2月4日（金）WOWOWプライム・オンデマンドにて放送・配信開始した「哲仁王后（チョルインワンフ）　俺がクイーン！？」（全20話）第1話～第2話では、現代の料理人（チェ・ジニョク）が朝鮮時代にタイムスリップし、王の正妻として暮らすことになる騒動が描かれた。第1話と第2話のネタバレあらすじと見どころ、※豆知識を紹介しよう。
※翌週金曜午前10時50分～2話連続再放送する。



「哲仁王后　俺がクイーン！？」は、現代の男性の魂が朝鮮時代の王妃の体に入り込んだことから巻き起こる騒動を描く、“魂入れ替わり”のラブコメディ要素を含んだ時代劇。【「哲仁王后」を2倍楽しむ】では、韓国での評判や制作発表会の様子、実在の哲宗王と哲仁王后・金氏とドラマでの描かれ方などをまとめて紹介している。

■キャスト
キム・ソヨン/王妃（魂ボンファン）役：シン・ヘソン
哲宗/イ・ウォンボム役：キム・ジョンヒョン
大王大妃（純元王后）役：ペ・ジョンオク
キム・ジャグン役：キム・テウ
キム・ビョンイン役：ナ・イヌ
チャン・ボンファン役：チェ・ジニョク
ほか

■第1話「不思議な国のチャン・ボンファン」
13歳から料理を初めて最年少で大統領官邸“青瓦台”の料理長になったチャン･ボンファンは怖い物知らずなプレイボーイ。そんなある日、青瓦台に招待された中国大使の料理を任されるが、同僚が仕掛けた罠にハマり罷免されてしまう。さらには大統領府に供給される食材の納品に関する不正疑惑までかけられて刑事に追われ、逃げる途中でプールへ落下。薄れゆく意識の中で「生きたい」と願ったボンファンは水中で知らない女性にキスをされる。ボンファンが目を覚ますと、なんとそこは朝鮮時代風で、しかも女性の体になっていた。
『不思議な国のアリス』というより、水の中でのタイムスリップといえば「麗＜レイ＞～花萌ゆる8人の皇子たち～」や「ポンダンポンダン 王様の恋」を思い出す韓ドラファンも多いのでは？

拉致され性転換手術をされたと思ったボンファンは大騒ぎし、駆け付けた医師の質問にもボンファンとして回答。その後、お付の女官ホンヨンから事情を聞いて、水中でキスした女の体に魂が入ってしまったと理論づけし、池にダイブするが、事故再発防止のために水が抜かれており泥まみれに。そしてここが本当の朝鮮時代で、体の持ち主キム･ソヨンが王との婚礼を控えた良家の娘だと知る。読書をしている王に池に水を入れてほしいと頼むが、大王大妃の許可がないとだめだと言われてしまう。
医師への回答で、ボンファンの両親が漢文と歴史の先生宅の一人息子と分かる。
※妃氏（ピシ）：王妃に揀擇（カンテク）された女性の呼称。揀択とは王妃選抜試験のこと。国婚（クッコン）や嘉礼（カレ）などについては【「カンテク」を2倍楽しむ】の「▼儀式・行事、豆知識など」で詳しく解説。

一方、池に落ちて意識を失い、目覚めたキム・ソヨンの奇異な行動が、御前会議でも話題に上る。彼女が王妃になることで安松（アンソン）金（キム）氏の権力がさらに強力になる事を恐れる豊安（プンアン）趙（チョ）氏は、ソヨンの王妃冊封を阻止しようとする。ところが、安松金氏側では、ソヨンが池に落ちたのが事故ではなく、側室に決まった豊安趙氏のチョ・ファジンによる犯行だと言い出し、騒然となる。すると哲宗はファジンと一晩中一緒にいたと証言し、ソヨンの記憶さえ戻れば明らかになるので国婚を早めてほしいと主張。ファジンが哲宗の想い人だとは周知のこと。哲宗の言葉でソヨンとファジンは助かり、翌日に婚礼式を行い、その後、副承旨の娘ファジンも側室に冊封されることに。
※安松金氏vs豊安趙氏：大王大妃は金氏、大妃は趙氏。哲宗の時代には外戚同士の“安東金氏”と“豊壌趙氏”が熾烈な権力闘争をしていた。■外戚同士のバトル：安東金氏vs豊壌趙氏で詳しく紹介しているので、安松金氏＝安東金氏、豊安趙氏＝豊壌趙氏と読みかえて確認を。
ここではファジンの心根の優しいエピソードも描かれるが、果たして入宮後にどう変わるのか？

