10世紀初めに統一国家を打ち立てた契丹（遼）は、宋との対決で有利な位置を占めるために何度も高麗を侵略した。
※「遼」とは、契丹が渤海（バレ）滅ぼしたのち、947年から用いた国号。「渤海」は高句麗を引き継いだ国。高麗も高句麗をルーツとしており、2国は兄弟国ともいえる。



高麗契丹戦争とは
993年に始まった高麗と契丹との戦争は30年近く続いた。ドラマ「高麗契丹戦争」（原題）は、この戦争を描いた歴史大作だ。まずは高麗王朝系図、高麗と契丹について、その成立～終焉までを解説しているので、一読しておくことをお勧めする。
●【高麗王朝系図】
●高麗（成立～終焉）
●契丹（成立～終焉）

高麗の主な外交相手は、中国王朝と北方の契丹、女真、日本だった。中でも高麗が重要視したのは対中外交。そんな中、契丹は高麗にラクダ50匹と使節30人を送り、国交を結ぶよう要求した。しかし初代国王・王建は契丹が同じ渤海を滅亡させた国だとして使いは流罪にし、ラクダは飢え死にさせたという経緯があった。契丹はこれを恨みに思っていた。さらに、960年から高麗が中国大陸を統一した宋の冊封体制（※）に入った。宋と対立する契丹はこれが面白くない。高麗とは領土をめぐる問題も抱えており、993年ついに高麗に侵攻する。
※「冊封体制」とは、中国が周辺諸国と 形式上の君臣関係を結ぶ体制。冊封国となった国は中国に貢物をする。これを「朝貢」と呼ぶ。

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■第一次侵攻（993年）
高麗第6代国王・成宗の治世。993年、粛遜寧（しゅくそんねい）率いる契丹軍は80万の大軍を率いて侵略し、高麗が占領していたかつての高句麗の地をめぐって宋との交流を立つことを要求した。高麗の将軍徐熙（ソ・ヒ）は巧妙な交渉により、契丹との和平を成立させ、契丹軍を撤退させた。この際、高麗は高句麗の後継者であることが認められ、鴨緑江（アムノッカン）東の江東六州を確保する成果を収めた。その一方で契丹に対して一定の貢物を納めることを約束した。

画像：『世界の歴史まっぷ』より

■第二次侵攻（1010年）
高麗第8代国王・顕宗（ヒョンジョン）の治世。1009年、高麗では政変が起こり、臣下の康兆が第7代国王・穆宗（モクチョン）を弑逆し顕宗を王に就けた（康兆の政変）ため 内部が混乱した状況だった。1010年、契丹はこれを名分に「不義を正す」と称して「義軍天兵」と名づけて40万の遼軍を率いて侵攻。契丹軍は高麗の首都開京（現在の開城）を攻撃し、王宮を占領。高麗の王室は避難を余儀なくされ顕宗は契丹に降伏し、江東六州の割譲と、契丹への朝貢を約束。しかし顕宗は病気を理由に契丹へ入朝せず、江東六州も渡さなかった。

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■第三次侵攻（1018年）
高麗第8代国王・顕宗の治世。1018年、契丹は再び高麗に対して侵攻を行った。契丹軍は大規模な軍勢で高麗に進攻し、激しい戦闘が繰り広げられた。高麗の将軍・姜邯賛（カン・ガムチャン）が指揮する高麗軍は、粘り強い防衛戦を展開し、契丹軍を大敗させた（1019年、亀州大捷※）。この戦闘で高麗は決定的な勝利を収め、契丹軍は撤退を余儀なくされた。
※「亀州（クジュ）大捷（たいじょう）」の「大捷」は大勝利の意。
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■その後（～1020年）
この期間を第四次・第五次侵攻と紹介する書もあり、契丹はこの後も度々侵攻を試みるが、大規模な戦争には至らず高麗は防衛を成功させる。戦争で優位に立った高麗は、1020年に再び臣下の誓いと朝貢を行うとする使節を送り、契丹がこれを受け入れて和を結び、両国の平和が回復した。その後、高麗は1033年、高麗第9代国王・徳宗（トクチョン）2年、北方民族の侵入を防ぐために鴨緑江の下流から東海岸の定州まで防壁「千里の長城」を築いた。
画像：wikipediaより　「千里長城」高句麗（赤）、高麗（青）と考えられる

『高麗契丹戦争』(原題)
高麗と契丹との戦争を描いた歴史大作「高麗契丹戦争」（原題）は、KNTVで8月16日から日本初放送される。予告動画は番組サイトで視聴できる。
放送日時 8月16日（金） 日本初放送スタート
毎週（金）20：00～22：10　(2話連続) ほか　
出演者 キム・ドンジュン、チェ・スジョン、チ・スンヒョン、イ・ウォンジョン、ペク・ソンヒョン、イ・ミニョンほか
話数 全32話<

◇KNTV「高麗契丹戦争（原題）」番組サイト

【作品詳細】【「高麗契丹戦争」を2倍楽しむ】