韓国ドラマ「悪鬼」第11−12話(最終回):明かされる悪鬼の願いと、元に戻ったキム・テリに隠された真実

2023年07月30日12時50分ドラマ
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SBSで金土に放送され、ディズニープラス スターでも独占配信中のキム・テリとオ・ジョンセ主演オカルト・ミステリー「悪鬼」。いよいよ最終回となる第11-12話では村の貧しい娘だったヒャンイが悪鬼になった凄惨な経緯が明かされ、全ての神体を見つけ退治されたと思わせつつ主人公サニョンの体を乗っ取った悪鬼との最終決戦が描かれた。気になるあらすじと見どころチェックしてみよう。(ネタバレあり)

【「Disney Plus」で配信中の韓国ドラマ】

「悪鬼」は、悪鬼に取り憑かれた女ク・サニョンと、その悪鬼を見ることのできる男ヨム・へサンが、疑問の死を暴くオカルト・ミステリーだ。
各話ネタバレあらすじ



■第11話あらすじ
ヘサン(オ・ジョンセ)らが悪鬼を退治するには、悪鬼となった子供の本当の名前を知る必要があった。唯一それを知る祖母ビョンヒ(キム・ヘスク)から名前を聞き出すために、一同は作戦を実行する。

ビョンヒは時計や携帯電話を持たず、全ての時間管理を副社長のチウォン(イ・ギュヒ)に任せていた。一人息子が交通事故でなくビョンヒに殺されたと知った彼の協力で壁掛けカレンダーを1日遅らせた一同。サニョン(キム・テリ)は悪鬼のふりをしてビョンヒの前に現れる。実際、この日は年に一度だけ一切の霊が出現しない「ムバンスの日」だったためサニョンは悪鬼に邪魔されることなく、油断したビョンヒから本当の名前を聞き出すことに成功する。

名前を口にした後、真実を知ったビョンヒは発狂するが副社長チウォンにより精神病院に搬送され、拘束されてしまう。これが彼なりの息子の復讐だった。

悪鬼の正体は少女モクタンではなく、その姉ヒャンイ(シム・ダルギ)だった。退治には彼女の名前の漢字と、最後の神体が必要だったが、ムバンスの日が終わり、悪鬼が再び活発になるため、サニョンは自らを屋敷に封じ込め、翌日、ヘサンとホンセ刑事(ホン・ギョン)は手分けして最後の手がかりを探し始める。悪鬼は屋敷で小火騒ぎを起こし、結界から逃れると彼らに襲いかかるが、我に帰ったサニョンが再び屋敷に結界を張ったことで難を逃れた。

最後の神体である玉のかんざしを手に入れたヘサンだが、村の貧しい娘だったヒャンイとの接点が感じられない神体や、ヒャンイの遺体がどこにあるのか疑問を抱く。神体を持ってサニョンのもとに急ぐ二人だが、その頃、サニョンは悪鬼が母ギョンムン(パク・ジヨン)を殺そうとしていると知って屋敷を飛び出してしまう。

念願のカフェ開店を目前に希望を抱いていたギョンムンの様子が急変し、駆けつけたサニョンや親友セミ(ヤン・ヘジ)の見ている目の前で首を吊ろうとする。サニョンは割れたガラス片を自分に突きつけると悪鬼もろとも命を絶つと脅し、母の死を食い止めたが直後に忽然と姿を消してしまう。

ホンセはサニョン宛の電話を受け、ヒャンイと同級生だった女性からヒャンイがどんな女学生だったのかを聞かされる。1958年、美術志望だが貧しい漁師の家柄だったヒャンイは絵の具を買う金もなく、お腹を空かせつきまとうわがままざかりの妹モクタンに辟易していた。(実は上に兄がいたため)第二子だったヒャンイはビョンヒらが悪鬼を作るための生贄に選ばれたことを両親の会話から知ってしまい、目印となる髪飾りを妹モクタンに譲ってしまう。モクタンが生贄になったおかげで村は多額の報酬を得て、絵の具が買えることを喜んだヒャンイだが、直後に娘を失った悲しみから母が自殺してしまい、更に漁に出た父と兄も帰らぬ人になってしまう。受け取った大金を返して唯一まだ生きていた妹を返してもらおうとしたヒャンイだが、祈祷師マノル(オ・ヨナ / 特別出演)に目の前で妹を殺され。自らが悪鬼にされてしまう。最後の神体であるかんざしは祈祷師マノルのもので、ヒャンイが抵抗した際に折れていた。

ビョンヒの元を訪れたチウォンは復讐のために扉を開け、悪鬼を招き入れると、ビョンヒは悪鬼に最後の取引をもちかけるも、病室から身を投げて転落死してしまう。我に返り悪鬼から遺体を見つけてほしいと頼まれたサニョンは、遺体を絶対に見つけてはいけないと警告するが、その頃ヘサンらは実家の倉庫で白骨化したヒャンイの遺体とかんざしの断片を見つけていた…。

■第12話あらすじ
ヒャンイの遺体発見を機に、サニョンの影は元に戻り、悪鬼の気配は消えてしまった。神体を封印していないのに悪鬼が消えたことに不安が拭いきれないヘサンは祖母が悪鬼に殺されたと知り、深い絶望感の中、神体をひとつひとつ封印し始める。

その頃、ギョンムンは「美術を学びたい」と言い出したサニョンに違和感を感じ、彼女が本物のサニョンではないことに気づく。ヘサンが神体を封印するたびに苦しむサニョン。ヘサンは封印を続ける最中にギョンムンに襲われる。彼女は娘を取り返すために、悪鬼が憎む一族の末裔であるヘサンを殺すよう命じられていた。