一方、ボンファンは雑巾バケツや金魚鉢まで手当たり次第に水の中に首を突っ込むが、現代に戻れない。まずは生きるために現状を把握しようと、結婚する相手が無能な傀儡王（操り人形）で民を苦しめている哲宗だと知る。その後、婚礼が明日になったことを伝えに来た哲宗に、「実は自分が男で、200年後の未来から来た」と明らかにし、「結婚しても初夜は…」と男同士を強調する。哲宗は「心配するな。なんとしてもそなたを助ける」と励まし、「正気を失っても、私は永遠にそなたの夫だ」と抱きしめる。医師からの鍼治療などから逃れるために、ひとまず覚悟を決めてソヨンになり切ることにするボンファン。
※朝鮮歴代王の替え歌：チェ尚宮からタイムスリップした時代を聞き出すためにボンファンが歌った。さすが歴史の先生の一人息子！ボンファンが先代王の名前でストップするのは、王名は王が亡くなった後に付けられる諡（おくりな）だから。この時代の人は王の名が哲宗とは誰も知らない。歴代王の名前が気になる方は、【朝鮮王朝系図】で確認できる。

婚礼の日。王室の作法を知らないボンファンは数々の失敗をしながらもどうにかやり過ごすが、「安松金氏のキム・ソヨンが国母となった」という宣布に、不意にソヨンの記憶が蘇り、一瞬息苦しくなる。一方、側室になるファジンは父や乳母に別れの挨拶をし、お付のオウォルと共に入宮する。その頃、ソヨンの従兄キム・ビョンインは婚礼に出席せず、遠出して剣の鍛錬をしていた。
※王室の婚礼服や冠については【朝鮮王朝豆知識】の「◆王室の祭服・婚礼服」で詳しく解説。王妃の婚礼服の説明が『宮中礼服セット』として図式で紹介されるのはありがたい。
※府院君（プウォングン）とは王妃の父親、または正一品の品階を受けた功臣に対して与えられた尊号。ちなみに、傍系の王の実父は大院君（テウォングン）。

婚礼が無事終了し、大造殿に移ってホッとしたボンファンだったが、初夜が待っていた。哲宗と二人きりになったボンファンは、酒やゲーム、歌、踊りでごまかそうとするも、次々と失敗し…。
※哲宗が乗ってこなかった“九九算ゲーム”。「ポンダンポンダン 王様の恋」で、キム・スルギがユン・ドゥジュン(BEAST)扮する世宗に九九を教えるためにやったゲームだ（2話）参照。
※大造殿：王と王妃の寝殿であり、生活の中心となった建物。

■第2話「誰も知らない」
王妃として新婚初夜を迎えたボンファン。哲宗が意外と夜に弱くて早寝するのにホッとしながらも、念のために絶対に衣を脱がされないように、コルム（結び紐）を軍隊仕込みの縦結びにして寝る。ところが朝になったら紐はほどけていて驚く。
※ボンファンの「江華島暮らしのくせに」という悪口や、哲宗が見る悪夢については哲宗紹介で。

ボンファンは大王大妃と大妃へ挨拶に行く途中、チェ尚宮から2人が敵対する外戚勢力で、ソヨンは大妃側の安松金氏の人間だと聞く。その時、散歩中のファジンを見かけ一目ぼれしたボンファンは籠を止めて近づく。ホンヨンから彼女が宜嬪(ウィビン）に冊封された王の側室で、ソヨンを池に突き落とした噂があると聞き、ファジンもオウォルから記憶を失ったのは嘘だという噂があると聞く。ボンファンは「過去にあったことは忘れて、仲よくしよう」と言うが、ファジンは素っ気ない態度。そこに哲宗が現れるとファジンは笑顔に。2人の間を割って入り悪態をついてその場を立ち去るボンファン。それが自分への嫉妬だと勘違いした哲宗は、ファジンに「私の全てをかけて君を守る」と約束する。

