韓国ドラマ「鬼宮」深掘り―ヨリ(キム・ジヨン)が踊った“紙銭舞”の意味と韓国の霊的儀式

7日放送したSBS「鬼宮(ききゅう)」(原題:귀궁)最終回、白装束のヨリが舞う姿は、ただの儀式ではなかった――。そこに込められた“魂送り”の意味とは?
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■紙銭舞とは?
この舞は紙銭(しせん/지전(ジジョン))かみぜに、紙で作ったお金)を使った儀式的な踊り
「紙銭」は、神や死者への供物として用いられる紙で作った貨幣のこと。中国や韓国、ベトナムなどの道教・仏教文化圏では、祖先や死者のために紙銭を燃やす習慣がある。これには「あの世で困らないように」「三途の川の渡し賃として」などの意味が込められている。
■紙銭舞の意味・役割
紙銭舞(しせんまい/지전춤)は、紙銭を手に持って舞いながら、死者や霊の魂を慰めたり、成仏(天に送ること)を祈るための踊り。韓国の伝統儀式やドラマの中では、恨みを持った霊や亡者の魂をなだめ、あの世へ送り出すために踊られることがある。
■「鬼宮」の中の紙銭舞

もちろんこれはドラマの演出だが、韓国の伝統仮面劇「タルチュム」や仏教儀礼舞踊の中には、「墨僧舞(ムクスンム)」や「八墨僧舞(パルモクスンチュム)」と呼ばれる演目がある。これは僧侶や登場人物が墨を使って踊る場面で、実際に舞台上で墨を使って足跡を残す演出もみられる。

ドラマで、よく見るとヨリは舞いながら見事な蝶の形の足跡を残している。蝶は韓国や東アジア、さらには世界中で「変化」「再生」「復活」「魂」「幸運」などの象徴とされてきた。特に韓国や日本、中国などでは、蝶は亡くなった人の魂を天に導く存在、あるいは魂そのものの化身と考えられることが多く、「トッケビ~君がくれた愛しき日々~」や「ホン・チョンギ」などでも霊的な存在を示す演出で登場する。
「鬼宮」は、霊媒としての運命を拒む巫女ヨリと、ヨリの初恋の相手ユン・ガプの体に閉じ込められたイムギ(蛇が龍になる前の韓国伝説の動物)のカンチョリが、王家に恨みを抱く八尺鬼(パルチョッキ)と対峙し、体と魂が複雑に絡み合うファンタジーロマンスだが、古くから伝わる妖怪を登場させたり、「夜光珠」や「ムレスズメ」など、古くから伝わる伝承や神秘的な演出もドラマを盛り上げた。
【「鬼宮」を2倍楽しむ】では、制作発表会レポや全話あらすじ以外にも、「歴史・妖怪・鬼神・アイテムなど」についても紹介している。このコーナーと共に「鬼宮」を振り返ってみてほしい。
「鬼宮(ききゅう)」全話はLeminoで独占配信中だ。次週6月13日(金)からはナムグン・ミン×チョン・ヨビン主演の「私たちの映画」(原題:우리 영화)が放送される。
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