人生の数奇さと母親たちの闘いを描いた「マスクガール」全話あらすじと最終考察

Netflixで8月18日から配信開始した「マスクガール」。コ・ヒョンジョン、ナナ、そして最終段階までその素顔が隠されていた新人俳優イ・ハンビョルが一人の女性「キム・モミ」を演じることでも話題の最新作のあらすじと最終考察を紹介しよう。
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「マスクガール」は外見コンプレックスを抱く平凡の会社員キム・モミが、毎晩マスクで顔を隠し、インターネット放送BJとして活動している間に予期せぬ出来事に巻き込まれテイクストーリー。原作は、破格的なストーリーで人気を集めた同名のウェブトゥーン(漫画ウェブ)。
■第1〜7話あらすじ

会社では既婚者のパクチーム長(チェ・ダニエル)に恋心を寄せていたモミはある時、パクチーム長が自分に気があるのではないかと勘違いを始めるが、直後にパクチーム長とアルムの不倫現場を目撃してしまい、やけ酒をして配信で全裸になったせいでアカウントが凍結されてしまった。
絶望したモミは会社で噂を流し二人を破滅させ、自暴自棄になって泥酔状態のパクチーム長と一夜をともにするがそれでもチーム長の心を掴むことはできなかった。そんな彼女はある日、自分がマスクガールだと知る何者かからのメールを受け取り恐怖を覚える…。

恋の傷が癒えないモミが、配信の常連ファンだったハンサム和尚(パク・グンロク)とリアル飲みをすることを知ったオナムは、男が体目当てでモミを騙そうとしていることに気づき、必死に夜の街を探し回る。その頃、モーテルで襲われそうになったモミは勢い余ってハンサム和尚に致命傷を負わせてしまう。駆けつけたオナムは代わりに男を処理すると言ってモミを帰すとまだ生きていた男を殺害。
翌日モミは会社に現れず、突然退職してしまった。オナムが荷物を届けに行くがモミは出てこず。失意の中家に帰ったオナムだが、マスクガール最後の配信が始まり、再びモミの自宅に駆けつけた。モミに「あなたもあいつと変わらない」と挑発されたオナムは彼女を押し倒して性行為に及ぶがモミが顔を整形していることに気づく。モミは新たな人生を始めると宣言し、自らオナムに馬乗りになり腰を振りながら、オナムを刺殺してしまった…。

息子との連絡が取れなくなったことを不安に思い、警察と自宅を探したところ、冷蔵庫の中からはバラバラになった遺体が発見された。検死の結果、オナムのものではないと安堵するが、警察はオナムがモミと殺人を犯した末に雲隠れしたと睨んでいた。一向に進まない捜査にしびれを切らしたギョンジャはパソコンを学び、独自に息子の行方を探し始めるが、そんな矢先に山中からオナムのバラバラ遺体が発見され絶叫。
復讐のために息子を殺した容疑者であるマスクガールを追いかけたギョンジャは、ファンサイトの運営者と連絡を取り合いながら、疑惑のある女性を追いカンチョンへ。彼女がマスクガールと同じネックレスをしていることから確信を抱き、タクシー会社に就職すると、マスクガールを監禁。
監禁された女はチュネ(ハン・ジェイ)でマスクガールではないが、同じ店に入ってきたアルムという女性が怪しいといい、調査に協力することに…。

ファンサイトの運営者にも見抜かれ、追われていることを知ったモミはオナムの子を身ごもっていた。チュネは働かずに家に居座るブヨンに愛想を尽かすが、かつて情報をリークしたのが自分だとバレて暴力を振るわれるようになり、モミとともに逃走しようとするが再び暴行を受け、モミとともにブヨンを殺してしまう。
人気のない貯水池で遺体を沈めようとする二人の背後から闇ルートで銃を手に入れたギョンジャが襲いかかる。「自分がモミだ」と言い張る二人の若い女性。揉み合いになる中、チュネはモミをかばって撃たれてしまい、ギョンジャを岩で殴ってモミを守った直後に死亡。絶望したモミは二人と遺体の入ったスーツケースを車ごと貯水池に沈めるとその場を立ち去り、しばらく立った2011年に自首。幼い頃憧れていた脚光を思わぬ形で浴びることになった彼女は物思いに耽る…。

祖母に叱られて家でしたミモは、またもや噂が広まっていることと、イェチュンが嘘をついていたことを知ってしまい、イェチュンと喧嘩。彼女が頼れるのは小学校時代に親身に話を聞いてくれたトッポッキ屋のお婆さんだけだった…。

2023年、新たに赴任したオ所長(イ・ソニ)は熱心にキリスト教の教えを強要する反面、職員にはパワハラを働く問題人物だった。同じ頃、モミ(コ・ヒョンジョン)は謎の脅迫状を受け取り、娘モミが狙われていると知ると脱獄を試みるが、失敗に終わり独房に入れられてしまう。聖書を渡されたモミは一ヶ月の間独房で祈りを捧げ続け人が変わったように穏やかな表情を浮かべるようになり、所長の印象を覆しただけでなく、ウンスクの娘が腎臓病を患っていると知るとドナーになると申し出てウンスクとも親密な関係に。
そんな中、ボランティアで現れたのは死んだはずのギョンジャだった。彼女は沈んだ車の中で目を覚まし、復讐のために整形して、トッポッキ屋のお婆さんとしてミモに接近。親身に話を聞いてあげるふりをして噂を広め、ミモに暴力で仕返しするよう吹き込んだのも彼女だった。モミは取り乱すが刑務官に取り押さえられてしまう…。

