国内視聴率は世界には通用しない?韓国ドラマ「離婚保険」国内低迷から世界的ヒットへ

2025年春、tvN月火ドラマ「離婚保険」はイ・ドンウク、イ・ジュビン、イ・グァンス、イ・ダヒといった実力派俳優陣を揃え、放送前から大きな期待を集めた。
●【「Prime Video」で独占配信の韓国ドラマ】
「離婚保険」は、保険会社の革新商品開発チームが「離婚」という現代的なテーマに挑み、新たな保険商品を開発するオフィス・ロマンティックコメディである。斬新な設定と話題性で期待されたが、国内での視聴率は伸び悩んだ。
■国内視聴率は右肩下がり、過去最低水準に
初回は全国有料世帯基準で3.2%とまずまずのスタートを切ったが、その後は回を重ねるごとに数字が下がり、第2話2.4%、第3話2.0%、第4話1.4%と低迷。10話で1.0%、11話では0.9%と0%台に突入し、最終回も1.1%にとどまった。過去5年のtvN月火ドラマで最低水準の視聴率となった。
視聴者からは「主人公の三度の離婚という設定が共感しにくい」「エピソード中心でキャラクターの深みが足りない」「ロマンティックコメディとしての魅力が弱い」といった声が多く寄せられた。さらに、離婚保険という題材の説明が多すぎてテンポが悪くなったという指摘もあった。
■グローバル市場で意外な快進撃
ところが、韓国国内で苦戦した「離婚保険」は、グローバルOTT(動画配信サービス)市場で予想外の快進撃を見せた。Prime Videoでは配信直後からアジア6カ国で1位を獲得し、世界ランキングでも上位にランクインした。特に香港、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイでの人気が際立ち、韓流ドラマの強さを証明した。
ロマコメとしては軽妙なやりとりやテンポの良さ、保険という題材のユニークさが、グローバル視聴者の「新しさ」への期待と合致したとも考えられる。
■国内評価と世界評価のギャップ
この現象は、国内視聴率とグローバル人気のギャップが広がっている韓国ドラマ界の現状を象徴している。国内評価が低くても、OTTを通じて世界中の視聴者から熱い支持を得る作品が増えている。
Netflixで配信された「愛の不時着」も、最終回では21.7%という高視聴率を記録したが、初回は6.1%と決して高くはなかった。スタジオドラゴンの事業戦略担当・イ・ギヒョク氏は、「我々は世界配信を見据えて企画・予算・著作権を管理し、持続的なグローバル展開で資金調達を可能にしている」と語っている(NHK BSプレミアム「アナザーストーリーズ 運命の分岐点」2021年10月12日放送より)。
「離婚保険」もスタジオドラゴンが制作に関わっており、最初からグローバル市場を意識した戦略の一環だった可能性が高い。
■グローバル時代の新たな成功モデル
今や、視聴率だけで作品の価値を判断する時代は終わった。「離婚保険」は、グローバル時代の新たな成功モデルとして、今後の韓国ドラマ界を象徴する存在である。
「離婚保険」は現在、Prime Videoで全話独占配信中だ。全話あらすじや見どころ、韓国での反応などの詳細は【全話あらすじ・関連記事】で確認できる。
