NHK「照子と瑠衣」第4話:風吹ジュンと夏木マリ、胸の奥に秘めた過去を語る夜…心に響く『愛の賛歌』

7月13日(日)、NHKプレミアムにて放送された「照子と瑠衣」(TERUKO & RUI)第4話では、風吹ジュン演じる照子と、夏木マリ演じる瑠衣の20代の過去を久保田紗友と光宗薫が演じ、ふたりの心に秘められた痛みと再生への一歩が描かれた。この回のあらすじと見どころを紹介、次回第5話予告動画は番組HPで公開される。
「照子と瑠衣」の原作は井上荒野の同名小説で、人生の後半を迎えた女性ふたりが、自分らしい生き方を見つけようとする“シスターフッドドラマ”だ。⇒【全話あらすじと見どころ】/【キャスト紹介】
■第4話あらすじ
20代の照子と瑠衣―はじまりは“同窓会の夜”
八ヶ岳での新生活にも少しずつ慣れてきた照子(風吹ジュン)と瑠衣(夏木マリ)。照子は保養所で週2回の清掃バイトに励み、瑠衣は譲二(山口智充)が営むカレー&ライブバーで歌う日々を送っていた。
そんなふたりの絆の原点は、1980年12月の同窓会にあった。若き日の照子(久保田紗友)と瑠衣(光宗薫)は、会場の空気になじめずに早々に抜け出す。その夜、互いに過去を詮索せず、ただ静かに語り合ったことが、友情の始まりだった。
それぞれの“傷”を明かした夜
瑠衣は、かつて幼い娘・冬子を残して音楽仲間と駆け落ちし、その後の4年間を彼と過ごしたが、彼は交通事故で突然亡くなった。すべてを捨てたその選択の結末を、「新しい人生はたった4年で終わった」と淡々と語る姿が胸を打つ。
一方の照子は、大学時代に憧れていた教授が既婚者だったことから恋をあきらめ、求められるままに出会った男性と結婚。しかし、夫は照子を使用人のように扱った。夫の方に原因があって子供が持てないと、話しているのを聞いた12月8日、「ジョン・レノンが死んだ」とラジオから流れてきたニュースが、40数年後の“再出発”のきっかけになったのだった。
現在、そして再びの転機
現在のふたりは、冬子の話をしながらクリスマスツリーの飾り付けを楽しむ。そんな瑠衣は、今夜もライブでステージに立ち、“娘に贈るように”歌を届ける。
一方、照子のもとには思わぬ出来事が舞い込む。依子(福地桃子)・源太郎(三浦獠太)夫婦のガソリンスタンドで「占いのできるスタンド」としてテレビの取材が入ることに。照子の夫・寿朗(大和田伸也)に居場所がバレることを恐れ、彼女は顔を隠して取材を受けるのだった。
■第4話見どころ
20代の照子(久保田紗友)は、子どもができない原因を自分のせいにして夫が周囲に語っているのを耳にした日、ラジオから流れてきたのはジョン・レノンの訃報だった。その瞬間、彼女は「もう自分は死んだ」と心の中でつぶやく。
この“世界の終わりのような日”は、やがて再出発を決意する今の照子(風吹ジュン)の、静かで力強い原点として描かれている。その演出は派手さはないが、深く胸に響く。
また、20代の瑠衣(光宗薫)が語る「『ハッピー・クリスマス』は、“Happy Xmas Kyoko, Happy Xmas Julian”という囁き声から始まる。これはジョンとヨーコが、それぞれの別れた子どもたちに向けたクリスマスメッセージなのよ」という一言も印象的だ。その言葉は、やがて現代の瑠衣(夏木マリ)が譲二のライブバーで歌う『愛の賛歌(Hymne à l’amour)』へとつながっていく。
かつて幼い娘・冬子を残して駆け落ちした“罪”と、それでもなお抱き続ける“母としての愛”。その複雑な思いを、夏木マリが圧巻の歌唱で表現。
「愛とは何か」「母とは何か」という問いを、歌そのものが語りかけてくるような、心震えるシーンとなっている。
■次回予告:占い、盗難、そして東京へ―
次回第5話は7月20日放送。第5話では、照子に占ってもらいたいと譲二が訪ねて来る。どうやら瑠衣とのことを占いたいらしい。照子は嬉しい反面、クリスマスまでにここを出なければならないことを思い出す。瑠衣の歌も人気が出て八ヶ岳での生活に愛着がわき始めていた。だがそんな矢先、照子は持ち歩いていた全財産をバイト先で失くしてしまう。まさか盗まれた?切羽詰まった照子と瑠衣は、こっそりと東京に向かう。
【放送】 2025年6月22日(日)スタート〈全8回〉※予定
毎週日曜22時~22時45分(BS&BS レミアム4K)
【原作】『照子と瑠衣』 井上荒野
【脚本・ディレクター】 大九明子(『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』 『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』 ほか)
【脚本】 フルタジュン(1 話~3 話共著)
【出演】風吹ジュン 夏木マリ 、大和田伸也、福地桃子、山口智充 他
◇NHK「照子と瑠衣」HP
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