「愛の不時着」知られざる大ヒットの秘密を3つの視点から徹底分析!<アナザーストーリーズ>番組レポート

[10月13日07時00分]  【ドラマ】

「愛の不時着」知られざる大ヒットの秘密を3つの視点から徹底分析!<アナザーストーリーズ>番組レポート

NHK BSプレミアム10月12日(火曜、午後9時~)の「アナザーストーリーズ 運命の分岐点」は、Netflixで独占配信中「愛の不時着」(主演、ヒョンビン×ソン・イェジン)の世界的大ヒットの要因を3つの視点から考察した。番組詳しく紹介しよう。
「愛の不時着」大ヒットの秘密をNHK「アナザーストーリーズ」が探る!紹介



「愛の不時着」は、パラグライディング事故で北朝鮮に不時着してしまった韓国の財閥の娘ユン・セリ(ソン・イェジン)と北朝鮮の将校リ・ジョンヒョク(ヒョンビン)の絶対極秘の禁断の愛の物語。
【「愛の不時着」を2倍楽しむ】では、ドラマ各話の詳しいあらすじと見どころ、キャストの紹介、豆知識などまとめて紹介している。

韓国で2020年2月16日最終回が放送、2月23日に世界配信され、世界中がこのドラマに熱狂した。特に日本では2020年の流行語大賞にもノミネートされた。番組では国境を越えて社会現象となった「愛の不時着」の知られざる秘密を、主演俳優ソン・イェジン、監督イ・ジョンヒョ、北朝鮮の人々の3つの視点から迫った。

【視点①主演俳優:ソン・イェジン「国は違っても、愛は愛」】
ユン・セリ役を演じたソン・イェジンは「このドラマは韓国以上に海外の方が本当に愛してくれました。これまで出演した作品の中でも別格。どうしてこの作品がここまで人気なのか…最初は不思議でたまらなかった」といいながらも、ヒットの理由を「韓国と北朝鮮の特殊な関係への好奇心がとっかかりだったが、見ていくうちに、誰にでも通じる愛の物語。まるでロミオとジュリエットのような悲しくも美しいラブストーリーに…。国は違う、文化も違うけれど愛は同じ。だから世界の皆さんに愛されたんでしょうね」と語っている。
そんな彼女は、脚本をもらった瞬間、なんとも荒唐無稽、奇抜なアイデアに驚きながらもそれに感動し、「やらない理由がなかった」と二つ返事でオファーを受けたそうだ。

脚本を手掛けたのは、あり得ない設定のラブコメを得意とするパク・ジウン作家。「星から来たあなた」(宇宙人×トップ女優)、「青い海の伝説」(人魚×詐欺師)などヒット作を連発してきたパク作家が満を持して描いたのがこの「愛の不時着」。

朝鮮半島では、1950年、同じ民族の韓国と北朝鮮の間に朝鮮戦争が起き、民間人を含む300万人以上の犠牲者が出た。3年後、北緯38度線を境に軍事境界線が定められたが、あくまで休戦で、国際的にみれば戦争状態。その後も融和と緊張を繰り返し、両国の自由な行き来はできずに脱北者も続出。そんな北朝鮮が主要舞台になる「愛の不時着」。製作には多くの苦労があったという。

まず、韓国の俳優が北朝鮮の人を演じるのが大変!
劇中、北朝鮮の兵隊の中でも特に愛国心の強かったピョ・チス役を演じた俳優ヤン・ギョンウォンは、撮影前の1ヶ月半、脱北者の先生に北朝鮮の言葉をみっちり特訓してもらったそうだ。移動中も録音した音声を聞き「身体は韓国にいても”耳”北朝鮮に飛ばしていた」という。文字や文法が同じだが、使う単語は違ったりするようで、制作にあたり脱北者13人をメンバーとする諮問委員会を作り、俳優たちには話し方、発音、歩き方まで徹底特訓された。

ヤン・ギョンウォンは、他にも、韓国で2年の兵役期間が北朝鮮では10年もあり、戦友の絆も強いと聞き、演じたチスは単に視野の狭い軍人ではなく、「軍人としての責任感、国に対する誇りは人一倍強い」と考え、セリが語る韓国の文化に対しても「羨ましい」ではなく「拒否感」を感じるだろうと考えて、セリに食って掛かったという。ドラマの終盤、韓国に潜入した時でさえも拒否感を示したが、セリと時を過ごすにつれて親近感へと変換していった。また、ヤンは両国の分断を強調しすぎることにも気を付け、「わからないと先入観を持ってしまうが、国は違っても人は同じ。違いは見せても、共感できるところはしっかり演じる」というところに配慮したという。

