NHK「アガサ・クリスティー 殺人は容易だ」勝ち誇った犯人の笑みが衝撃的!【後編ネタバレ】

07時40分ドラマ
画像提供:NHKより

8月3日NHK総合でミステリーの女王アガサ・クリスティー原作のドラマ「殺人は容易だ」(全二話)後編が放送された。気になるネタバレあらすじとみどころを紹介しよう。後編はNHKプラスで8月10日まで配信される。



「アガサ・クリスティー 殺人は容易だ」は、1939年に出版されクリスティーによるノンシリーズの名作を現代的なアレンジを加え、豪華キャストでドラマ化。2015年からスタートの英BBCの特集ドラマシリーズの最新作だ。これまで同シリーズの「蒼ざめた馬」が2022年に、「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」が2024年にNHKで放送されている。

■前編あらすじは⇒こちら

■後編あらすじ
連続不審死について調査していたルークとブリジットの目前で、ハンブルビー牧師が亡くなった。ルークは被害者全員を診ていたトマス医師に疑念を持つ。ルークは牧師が娘のローズとトマス医師との交際を認めていなかったのは、トマス医師が優生学主義であると暴露し、ローズはトマス医師を見限る。

牧師の死について警察は事件性はないと判断。リバース運転手はアッシュボトム地区の住人達の不審死を調べて欲しいと訴えるが、とり合ってもらえず、自分たちが不当な扱いを受けていると声をあげる。

その直後、リバースがアッシュ館の敷地で何者かに撲殺され遺体が発見される。ホイットフィールド卿は警察に彼の死を内密に処理するよう依頼する。ウイッチウッド村到着後、続けておきた3つの不審死。アッシュボトム地区の女性達は「声を上げると消される」と噂する。

その日の午後、ブリジットはアッシュ館でホイットフィールド卿との婚約パーティーが開かれることをルークに告げる。ルークはイギリスに来てから見る悪夢についてブリジットに明かし、このまま祖国に背を向けイギリス政府で働くことが正しいのかと思い悩む。そして、ブリジットもホイットフィールド卿との結婚に迷いがあるとほのめかす。

トマス医師の診療所に侵入した2人は、彼がホイットフィールド団地開発の資金を横領している証拠をみつけ、さらにリバースの殺害現場で女性靴のヒールをみつける。ところが、卿がブリジットに婚約指輪を贈るセレモニーで、今度は犯人と目されていたトマス医師がスカーフに含ませた毒によって殺害されてしまう。

ルークが村に来てから立て続けに殺人事件が続いたことで、警察は彼を疑う。そこへホートン少佐が現れ、ルークを助ける。ホートン少佐はロンドン警視庁の伝手を使い交通事故を起こした車が、ホイットフィールド卿が所有しているのと同じリムジンだったことを突き止める。

ホイットフィールド卿の車の中からヒールのない靴をみつけたルークは、今度はブリジットが狙われていると推理し、卿に直接が詰め寄る。すると、ホイットフィールド卿は、被害者たちが自分に盾突く存在だったと認め、「神の罰を受けた」と言い放った。ルークはアッシュボトム地区の女性達に助けをもと、アッシュ館に戻るともう一度ホイットフィールド卿から被害者たちの死について語らせる。それぞれ身内を殺された女性達が一丸となって彼が卿を取り押さえ、ホイットフィールド卿は警察に逮捕される。その後、ロンドンでラビニア老婦人をひいた車のナンバーが卿の車だったことも判明する。

オノイア・ウェインフリートにホイットフィールド卿との関係を訊ねにいったブリジットは、オノイアに出されたお茶を飲んで意識がもうろうとし、彼女が今回の連続殺人の犯人だと気が付く。

オノイアは、自立するために家族に内緒で大学を受験し、家を出ようと計画したのだが、オノイアの父に雇われていたホイットフィールドに告げ口されて村から出ることができなくなってしまった。囚人のような生活を送るようになったオノイアは復讐のために、ホイットフィールド卿と敵対する人物を次々と殺害し、彼を殺人犯に仕立て上げたのだ。