ヨンヒはトッポッキ屋のお婆さんを調べ始め、イェチュンも噂の出処を調べていくうちにトッポッキ屋のお婆さんにたどり着く。いよいよ腎臓移植手術の日が来て刑務所の外に出たモミは、隙をついて病院を脱出するとヨンヒからの情報を頼りに怪我を負いながらも車を盗んでミモのもとへ急ぐ。通報を受けてやって来た警察もうまくかわしたギョンジャは地下室でミモを殺そうとするが、ヨンヒと遭遇し揉み合いになり、イェチュンが隙を突いてミモの縄を解く。モミが家に駆けつけたときにはヨンヒは刺されていた。久々の親子の再会もつかの間、地下に救出に向かったモミをギョンジャが追撃。ヨンヒはミモの無事を確認すると今まで不器用にしか愛せなかったことを謝り息を引き取った。
死闘の末にギョンジャからミモを救ったモミは、家の前で警察に包囲され娘が見つめる中、投降しようとするが、追いかけてきたギョンジャの銃からミモをかばい撃たれてミモの腕の中で息を引き取り、同時にギョンジャも警察に射殺された。
家族を失ったミモはイェチュンの家に引き取られ、ある日、実家にしまわれていた母の荷物の中から、一本のビデオを発見する。ビデオに映る1989年当時の幼い少女モミは将来の夢を聞かれて「人から愛される人になること」と満面の笑みで語っていた…。
■見どころ、考察
容姿に恵まれず社会から冷たい扱いを受ける主人公モミがマスクガールとして男たちの注目を浴びていくという一見シンデレラストーリーにも思えるような出だしから始まりながらも、第1話から多くの犠牲を払いながらもマスクガールの人生が狂い始めていくサスペンス的な展開が視聴者の注目を奪った。全7話のタイトルはそれぞれ登場人物の名前になっており、回ごとにその人物を主軸としたストーリーが展開されるが、その至るところで前後のストーリーと絶妙に交差しているところに脚本の秀逸さが窺える。
主人公モミの整形前の姿を演じたイ・ハンビョルは本作品でデビュー。いきなり初舞台が「ブサイク」役という勇気のいる役柄を見事にこなし、彼女のインスタグラムは既に1万フォロワーに達した。個性的な魅力のある彼女の今後の活躍に期待したい。整形後を演じたナナはソン・ダムビの「土曜の夜に」やホン・ジニョンの「愛のバッテリー」など当時一斉を風靡した曲を披露し、アフタースクール時代の彼女を知るファンを歓喜させながらも、刑務所に収監されるシーンでは遠めのアングルながら大胆なヌードを披露。そしてミドルエイジになった現代のモミを演じたコ・ヒョンジョンは、内面に秘めた狂気と、聖書に触れて改心した穏やかな表情、娘を守るために命を懸ける母の顔を見事に演じた。
そして、作中で恐らく強烈に視聴者の印象に残るのがアン・ジェホン演じるオナムと、ヨム・ヘラン演じるギョンジャの親子だ。前者は第2話のメインキャラクターとして登場し、作中で見せた完璧な日本語やアダルトグッズ、際どい自慰シーンなどそのオタク役が脳裏に焼き付く(こちらも参照→アン・ジェホン、「マスクガール」オタク役で人生キャラクター更新?<応答せよ1988>ジョンボンから激変)。モミに愛情を抱きながらも彼女に殺されてしまうのだが、母ギョンジャの長年の復讐劇のトリガーとなる重要人物だ。
そして本作のもう一人の主人公と言っても過言ではないのが、「ザ・グローリー ~輝かしき復讐~」「悪霊狩猟団」シリーズなど名脇役として活躍するギョンジャだ。彼女の名前を冠した第3話ではやや盲目的でモンスターペアレント気質ながらも一人息子のオナムに愛情を注ぐ狂気さを見せたかと思えば、愛する一人息子のバラバラ遺体と対面して嗚咽する場面では絶望感がひしひしと伝わってくる。オナムの行方を自ら追うためにパソコンを習い始め、スラングを学んでマスクガールのファンサイト運営者と連絡を取り合うなど執念を見せ、犯人を突き止めた彼女の復讐は失敗したかのように見えたが、彼女は第5話で再び登場。物語が進むにつれて彼女の猟奇さは加速していき、最後は息子の敵であるモミを殺して自らも射殺されるという衝撃的な最期を遂げた。
この物語では、ただ大勢の人から愛されたかったひとりの女性が殺人犯になってしまうという整形大国韓国での「容姿偏差値」への風刺が前半で描かれたが、後半はミモを守りたいモミ、息子の復讐に燃えるギョンジャ、最後はモミとともにミモを救った祖母ヨンヒという色々な形の「母親」が主軸となった。
作中ではモミの口から一言しか語られていないが、ギョンジャが殺そうとしていたミモの父親はオナムだ。ミモはギョンジャの家でその真実を知らないままオナムの写真を目にしていることになり、ミモはギョンジャにとってはオナムが残した孫ということになる。このことがもっと早くわかっていれば、少なくとも最終話で描かれた母親たちの犠牲は防げたのではないだろうか。
容姿によって狂ってしまった一人の少女の人生や、母親たちがそれぞれ抱く正義、この2つの要素が深い余韻を残す印象深い作品だ。
重層的なキャラクターと綿密なプロットで、ミステリーサスペンスのあり方を再定義する「マスクガール」。8月18日からNetflixで独占配信を開始した。
■作品概要
タイトル: マスクガール
監督・脚本: キム・ヨンフン
出演: コ・ヒョンジョン、アン・ジェホン、ヨム・ヘラン、ナナ、イ・ハンビョル
配信: Netflix
製作: House of Impression、BONFACTORY
配信日: 2023年8月18日