本作を2回見たという、ノンフィクション作家のキム・ジソクは、「これまでにも北を素材としたコンテンツは結構あったが、そのほとんどが現実離れしたり、南北の戦いがほとんどだったが、今回は人間味のある作品だった」とその魅力を語った。

その人間味をもっとも色濃く示したのは、セリとジョンヒョクの愛のドラマ。台本を何度も読んでソン・イェジンがそのカギを見つけたのは、第4話ラストのセリが市場で迷子になったときに、ジョンヒョクがキャンドルを持って探しに来るシーン。セリがジョンヒョクを好きになった瞬間だ。このシーンをピークにするために、ソン・イェジンは、前半を逆算したという。「強気な人物。誰にも頼らない。超ポジティブマインド。どうしようもない状況になったとき、ジョンヒョクが自分を助けてくれる姿を見て本当の愛を知った」と恋に落ちた瞬間を教えてくれた。

また、最終話。韓国に潜入したジョンヒョクが北朝鮮に送還されるシーン。「撮影中、胸が痛く、どう演じたらこの気持ちが伝わるか」悩みに悩んだという。撃たれる危険を顧みず、愛のために境界戦をまたぐ。その画面で固く握ったセリの手がスローで離れる名シーンがあるが、これは台本にはなかったという。ジョンヒョクを愛するセリになり切った俳優ソン・イェジンの心が自然とそうさせたのだ。

2020年。コロナ禍まっただ中、世界に向けて配信された「愛の不時着」。分断を越える愛の物語は、先の見えないパンデミック、分断に苦しむひとびに強い共感を呼んだ。ソン・イェジンが共感し、最も好きだというのが、劇中何度か出てくるインドのことわざ“間違った列車がときには目的地に運ぶ”だ。「あなたには思い通りに行かなくても将来を考えてみて。あなたには幸せでいたほしい。どんな列車に乗っても必ず目的地に着いて欲しい」とジョンジョンヒョクを元気づけた言葉だ(16話「見どころ」、5話「見どころ」参照)。

配信から1年以上たっても世界中でヒットか続くが、韓国では初回6.1%で、北朝鮮を美化していると逆風が吹いた。それが最終回21.7%。放送チャンネル歴代1位となった。

【視点②監督:イ・ジョンヒョ「北朝鮮をどう描くか」】
イ監督は最初に脚本を読んで「ぶっ飛んだ設定」に戸惑ったそうだ。そしてパク作家に会いにニューヨークへ飛んだ。当時の南北関係はよくなったり悪くなったりで、このテーマを扱うにはあまりにもセンシティブで、パク作家の覚悟を確かめに行ったのだ。「70年代の農村を舞台にしたような素朴で暖かい、普通の人を描くドラマにしたい。北朝鮮の政治を超えて世界中の誰もが共感できる普通の人の姿が見えてくる。そんなドラマにしたい」というパク作家の言葉で方向性を見つけたというイ監督。

だが、ロケーションに苦労した。
物語の大半が北朝鮮で進む「愛の不時着」は前途多難。最初は北緯38度線だけだったので韓国で撮れると思ったが、実際には平壌(ピョンヤン)のシーンが多く、北朝鮮の建物が独特でどこにもふさわしい場所がなかった。ピョンヤンで撮影ができないか、と探ったがダメだった。撮影前から難題山積。そこで諮問員会で綿密なヒアリングを行い、北朝鮮のスローガンでも政治的なものだけでなく「奉仕の心」といった面白いものがあると聞き、温かいイメージでリアルを追求した。だが、1970年代の北朝鮮の素朴な場所は見つからず、結局セリが匿われた村は丸ごとセットだっという。この村の人民班長ナ・ウォルスク役を演じたキム・ソニョンは、このセットにたまげたという。「何もなかった山の上に北朝鮮の村を作って、ドラマに映らないところまで全て細かく作りこまれており、タイムトリップしたみたいだった」と当時を振り返った。

料理のシーンもまた同じ。ジョンヒョクがセリのために作ったのは、北朝鮮でおなじみのトウモロコシの麺。イ監督は、ディテールがそのままジョンヒョクの性格に繋がるので特に注意したという。キャンドルのシーンも脱北者から停電が多いと聞いてのシーンだが、撮影では照明がないと人物が見えない。そこで撮影部、照明部とギリギリ最小限の灯りで撮ったのだと。苦労の甲斐あって「二人の心が露わになるいいシーンが撮れた」と自信をのぞかせた。