ホイットフィールド卿に全ての罪をなすりさけ、ブリジット殺害まで計画していることを知ったルークは、危機一髪のところでブリジットを救出する。ロンドン警視庁に向かったラビニアを車の前に突き飛ばして殺害したのもオノイアで、その後、事故の目撃者としてホイットフィールド卿の車のナンバーを警察に知らせたのもオノイアだった。

無事事件は解決。ルークはウイッチウッド村を後にして、祖国ナイジェリアの独立運動に加わることを決意。ブリジットもホイットフィールド卿との婚約を解消して新しい人生を歩み始めた。

■ルークとブリジットのロマンスは?
原作ではロマンスに発展するはずの2人だったが、本作ではそれぞれの道を進むことに。途中までは強く惹かれあっていたはずなのだが…。事件解決後、平常心にもどり、“継吊り橋効果”が切れてしまったからなのか、安易なロマンスで終らせなかったところが面白い。

■賢すぎた犯人
前編で5人、後編で3人、計8人もの人間を殺害した犯人は、人畜無害そうなごく普通の女性だった。窓の清掃員トミーを突き落とし、パブの主人ハリーを水車小屋で溺死させ、ホートン少佐の妻をヒ素で毒殺し、事件を解決しようとロンドンへ行ったラビニアを交通事故に合わせ、住み込みメイドのエイミーとハンブルビー牧師も毒殺、さらにリバース運転士とトマス医師を殺害し…最後は犯人に気づいたブリジットにも手をかけようとした。

自分の人生を狂わされた復讐のためならば、ホイットフィールド卿本人を手にかければ済んだことだろうに…。賢すぎる犯人に、素人探偵は太刀打ちできず沢山の犠牲者が出てしまった。「あなたの犯行が上手すぎた」とルークに褒められたオノイアが、得意そうな笑顔を浮かべたまま、女王様然として連行されていく姿に鳥肌がたった。

■意外に善人だった容疑者
村人たちから妬みや恨みを買っていた、成りあがり貴族のホイットフィールド卿。派手好きで自己愛の強い彼だが、自身もアッシュボトム地区出身で、一代で貴族の称号を手に入れた苦労人だった。ブリジットからの婚約解消の申し出を素直に受け入れた紳士な態度や、殺人の容疑者にされたことに腹を立てて「狩りだってしないのに」と不貞腐れる姿は愛嬌があり、好人物だったことにホッコリとさせられた。

■キャスト
ルーク・フィッツウィリアム(デヴィッド・ジョンソン:阪口周平)
ブリジット・コンウェイ(モーフィッド・クラーク:清水理沙)
ラビニア・ピンカートン(ペネロピ・ウィルトン:滝沢ロコ )
ホイットフィールド卿(トム・ライリー:小山力也)
トマス医師( マシュー・ベイントン:中村章吾)
ホートン少佐(ダグラス・ヘンシャル:魚健)
ハンブルビー牧師(マーク・ボナー:村治学)
ハンブルビー夫人 (ニムラ・ブッチャ :水野ゆふ)
ローズ・ハンブルビー(フィービー・リコリッシュ 松井茜)
ピアス夫人(タムジン・アウスウェイト:所河ひとみ)
カーター夫人 (キャスリン・ハウデン:竹口安芸子)
リバース運転手(ジョン・ポインティング:北田理道)
オノリア・ウェインフリート(シネイド・マシューズ:渋谷はるか)
リード巡査(ケビン・メインズ:松川裕輝)
ブル刑事(ブライアン・マッカーディー:斎藤志郎)
ほか

[原題] Murder Is Easy
[制作]  2023年 イギリス
[音声] 2か国語(主音声:日本語吹き替え 5.1ch/副音声:英語 ステレオ)
[字幕放送] 有り

NHK『殺人は容易だ』ミステリーの女王クリスティー原作のドラマ
YouTube|Murder Is Easy |BBCトレーラー