遺体と最後の神体を発見したことで、悪鬼はサニョンの体を手に入れ、本物のサニョンは鏡の中に閉じ込められていた。ホンセもまた、サニョンの異様な行動から、彼女が毒で誰かを殺そうとしていることを知り、悪鬼が呪いの能力を失う代わりにサニョンとすり替わっていたことに気づく。このまま封印を続けると本物のサニョンが消滅してしまうと危惧するヘサンは、ホンセの調査でビョンヒが転落直後に最後に自ら指を刻んでダイイングメッセージを残していたことを知る。

悪鬼を生贄にする際に神体として切り取られたヒャンイの「指」こそが、悪鬼を退治する最後の対抗手段だった。実家をくまなく探すヘサンとホンセ。それを知った悪鬼はギョンムンに不凍液を飲ませ、ギョンムンになりすまして助けを求めると、実家に誰もいなくなった隙を突いて「指」を確保。しかし、異変に気づいたヘサンは実家に残っていた。悪鬼から「指」を奪い取られ、燃やされそうになった悪鬼は、サニョンを道連れにすると脅し、ひるんだ隙に最後の敵であるヘサンを刺した。

直後に身動きが取れなくなった悪鬼。振り向くと鏡の中には完全に消し去ったはずのサニョンが立っていた。彼女はこれまでの辛い人生を自分に強いていたのは自分自身だと気づき、生への執着から消えずに残っっていた。彼女の強い意志で悪鬼は体をコントロールされ、「指」に火をつけると断末魔の叫びを上げながら消滅した。

時は経ち、平穏な生活を取り戻したサニョンはこれまでできなかったことをしようとバケットリストを作って、ひとつひとつ叶え、彼女は悪鬼が消滅した代償に、いつかやってくる失明の運命を受け入れていた。この先のことはゆっくり決めるとホンセに語るサニョン。

一命を取り留めたヘサンは安東で行われる船遊縄火祭りにサニョンを招く。厄を祓い福を招くだけでなく、故人への祈りが込められた祭りで霊が幸せそうな表情をしているのを見る二人。悪鬼に殺されていった人々の囁きが大切な人に伝わり、祭りが終わる頃、サニョンは視界がかすみ始める。それでも彼女は生きていく希望を失うことはなかった…。

■見どころ
悪鬼の呪いで唯一の肉親である母親までもが自殺を図ろうとする衝撃的な場面で視聴者の注目を集めた予告映像から1週間、遂に本作は最終回を迎えた。問題のシーンは母ギョンムンが自殺をする一歩手前で、駆けつけたサニョンが悪鬼を道連れに自ら命を絶とうとしたことで阻止され、悪鬼の呪いを食い止めた唯一の事例となった。

安心したのも束の間、悪鬼の真の正体であるヒャンイについて調べが進んでいくほどに、彼女の生い立ちが置かれていた境遇が明かされた。次々と人を殺していく悪鬼としての性格とは対照的に、貧しい家柄や恋心、豊かさへの憧れ、妹を売ってしまった後悔など、視聴者にとって非常に共感性がある人間味が描かれ、改めて人間の貪欲さが悪鬼を生み出したという設定を強調した。

第11話ではビョンヒ役のキム・ヘスクの怪演っぷりにも注目だ。悪鬼を人為的に生み出し、一族の富のために維持してきた彼女に関しては人間的な温かみや、同情に値するエピソードは一切描かれず、一貫して本作最大の元凶として描かれた彼女は初登場も遅く、そこまで登場頻度も高くはなかったものの異様なまでの存在感を示し、中でも第11話冒頭で奇声を上げて発狂するシーンは、実際にお化け屋敷で出てきたら大の大人でも大泣きするレベルの迫力だ。

最終話では一見して全て解決したような肩透かしのような序盤から、悪鬼の退治方法への誤解や正しい退治方法などが明らかになった。オカルトでは定番となりつつある「黒い長髪で顔が見えない女性」が本物のサニョンを追い回すシーンはこちらもまたトラウマを植え付けられそうなスリリングなシーンだ。

最終的に悪鬼は自らの意志に反して「消される」形で消滅するのだが、最後まで利用されるだけ利用されて消されたというモヤモヤが残る。これはクライマックスでサニョンが貧しさや病魔に冒されながらも前向きに生きていこうとする姿と対照に、貪欲さや弱さを克服できなかった人物の末路を暗示するアンチテーゼだったのかもしれない。

結局、ガンモ教授が自身の欲のせいで悪鬼に取り憑かれたというセリフは登場するものの、ヘサンの一族が生み出した悪鬼が、なぜどのようにヘサンではなくガンモ教授に乗り移ったのかは詳細には描かれなかった。まるまる一本スピンオフが作れそうな難解な謎を残した本作だが、改めて再視聴してみるとこれに関する見落としていたヒントが見つかるのかもしれない。

背筋の凍るようなスリリングな展開で暑い夏にぴったりの「悪鬼」は6月23日にSBSにて放送され、日本ではDisney+ (ディズニープラス)スターでも独占配信中だ。

■スタッフ
監督:イ・ジョンリム 「VIP」、キム・ジェホン「花たちの戦い -宮廷残酷史-」
脚本:キム・ウニ 「キングダム」「シグナル」

■キャスト
ク・サニョン役:キム・テリ
ヨム・へサン役:オ・ジョンセ
イ・ホンセ役:ホン・ギョン
 ほか

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