またイ監督は、「私が全体を見る人だとしたら、深さを作るのは俳優」だという。その一例が、セリが村を去った後、「自分は韓国からきた」ことを打ち明けるセリの置き手紙を村の人々が読むシーン。実はこのシーン、監督としてはコミカルなシーンにしようと思ったそうだ。だが人民班長が泣き出して、監督もつられて泣き、切ないシーンになったという。

そんな苦労をし、莫大な予算と製作時間をかけたドラマの初回の視聴率は6.1%と振るわなかった。制作サイドはショックを受けただろうと思いきや、もともと「TV視聴率は度外視」していたのだという。最初からサブスクリプション(定額配信)による世界配信を見越して作られたのだ。

制作会社のスタジドラゴン事業戦略のイ・ギヒョクは、「我々はドラマを作って後は放送局にお任せの制作会社ではない。世界配信に向けて企画や予算の管理、全作品の著作権を保有している。それにより、持続的に世界に配信される続けるので資金調達ができるのだ」と語った。同社の売り上げは4分の3を国内の放送で上げていたが、今後の時世を見越し、2017年以降、世界配信中心に戦略を大転換し「愛の不時着」はその戦略の目玉だったのだ。「(パク作家やイ監督という)韓国ドラマが誇る最高の才能を投入し、国内の視聴率を気にせず、とことん必要なだけ資金を注ぐ。そうすればヒットは確実に生める!ヒット作は資金をもたらし、それが次のヒットを生む。世界に売るときも配信するプラットホーム先のいうことだけを聞いてはダメ。こちらでテーマと予算を握っておけないと自由に作れない。」と言い、「そういう意味でNetflixとはいいパートナーシップが築けた」とイ・ギヒョクは語っている。

Netflixコンテンツ部門バイス・プレジデント(韓国作品)のガン・ドンハンは「愛の不時着」の人気はかつての韓流ブームとは違うという。「国や文化を超えて愛されるのが真の良いコンテンツである。それが僕たちの信念。「愛の不時着」はその証です。Netflixのような世界配信のサービスが始まる前は、韓国コンテンツはアジアの限られた国で愛されるだけで、その国のブームに乗っかるしかなかった。でも今は違う。韓流ブームがなくてもすぐれたコンテンツは世界中でファンを得ることができる。(BTSの世界的なブレイクなど)結果が示している」と語っている。

★ここから飛び切りのネタバレ注意!

すべてが計算ずくで作られた「愛の不時着」だが、1カ所だけ想定外があったという。それはエンディング。38度線で涙の別れをした3年後。ジョンヒョクは軍を除隊し、一度はあきらめたピアニストに。セリは音楽財団を設立し、音楽を通じて2人はスイスで再会。だが、当初の予定していたエンディングは、「38度線の開城(ケソン)工業地区で二人は遠くから見つめ合う。南北の関係を考えると、リアリティなエンディングはそれが関の山」と考えていたらしい。だが、ラブストーリーのエンディングとしては地味、あまりにも切ないと路線変更となった。

愛の不時着スイスで始まったドラマの撮影。実は2人は7年前に出会っていた。スイスでの撮影に同行していたパク作家が、急に「ラストシーンもスイスにしたいのですが」と言い出したのだ。結局、主役の2人は出会いのシーンの直後にエンディングを撮ることに。これについてソン・イェジンは、「どれだけ恋しくてこの人と再会できたのか、想像できないまま撮ることになったので、二人の感情が積もり積もって恋が満ちるのは分っていたけれども、まだ脚本ができていないので、あのシーンが一番大変でした」と当時の苦労を振り返った。(16話)
だが、「後々になっても、こうしてインタビューでお話するような作品ってめったにない。そういう意味でも私にとって(愛の不時着は)「幸せな贈り物」のような作品です。皆さんにとってもそうであればうれしいですね」とも話した。

2020年2月16日韓国で放送終了後、わずか1週間後の2月23日に日本でも配信。世界各国で視聴回数ベスト10にランクイン、日本では半年以上首位を独走した。そしてこの国際的ヒットは、世界で最も閉ざされた国の一つ、北朝鮮にも飛び火した。

