8月13日に放送終了したチェ・ジョンヒョプ×キム・ソヒョン「偶然かな」、現在放送中のキム・ジェジュン×チン・セヨン「悪い記憶の消しゴム」、両作品の共通点や最近の韓国ドラマ事情などをご紹介したい。尚、「偶然かな。」はディズニー公式動画配信サービス「Disney+ (ディズニープラス)」のコンテンツブランド「スター」にて「悪い記憶の消しゴム」はU-NEXTにてそれぞれ独占配信中。



「偶然かな。」は、かっこ悪くて未熟だった初恋の人と10年ぶりに“偶然”に遭遇し、“運命”のように絡み合って再び恋に落ちる、“初恋記憶召喚ロマンス”。NAVERの同名ウェブ漫画を原作に、19歳の少年と少女が29歳の若者の男女として再会し、数多くの偶然の中で自分の運命を探していく過程が描かれたドラマ。チェ・ジョンヒョプ×キム・ソヒョンと人気俳優が出演することでも話題となった。

「悪い記憶の消しゴム～My Memories～」は、記憶を操作できる消しゴムにより人生が変わった男性（キム・ジェジュン）と、彼の初恋相手になってしまった女性（チン・セヨン）とのロマンスを描くラブコメディ。

このようにいずれも初恋と関連したロマンティックコメディの両作品。また8月17日からは「となりのMr.パーフェクト」が放送を控えているなど、この夏は「ロマンティックコメディブーム到来」と言っても過言ではないほどロコドラマが集中しており、視聴者からも「夏にぴったりの爽やかな作品」などといった声が相次いでいる。



そんな中で、「偶然かな。」「悪い記憶の消しゴム」のもう一つの共通点として何が挙げられるだろうか？答えは、どちらも「撮影から数年の時を経て世の中に公開されたドラマ」ということだ。

「偶然かな。」は2022年11月~2023年2月、「悪い記憶の消しゴム」は2021年9月~2022年2月に撮影され、どちらも数年もの間倉庫に眠っておりお蔵入りになりかけていたが、この夏に一気に編成された。ネットでは 「当時は『疑問符』だったドラマが今は『感嘆符』に変わった」などと報道されている。

両作品の撮影当時を振り返ると、2021〜2022年にはコロナの影響をもろに受け、オンライン動画サービス(OTT)を中心にドラマ製作ブームが起きるなど、様々な試みがなされていた時代だ。2021年は「イカゲーム」、2022年は「今、私たちの学校は...」「ナルコの神（原題：スリナム）」「ペーパー・ハウス・コリア: 統一通貨を奪え」といった大作が公開され、その流れの中で「平凡な話は競争力が弱い」と見なされてしまったのだろう。またOTTドラマが注目を集める中でドラマ市場は益々厳しくなり、編成本数が減ってしまったたのも当時お蔵入りドラマを量産した理由の一つだ。



そんな中、何故2024年の今になって、過去のお蔵入り作品が再び日の目を見るようになったのだろうか？ドラマ製作会社の関係者は「放送会社とプラットフォームがドラマ製作と編成に慎重になり、以前に撮っておいたドラマ倉庫のドアを再び開け始めている」と話しているという。「偶然かな。」は、tvN関係者たちが「賢い医師生活」のスピンオフドラマ「いつかは賢い専攻医生活」（「언젠가는 슬기로울 전공의 생활」）の編成が保留されてしまい、その空白を埋める作品を探している中、未編成作品の中から発見したという。数年前とは違って、普遍的な内容が視聴者に負担なく歩み寄れるのではと考えたという。
また「悪い記憶の消しゴム」のキム・ジェジュンはドラマ製作発表会で「撮影当時はジャンル物が多かった」と振り返っており、「ちょうどロマンティックコメディブームが起きた時期に放送することになって嬉しい」と話した。

この両作品が無事に放送されたことによって、現在未放送の他作品も希望が持たれるようになったことだろう。「偶然かな。」チェ・ジョンヒョプ、「悪い記憶消しゴム」イ・ジョンウォンのように、現在はスター級の俳優たちの過去出演作が倉庫の中に眠っている可能性もあるためだ。また一度放送されてしまえば、海外で公開されるなど多様に活用する道が開かれるため、今年に入って製作会社が未編成作品を持って放送会社などを訪れる機会が増えたという。

8月13日に放送終了した「偶然かな。」、現在放送中のキム・ジェジュン×チン・セヨン「悪い記憶の消しゴム」、そして8月17日からはついに「となりのMr.パーフェクト」が放送を控えているなど、この夏はロコドラマが集中して放送され「ロマンティックコメディブーム到来」と言っても過言ではないだろう。視聴者達からは「ここ近年の過激な作品にはもう疲れた」という声も聞こえてきており、もっと気楽に、楽しく観ることができるロコドラマが今後も続々と放送されるのを期待したい！