NHK「三国志 秘密の皇帝」放送前に:時代背景(漢王朝~三国時代)と悲運の皇帝、献帝・劉協紹介

09月03日19時00分ドラマ
© Chinese Entertainment Tianjin Ltd.

『漢王朝最後の皇帝に双子の弟がいた」という奇抜なストーリーで描かれる、愛と民のために闘うもう一つの三国志ロマン、中国ドラマ「三国志 秘密の皇帝」9月8日の放送を前に、時代背景と実在の皇帝、献帝(劉協)を紹介しよう。NHK番組サイトも公開し、予告動画や相関図も公開している。



「三国志 秘密の皇帝」は、亡き皇帝、献帝・劉協と入れ替わった双子の弟・劉平が、愛と民のために闘うもう一つの三国志ロマン。【「三国志 秘密の皇帝」を2倍楽しむ】では、時代背景、人物・キャスト紹介、各話のあらすじと見どころなどまとめている。

三国志© Chinese Entertainment Tianjin Ltd.

【ドラマの設定】

物語の舞台は漢王朝末期。国力が衰退していた漢の皇帝・劉協(りゅうきょう)が亡くなり、地方で育った弟で心優しい青年・楊平(りゅうへい)が皇帝に成り代わるという、大胆な設定から始まる新しい三国志だ。
曹操(そうそう)、孫権(孫権)、劉備(劉備)などが群雄割拠する時代に、“実は皇帝・劉協の隠された双子の弟”という予期せぬ秘密を明かされた楊平が、亡き兄の意思を継ぎ皇帝に成り代わり、皇后の伏寿(ふくじゅ)と幼馴染の司馬懿(しばい)と共に、漢王朝の再興するため、曹操との戦いに挑んでいく。



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物語の主人公・劉平は架空の人物。双子の兄とされる献帝・劉協(けんてい・りゅうきょう)には双子の弟はいない。では、実在した劉協はどんな皇帝だったのか?


【悲運の皇帝、献帝(劉協)紹介】(生年181年~234年没)

劉協は、後漢王朝第14代皇帝であり、王朝の滅亡と共に退位した漢王朝最後の皇帝。181年に生まれたが、この時代は宦官や趙忠が幅をきかせ、賄賂も横行していておりまさに混乱の最中だった。三国志の始まりと言われる黄巾の乱が184年なので、まさに三国志の歴史と共に誕生したと言える。劉協は母・王栄を第12代皇帝の皇后・何皇后に毒殺され、早くから近しい肉親を亡くしてしまう。妻は伏寿(ふくじゅ)と曹節(そうせつ)で、曹節との間に複数の子どもがいたが、多くは早世し詳細な情報は少なく、劉玹(りゅうげん)と劉懿(りゅうい)の息子たちが記録に残っている。
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母亡き後、霊帝の母・菫太后に育てられた劉協は聡明で、霊帝の長子・劉弁と後継者争いに巻き込まれる。しかし霊帝亡き後、劉弁が少帝として即位するも、聡明な劉協を皇帝に臨んだ董卓(とうたく)が、劉弁と何皇后を暗殺、献帝はこの時に後漢第14代皇帝、献帝として即位した。

その後、董卓に利用される献帝だったが、董卓は呂布により殺害。董卓の後も様々な人物が献帝を保護しようとするが、最終的には曹操に保護されることに。しかし曹操は、献帝の周囲の者達を次々に殺し、娘を献帝に嫁がせるなど、次第に操るようになっていく。董卓によりその才を見出された献帝だったが、乱世においてそれを発揮することはほぼなく、曹操により退位に追い込まれていくのである。


では、ドラマの舞台でもある、劉協が生きた漢王朝と三国時代はどんな時代だったのか?


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【時代背景】

■漢王朝の歴史(紀元前202〜220年)

始皇帝が作った秦を倒した劉邦の漢帝国は、前漢・後漢と戦乱の世を繰り返しながら約400年続いていた。しかし、後漢では飢饉、疫病が続く時代の中、皇帝の後継者問題により各地で反乱が勃発。184年の黄巾の乱以来、国は混乱が続き、各地には群雄たちが割拠してくる。さらに後漢王朝では外戚(皇帝妃の出身一族)と宦官が政治を巡り対立。魏の曹操(そうそう)の保護のもと、形式的には220年まで存続し、最後の皇帝・献帝が禅譲という形で曹操の子・曹丕(そうひ)に帝位を譲り、ここに漢王朝は滅亡した。


・前漢(紀元前206年 - 紀元8年)
前漢は、劉邦(高祖)が秦王朝を倒した後に成立した。高祖は、封建制度を廃止し、中央集権的な政治体制を整えた。前漢の全盛期は、武帝(在位:紀元前141年 - 紀元前87年)の時代で、この時期に対外的な拡張政策を行い、領土を広げた。また、儒教を国家の基本思想として採用し、官僚制度を整備た。


・後漢(25年 - 220年)
後漢は、前漢が王莽の新朝によって一時的に中断された後、光武帝(劉秀)が復興させた王朝だ。光武帝は、地方分権的な政策を見直し、再び中央集権的な体制を強化した。後漢の時代には、仏教が中国に伝来し、文化的・宗教的な交流が活発になった。しかし、後漢末期には、黄巾の乱などの内乱が相次ぎ、最終的には三国時代へと移行した。



■三国時代(220年 - 280年)

漢王朝が滅亡した後、中国は華北の魏・江南の呉・四川の蜀と三国に分立し、ここから三国志が幕を開ける。263年に実験を司馬炎が握る魏が蜀を滅ぼし、265年に司馬炎が帝位を奪い晋に代わる。そして280年に晋が呉を滅ぼし、一時的に中国の統一を回復。ここまでを三国時代と言い、この三国の歴史を記したものが『三国志』となっていく。


・魏(220年 - 265年)
曹操(そうそう)の子である曹丕(そうひ)が後漢の最後の皇帝・献帝(けんてい)から禅譲を受けて魏を建国した。魏は北部中国を支配し、最も強大な国とされていた。魏の都は洛陽(らくよう)で、強力な軍事力と行政機構を持ち、他の二国に対して優位を保った。


・蜀(221年 - 263年)
蜀は、劉備(りゅうび)が成都(せいと)を都に建てた国だ。劉備は漢王室の一員を称し、正統性を強調した。劉備の死後、その後継者として諸葛亮(しょかつりょう)が政権を支え、内政改革と軍事遠征を行ったが、最終的に魏に敗れて滅んだ。


・呉(222年 - 280年)
呉は孫権(そんけん)が建国した国で、南部中国を支配した。都は建業(けんぎょう)で、後に建康(けんこう)と改名された。呉は長江を利用した海上貿易と強固な防衛体制で魏と蜀に対抗したが、最終的に晋に征服された。



[原題]

三国机密之潜龙在渊
三国機密/三国志 Secret of Three Kingdoms
[制作] 2017年 中国



【放送予定】

BSP4K(日)21時00分 9月8日(日)開始
BS(木)24時25分 9月12日(木)開始
((金)午前0時25分9月13日(金)開始)
[話数] 全33回(予定)
[音声] ステレオ2か国語
(主音声:日本語吹き替え/副音声:中国語)/[字幕放送] 有り

NHK「三国志 秘密の皇帝」番組サイト

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