『ぼくのお日さま』カンヌで約8分間のスタンディングオベーション…奥山大史監督、池松壮亮らに歓声

05月20日11時37分映画
(C) KAZUKO WAKAYAMA

第77回カンヌ国際映画祭で奥山大史監督の『ぼくのお日さま』が公式上映され、注目を集めた。



第66回サンセバスチャン国際映画祭で最優秀新人監督賞を受賞した奥山大史監督の長編第2作『ぼくのお日さま』が、第77回カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション「ある視点」部門に正式出品され、現地時間5月19日(日)にワールドプレミアが行われた。

カンヌ(C) KAZUKO WAKAYAMA

現在開催中の第77回カンヌ国際映画祭(フランス現地日程で5月14日〜5月25日)。本映画祭の「ある視点」部門に正式出品された『ぼくのお日さま』のワールドプレミアは、フランス現地時間5月19日(日)14時にドビュッシー劇場で行われ、監督の奥山大史、キャストの池松壮亮、越山敬達、中西希亜良、そして主題歌を担当したハンバート ハンバートの佐藤良成が登壇した。

(C) KAZUKO WAKAYAMA(C) KAZUKO WAKAYAMA

映画『ぼくのお⽇さま』ワールドプレミア上映 概要
■イベント名︓第77回カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション「ある視点」部⾨ 公式上映
■⽇時(現地時間)︓5⽉19⽇(⽇) 14:00〜 ※上映前、舞台挨拶/上映後、スタンディングオベーション
■登壇者︓奥⼭⼤史(監督)、池松壮亮、越⼭敬達、中⻄希亜良、佐藤良成(ハンバート ハンバート)
■場所︓ドビュッシー劇場(キャパ︓1,200⼈)

本作は、田舎町のスケートリンクを舞台に、吃音を持つアイスホッケーが苦手な少年タクヤ(越山敬達)、選手の夢を諦めたスケートのコーチ荒川(池松壮亮)、コーチに憧れるスケート少女さくら(中西希亜良)の3人の視点で紡がれる、淡くて切ない小さな恋の物語を描いています。奥山大史監督が撮影、脚本、編集を手がけたこの作品は、雪が降り始めてから雪が溶けるまでの季節の移ろいと共に展開されます。

公式上映が始まると、映画祭ディレクターのクリスチャン・ジュネが登壇し、この上映に駆けつけた是枝裕和監督を紹介。続いて「ある視点」部門の審査員長であるグザヴィエ・ドラン監督が紹介されると、劇場は一気に興奮に包まれました。『CLOSE/クロース』のルーカス・ドン監督、西川美和監督、山下敦弘監督も見守る中、『ぼくのお日さま』のチームが紹介され、大きな拍手で迎えられた。

今年のカンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション部門に唯一選出された日本作品として、満席の観客に向かい、奥山監督は「この作品はドビュッシーの『月の光』が繰り返し流れる映画なので、こうしてドビュッシー劇場でワールドプレミア上映されることを本当に光栄に思っています」と挨拶。本作の冒頭で、タクヤがさくらに心を奪われるシーンがドビュッシーの代表曲「月の光」に乗せて描かれていることから、劇場の名前にちなんで感慨深いと語った。

企画段階から奥山監督を支えた荒川役の池松壮亮は「カンヌ映画祭に感謝します。楽しんでいってください」と挨拶。15歳になったばかりのタクヤ役、越山敬達は初の海外旅行がカンヌ国際映画祭となり、「1200人の皆様、集まっていただきありがとうございます!最後まで楽しんでいってくださいっ」と軽快なマイクパフォーマンスで会場を沸かせました。12歳で英語とフランス語も堪能な中西希亜良は流暢なフランス語で「皆さん、こんにちは。来てくれてありがとうございます。楽しんでください」と挨拶し、温かい雰囲気に包まれました。佐藤良成も「ここに来られてとても嬉しいです」とフランス語で挨拶し、喜びを爆発させた。

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上映中、タクヤが奮闘する姿に優しい笑いが漏れ、クライマックスでは緊張感が会場を包みました。そしてエンドロールが終わると、拍手喝采と「ブラボー」の声が響き、約8分間のスタンディングオベーションが続きました。越山敬達が涙を見せると、中西希亜良も涙をこぼし、会場全体が温かい雰囲気に包まれた。



ワールドプレミアの興奮が冷めやらぬまま、『ぼくのお日さま』一行はレッドカーペットへ。奥山監督、池松壮亮、越山敬達の3人はお揃いのタキシードを着用し、ヒロインの中西希亜良はセリーヌの今シーズンの秋冬ドレスを纏い、メディアを魅了した。和やかな雰囲気の中、レッドカーペットを歩いた彼らは、メディアからの囲み取材にも応じた。

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公式上映後の観客の反応について、奥山監督は「温かい反応を頂けて安心しています。嬉しかったというよりも、まずは安心という気持ちが大きいですね」と述べました。池松壮亮は「自分でカメラを持って撮影される方なので、奥山さんの視点が俳優にしっかりとフォーカスを当てている」と絶賛。

第77回カンヌ国際映画祭は、是枝裕和監督がコンペティション部門の審査員として参加し、「ある視点」部門の審査員長をグザヴィエ・ドラン監督が務めている。本作は「ある視点」部門の最優秀作品賞、審査員賞、監督賞などの賞の対象となり、もし最優秀作品賞を受賞すれば日本初の快挙となる。

第77回カンヌ国際映画祭はフランス現地日程で5月14日(火)〜5月25日(土)まで開催され、「ある視点」部門の授賞式は5月24日(金)に行われる。映画『ぼくのお日さま』は9月に全国公開予定だ。

YouTube|映画『ぼくのお日さま』予告編

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