大王大妃たちへの挨拶をどうにかやり終えたボンファン。次は、哲宗と共に賀礼式のために仁政殿へ。次々に挨拶する重臣たちの姓が全員“キム”だと気づいたボンファンは、これが“三政の紊乱”で民を苦しめた“安松金一族”だと納得する。次に“豊安趙氏”の挨拶を受けながら、先代王・憲宗の治世に派手に不正をしたが、キム王妃（純元王后、現大王大妃）の出現で力を失った一族と確認。そして最後の訓練大将の挨拶に、これが欲に取りつかれた野心家キム・ジャグン（金左根）なのかと歴史を思い出す。キム・ジャグンは王を警護する禁衛隊長に国舅となったソヨンの父キム・ムングンを推薦する。異を唱える哲宗の言葉を大王大妃がそっと制し、また一つキム氏の重臣が増えることに。ボンファンは影の権力者のお手並みに膝を乗り出し、それが過ぎてずっこけてしまう。
大妃の「王子を授かる秘訣」にはモザイクと放送禁止のピー音の代わりの韓国琴“カヤグム”♪
※仁政殿：王の公式行事を行う政殿。詳しくはロケ地②：龍仁大長今パーク「②宮殿エリアA」で解説。※安松金氏：■外戚同士のバトル：安東金氏vs豊壌趙氏参照。※三政の紊乱（びんらん）：三政（土地税、軍役の付加、穀物の貸し付けと返還）の搾取。詳しくは「雲が描いた月明り」時代背景②で。

賀礼式の後、ソヨンを池に落とした犯人がファジンでないなら誰かと考えを巡らせる大王大妃に、弟キム・ジャグンは金氏に都合のよい犯人を作り出せばよいとアドバイスする。

一方、哲宗は熱い初夜を過ごしたとボンファンに話し、布団に付いた初夜の血まで確認したと言う。記憶のないボンファンはモヤモヤした気持ちを抑えきれず、側室ファジンに「哲宗は夜に弱いのか」と聞くが、ファジンは不快感を示して「王様はそんな人ではありません」と立ち去る。確かに哲宗は夜に強かった！実は、腐敗した権力者を処断すべく、初夜の日も深夜に仲間と証拠探しに奔走していた。だが目的の物は見つけられずに強盗のふりをして逃げたのだった。
赤ん坊を馬から守る哲宗のカッコいい姿をお見逃しなく。

ボンファンの無遠慮過ぎる態度が気に入らない大王大妃は、チェ尚宮に宮中礼節特訓を命じるが、ボンファンは真面目にやろうとしない。そんな中、ソヨンの好物を食べたとき、急に胸の痛みに襲われたボンファンにソヨンの記憶が蘇る。ソヨンは哲宗に恋していたが、哲宗はソヨンを憎しみの目で見つめていた。このことで初夜に何もなかったと確信し歓喜のボンファン。今度は、大王大妃に池に水を張ってほしいと頼むも断られ、王子懐妊のために7日間の王との共寝“合歓（ハッパン）”をすれば水を張ってやるという大王大妃の提案を飲む。その頃、大妃はファジンの懐妊を祈祷に頼ろうというが、断られ気分を害する。大妃から7日間の合歓を聞いたファジンは、ソヨンが池に落ちた日のことを思い出す。

ボンファンは哲宗に偽の合歓交渉をするが断られる。「各自、幸せに生きるために“ノータッチ”しよう」と説得するも失敗する。気分転換に男装して外出することにしたボンファンは、ホンヨンからソヨンが、気難しく気に入らないと棒で叩き、魔女と呼ばれていたと聞く。だが、本当のソヨンは温かい人物だったというホンヨンのフォローに感謝して外出する。途中でソヨンの従弟ファンと出くわすが、用意した“イ・センマン”と名乗って共に王宮を脱出。不意打ちでファンを気絶させて妓楼・玉打亭に繰り出し、羽目を外して大騒ぎする。
本当にソヨンはそんな冷徹な女性だったのか？

玉打亭にはソヨンの従兄キム・ビョンインも来ていた。官職を金で買おうとする両班に呼び出され、金の代わりに自分の味方になることで願いを聞き入れてやる。また、別の部屋には哲宗も義兄の永平君と友人のホン別監と密会していた。哲宗たちは初夜の日、国舅キム・ムングンの倉で不正の証拠となる“裏帳簿”を探していた。キム・ムングンが禁衛隊長となれば、哲宗たちの直属の禁衛兵の正体が暴かれるのも時間の問題。永平君たちはソヨンが父を禁衛隊長に推薦したと信じ、彼女を恐ろしい女と噂。そこに酔っぱらったボンファンが部屋を間違えて入ってきて鐘の音に慌てて出ていく。ソヨンが男装して探りに来たと勘違いした哲宗は、覆面をしてソヨンを追いかけ…。
江華島の回想やトイレのシーンが傑作。一方、哲宗が袂の刀で斬って覆面を作るカッコいい姿もお見逃しなく。



◇WOWOW「シン・ヘソン×キム・ジョンヒョン「哲仁王后　俺がクイーン！？」番組サイト
　2022年2月4日スタート 金18：45-21：30 2話連続

【作品詳細】【「哲仁王后」を2倍楽しむ】