第3章 NHKに突撃取材②|NHKを唸らせた「太王四神記」
2007年韓国MBSで放送され、日本でも大ヒットした韓国時代劇ドラマ「太王四神記」と主演のペ・ヨンジュンの魅力を探る。
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Q:スタッフの皆さんからみた、タムドクを演じたペ・ヨンジュンの魅力は?
小川:彼には冬ソナの柔らかい印象があったので、「意外とアクションがうまいんじゃない?」というのが正直な印象でした。出来上った作品は、スタントも入っているのでなんとも評価のしようがありませんが、メイキングを見て、彼のアクションに感心しました。よろい姿もさまになっていて、心配だったヘアースタイルもお似合いでしたね。白髪も見慣れると良かったです。
Q:日本と韓国のアクションは違いますね。直線的な日本の動きに対して、曲線や円を描くというか…。
小川:そうですね。テサギのアクションはきれいでしたね。アクションは、「チェオクの剣」と同じ監督が担当しています。「チェオクの剣」では、ヒロインのハ・ジウォンさんのアクションが綺麗に見えるよう、フェンシングの動きを取り入れたそうですよ。フワリ~とね。(笑)(ヤン・ギルヨン武術監督だ。韓国アクションについては第4章で詳しく紹介)
Q:小川さんのお気に入りのキャストは?
小川:タムドクの子役がいいですね。(ユ・スンホくんね。)
Q:4話で父である王の毒殺を企てたヨン家をギャフンといわせた大人な対応と、父の出生にかかわる悲しい話を聞いて袖口で涙を拭く子供っぽさとのギャップがたまらないですね。(きっちり話数まで覚えているのめり込みように、小川さん思わず苦笑い!)
Q:エンディングに対する評価はどうでしたか?
小川:エンディングについては、いろいろ論争が起きたようですが、私も納得がいきませんでしたね。どうしてあのまま終わるか!って。無理に終わらせた感が少し残るエンディングでした。(これについては第6章で詳しく紹介)
Q:ペ・ヨンジュンのプロモーションは毎回大がかりですが、今回もかつてない異例のプロモーションを打ってきましたね。6月の「ドラマ太王四神記プレミアムイベント2008inJAPAN」開催、BS終了直後にニフティでネット配信、放送翌日に毎話劇場上映!こういったプロモーションは過去にもありましたか?
小川:いいえ。私の記憶の中ではなかったですね。もし、これが10年前だったら、NHKもテサギの放送をしなかったかもしれません。今回の異例のプロモーション計画を聞いて、NHKにとってどう影響するのか、局内でも検討したんですよ。
今、時代の変化とともに、映画、テレビ、ネットを取り巻く環境が大きく変わってきています。これらを巻き込んだプロモーションが、テレビにとって、必ずしも悪影響を与えていないという報告もありました。特にネット配信は、NHKにとってもひとつのプロモーションになると判断しました。
劇場も大ヒット作が難しくなっている今、シネマコンプレックス型になっているところが多いです。劇場に行ってから映画を選ぶという観方をしたり、映画館側も観客の少ない時間帯に、少人数を相手にする作品を持ってきたりしています。
Q:そういう意味では、テサギのように固定ファンのついている作品、劇場で見栄えのする作品はぴったりかもしれませんね。
小川:ええ、朝早くからでもファンは観にいきますからね。(何度もね!)そういう意味では、大河ドラマなども向いているかもしれません。大画面の福山雅治はいいかもしれませんね。(観たいです!音楽ドラマ「のだめカンタービレ」も劇場向きだ。12月19日から映画が始まるね)
Q:テサギはプロモーションの常識まで覆したというわけですか。
小川:狙ったかどうかは別にしてね。(笑)テサギの制作会社は、映画畑の人ではなく、投資系の方たちが作った会社だそうですよ。(へー、そうなんだ)
Q:ところで、NHKではテサギを3年間で4回も放送していますね。11月にもノーカット・字幕版で再放送されましたよね。なんと半年に1回ペース!
小川:そうなりますね。今回は初めからノーカット版も作っておきましたから、慌てませんでした。(笑)
Q:ドラマのオープニングというのはNHKさんで作るんですか?韓国オリジナル版とは違ったようですが?
小川:これもケースバイケースですが、オリジナルの雰囲気を尊重しつつ、NHKで作る場合が多いです。
作るというよりも、多少リメイクするという感じでしょうか。オリジナルのままで使うのが最もいいのですが、長さや監督・俳優などのテロップ情報、音楽のテンポなどを考慮すると、どうしても多少の手直しが必要になってきます。
そういえば、タイトルが逆向きというご注意も受けました。
Q:あれって、古代あったとされている古代の文字をデザインしたんですよね。(カリムト文字だっけ?)
小川:ええ、ですから、「間違っているのではなくてデザインをした文字です。ABBA(アバ)と一緒ですよ」と、お知らせしました。(そうだ、アバもBの向きが一文字だけ反対向きだった)
Q:最後に、テサギの中でのタムドク王の描かれ方についてどう思われますか?
小川:タムドク王は、日本では「好太王」という名で、国土を拡げるために戦った強い王として知られています。
Q:キム・ジョンハク監督は、NHKの特番で、これまで描かれた強い英雄としてのタムドクではなく、優しさの中にあるカリスマ性で人心を掌握していく新しいタイプの英雄として描きたかったとお話していましたね。
小川:ええ、もし、監督が、タムドクを国土を拡げる強い英雄として捉えていたら、NHKでの放送はなかったかも知れません。(これについては第6章で詳しく紹介)
そういえば、あの特番のときは凄かったですよ。NHKが女性の大群に取り囲まれてしまいましたから…。(笑)(完全包囲だ!凄かっただろうな~、何しろ、5年ぶりの作品だった上に、待ちに待たされたからね)
Q:今日はお忙しいところ本当にありがとうございました。
取材終了後も、資料を手に歴史ドラマ談義にお付き合いいただきました。小川さんと一緒に見た韓ドラ年表や古代の地図などは、韓ドラここが知りたい!の「歴史ドラマを楽しむ」のコーナーで見られます。
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