【韓国ドラマ】絶対観るべきミステリー①:2年間“お蔵入り”していたドラマが驚異の視聴率3倍増へ
2年間、日の目を見ずお蔵入りしていたドラマが2024年8月16日ついにMBC金土ドラマとして放送された。「白雪姫には死を~BLACK OUT」だ。初回視聴率2.8%(全国ニールセンコリア基準)と、今年のMBCの週末ドラマで最も低い数字だった。
2024年の韓ドラの潮流と評価の分かれ目
2024年は韓国ドラマの主流が、「ロマンチックコメディ」や「回帰・憑依・転生」作品と一線を画したミステリーというのも評価の分かれる要因となった。同時間帯のSBSドラマ「グッド・パートナー」の視聴率が二桁を超えていたこともあり、このまま埋もれるのではないかとの懸念もあった。
ところが、視聴者は「白雪姫には死を~」を違った目で見た。しっかりした原作のストーリーと先の読めない展開、俳優陣の熱演が口コミで広まり、21日の第最終回では視聴率が8.8%に到達し、瞬間最高視聴率は9%台まで跳ね上がった。初回放送から3倍超えの伸び率だ。
監督と演技の見どころ
特に注目を集めたのは、映画監督ピョン・ヨンジュが10年ぶりにドラマのメガホンを取り、ドラマ監督に初挑戦したことだった。映画ならではの壮大な演出、緻密な美術構成、巧妙な伏線と構成力は、視聴者を引き込むに十分なものだった。
画像:MBC「백설공주에게 죽음을-Black Out」
主人公コ・ジョンウを演じたピョン・ヨハンの存在感も大きかった。彼は高校生から青年期、エリートから殺人者に転落するまでの10年間の変化と混乱を深い眼差しと重厚な演技で表現し、作品に一層の重みと完成度を与えた。
また、コ・ジュン、キム・ボラ、クォン・ヘヒョ、ぺ・ジョンオク、チョ・ジェユン、コ・ボギルら脇を固める俳優陣もベテランから若手まで登場人物全員が素晴らしい演技で没入感を高めた。
画像:MBC「백설공주에게 죽음을-Black Out」
ドラマのテーマと社会的背景
「白雪姫には死を~」はドイツの人気小説を原作にしている。証拠が不十分なミステリー殺人事件で犯人に仕立て上げられ、前科者となった主人公コ・ジョンウが、刑期を務めて10年後に真実を追い求める姿を描く。医大に入学予定だった優等生が、ある日突然失墜する。出所後、故郷に戻り無実を証明しようとするが、村人たちは彼に冷たい仕打ちを続け、かつて信頼した人々でさえ彼の「無実」に耳を貸さない。母親ですら「生きたければ戻るな」と告げ、彼女は不慮の事故で昏睡状態に陥る。
家族愛や友情、愛も描かれるが、それがどれも歪んでいるのだ。信頼していた人々がそれぞれの欲望のために主人公を破滅させるという展開は、韓国のドラマでは珍しい内容だ。村全体が主人公に不利な証言を重ね、彼を犯人に仕立て上げるシーンは、人間の醜い本性をリアルに描いている。評論家のファン・ジンミは「閉鎖的な共同体で自己本位に陥り、真実を無視し、自己保身のために隠蔽に走る姿は恐ろしくも現代社会を反映している」と述べ、「警察署長や他の主要キャラクターが法の枠を超えて権力を振りかざすシーンは、架空ではなく現実にもあり得ると共感を呼ぶ」と評した。
韓国社会への鋭い視点
ドラマ「君を守りたい~SAVE ME~」や「豚の王」などで知られる制作会社Hidden Sequenceも高評価を得た。代表のイ・ジェムンは「ヨーロッパ原作だが、韓国社会特有の構造や価値観を深く掘り下げたことが視聴者の共感を呼んだ」と語り、「韓国人は不正義に憤るが、その怒りが選択的でないと言えるかという問いを投げかけたかった」と述べた。
日本での配信と反響
「白雪姫には死を~BLACK OUT」は韓国と同日に日本でU-NEXT、Hulu、FOD、Lemino、ABEMAプレミアムなど複数の配信各社で配信された。独占でなかったこともあってか、日本ではあまり告知されることもなかったが、「ミセン-未生-」、「六龍が飛ぶ」、「ミスター・サンシャイン」、「サムシクおじさん」など様々なジャンルで名演技を披露し、大作映画『ハンサン ―龍の出現―』でも圧倒的な存在感で日本でも人気の俳優ピョン・ヨハン主演とあって、韓ドラに詳しいファンは配信を心待ちにしていた。ネットでも毎回の配信が終わると、感想や考察で盛り上がった。
まとめ
ミステリー好きにはぜひともお勧めしたい。「白雪姫には死を~BLACK OUT」は、ただの殺人事件の謎解きに留まらず、社会の闇を描き出し、視聴者に強いインパクトを与える作品。ミステリー・サスペンス好きな方にはぜひ、視聴して見てほしい。
【「白雪姫には死を」を2倍楽しむ】で全話ネタバレあらすじ、見どころ、キャスト紹介、視聴率などまとめている。
◇YouTube「MBC Drama」チャンネル
【作品詳細】【「白雪姫には死を」を2倍楽しむ】