【視点③北朝鮮の人々】
2020年夏。北朝鮮でも見られているという噂が飛び交った。噂の真偽を確かめたのは、長年独自のルートで北朝鮮の取材を続けてきたジャーナリストの石丸次郎。彼は「北朝鮮の人々はどう見るか?」という関心が湧いたという。規制の厳しい北朝鮮で、どうして韓国ドラマを見ることができるのか?実は、韓国コンテンツが見られるようになったのは2005年前後、中国でデジタル化されて海賊版で流入された。取り締まりが厳しくなっても収まらず、2020年12月、「反動思想・文化排撃法」つまり韓流コンテンツ廃絶法ができた。違反者には懲役5年~15年が科せられるという。

脱北者に取材を重ね、徹底したリアリティとこれまでとは違う等身大を描いた「愛の不時着」だが、北朝鮮政府の反応は荒唐無稽で不純、極悪非道な挑発行為のレッテル。それでも北の人々は「愛の不時着」が見たくて仕方がなかったという。石丸記者によると、北朝鮮では「愛の不時着」を“シチャク(時着)”という隠語で呼んでまで観たがったという。何がそれほどの彼らの惹きつけたのか?その一つが「オコゲやジャガイモを食べるシーン」。厳しい食糧難の北朝鮮ではオコゲもごちそう。それを悲惨に描くのではなくてユーモアを交えて描いたのが好感を持たれたようだ。また「人民班」役の俳優たちが北朝鮮の言葉を使ったのも面白がった。北朝鮮の人々もまた、韓国の人に対して同じ共通点を発見したのかもしれない。

キム・ジソクは、「今までになかったリアルさが脱北者に共感と、ホームシックも癒すことともあった」と「愛の不時着」の魅力を語った。彼は、中学生まで在日コリア3世として大阪で育ち、1959年の帰国政策で北朝鮮へ。生活に困窮し、2008年韓国に脱北して以来、北朝鮮の経験をノンフィクションとして発表してきた。そんな彼が特に印象深かったと挙げたシーンはドラマ終盤。北の兵士たちが初めて見たフライドチキンに驚くシーンだ(11話)。その姿に北朝鮮に今もいる友人たちを重ね、「早く一つになって、彼らにも味わわせてあげたいと思った。お互い戦うのはイヤなんで、早く対立性がなくなってほしいという思い。最後に兵士たちが韓国を思い出し、夢を語る姿をみて、早く一つになってほしいという南北の気持ちを(北朝鮮の兵士たちが)代弁してくれたような作品だった」と自身の夢と重ねた。

1953年に休戦し、軍事境界線が引かれてから70年近く。もっとも近くてもっとも遠い2つの国。国境を越えたラブストーリーは、フィクションでありながらも、今この瞬間も分断された人々の心を動かしている。

イ監督は「世界でも珍しい分断国家を舞台に、その厳しい現実をラブストーリーとしてドラマチックに描くことで解きほぐす。考えてみたらそんなこと、韓国ぐらいでしかできませんよね。だからこそ、世界中の人が見てくれたんじゃないかと思います」と語り、キム・ジュソンは「人の心を伝えるのにエンタメほど威力のあるものないと思います。特に今南北の関係が硬直して会うこともできない…政治的に未だに敵対している。人民たちには何の罪もない。そうした気持ちを表わせるのがエンターテインメントじゃないか。今後もこういったドラマはたくさん出てほしい」と希望を口にした。
ソン・イェジンは「ジョンヒョクの愛によってセリが心を開いて、温かく成熟した人間に変化していきますよね。愛の力は人を変える。ということをきちんと演じたかったんです」と役にかけた思いで締めくくった。

そして番組は、「愛は分断を超える。思想や文化が違っても、対立以外の道がきっとあるはず。そう信じて…」という言葉で終わった。

世界中を感動させたヒョンビン×ソン・イェジン主演「愛の不時着」は、Netflixで独占配信中だ。

■キャスト
リ・ジョンヒョク役:ヒョンビン
ユン・セリ役:ソン・イェジン
ソ・ダン役:ソ・ジヘ
ク・スンジュン役:キム・ジョンヒョン
チョ・チョルガン役:オ・マンソク
チョン・マンボク役:キム・ヨンミン
軍人社宅の妻たち
マ・ヨンエ役:キム・ジョンナン
ナ・ウォルスク役:キム・ソニョン
ヒョン・ミョンスン役:チャン・ソヨン

NHKBSプレミアム「アナザーストーリーズ 運命の分岐点」
※2021年10月12日(火)午後9時 ほか

Youtube予告動画
Netflix

kandoratop【作品詳細】【「愛の不時着」を2倍楽しむ】

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