rights reservedドラマでは真興王は顔を隠しているが、実在の王は顔を隠したり身を潜めたりはしていない。年は若いが冷静で情勢分析と判断が優れていたと伝わっており、562年には百済と連合していた伽耶を滅亡させ、領土を広げ、三国統一の足掛かりを作った。そして、三国統一の精神的支柱となったのがドラマタイトルにもなっている「花郎精神」だ。花郎制度は真興王の時代に創設された。一説にはドラマ同様に只召太后が花郎を作ったという説もあるが、史書『三国史記』によると真興王37年 (576年頃)に制定されたとあるので、すでに真興王が親政を行っており、制度として成立させたのは真興王とみていいだろう。
「花郎」より Licensed by KBS Media Ltd.
ⓒ2016 HWARANG SPC. All rights reserved■花郎精神とは?
水利事業の発展によって農業も生産性が上がり、軍事、法、官制整備などを整え勢力を拡大してきた新羅は独特の人材育成制度を設けた。これが「花郎制度」である。「花郎」とは貴族階級で育った青年たちの集まりで、軍事的リーダーであり、祭祀(宗教的儀礼・儀式)や芸能的な分野も網羅した青年組織。徹底的な思想教育が行われ、軍事と文化の両面でエリート育成を目指した。具体的には「王への忠誠心、親孝行、友情、戦では絶対に退却するな」など。雅楽や芸術に勤しみ、軍事訓練や狩猟などを通して体を鍛えた。
新羅固有のものだったが、後に儒教、仏教、道教と結びついて、独自の発展を続け、第51代・真聖女王(【統一新羅系図】参照)に至るまでの約350年間に200人余りの花郎が名を馳せたと伝えられている。もっとも文献上明らかなのは、三国統一で功を立てた金庾信(キム・ユシン)ら26名ほど。
※ドラマでは美形男子を集めているが、史書『三国史記』にも「美貌の男子を選んだ」と記述が残されており、眉目秀麗集団には間違いないようだ。また、ドラマの花郎精神は第2話ウィファが只召太后に提案する。詳しくは2話ネタバレあらすじで紹介。【「新羅王国」豆知識】では、花郎に関連した「郎粧決意」や「源花」についても紹介している。
■花郎集団
「花郎」がリーダーとなる集団は複数存在し、一つの集団には三百人から千人の「郎徒」と呼ばれる青年が集まる。朝鮮時代と違って歴史書が少ないが、花郎について詳しく書いた幻の史書『花郎世紀』がある。これは花郎の首領である「風月主」の歴史を記載した本で、新羅が三国統一した後、第33代・聖徳王の時代に貴族で文章家の金大問(キム・デムン)によって著述された(【統一新羅系図】参照)。12世紀に散逸され、幻の史書とされたが、1989年、日本の宮内庁書陵部に秘蔵されていた原本の写本が発見された。真偽論争がされているが、学者の一部には本物説を唱える人もいる。
※風月主とは花郎の中から選抜で選ばれた首領。ドラマ「花郎」ではソン・ドンイル扮するウィファが風月主となる。一方、同じ新羅が舞台の大ヒットドラマ「善徳女王」ではピダム(演:キム・ナムギル)とユシン(演:オム・テウン)が風月主を決める武術試験(比才(ピジェ))をダイナミックかつ感動的に描いている(33話~35話)。
【「花郎」を2倍楽しむ】では各話のネタバレありとなしのあらすじ、みどころ、豆知識などまとめているので視聴の参考にどうぞ。
◇「花郎」公式サイト
【作品詳細】【「花郎」を2倍楽しむ】