【必見】「暴君のシェフ」×原作小説 ファンなら知っておきたい“違い”徹底解剖

Netflixにて全話配信中のtvN土日ドラマ「暴君のシェフ」(폭군의 셰프)の原作はウェブ小説『燕山君のシェフとして生き残る』(연산군의 셰프로 살아남기)だ。
ドラマは原作を下敷きにしつつも、大胆な改変を加えて新しい物語を描き出している。ファンなら絶対に押さえておきたい、両者の“違い”を徹底紹介する。
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「暴君のシェフ」は、現代から過去へタイムスリップした天才シェフのヨン・ジヨン(イム・ユナ/少女j代)が、絶対的な味覚を持つ王イ・ホン(イ・チェミン)と出会い、王宮で繰り広げられる波乱のストーリーを描いたサバイバル・ファンタジー・ラブコメディ。
ヨン・ジヨンの家族と唐辛子伝来
原作では料理人を目指す娘を受け入れられず父と決裂するが、ドラマでは娘と仲睦まじく暮らす姿が描かれる。唐辛子伝来の設定も大きく変更されている。小説ではタイムスリップ者が持ち込んだ種から広まったが、ドラマでは南蛮人漂流者を通じて既に伝来済み。ただし当時は毒草と誤解され、まだ食用化されていなかったという歴史改変になっている。
架空の暴君イ・ホンの誕生
原作の主人公は史実の燕山君・李㦕(イ・ユン)だが、ドラマでは架空の「ヨニ君イ・ホン」として再構築されている。「君」という称号は廃位を示唆する挑発的な呼び方であり、よりフィクション色が強まっている。さらに王妃キャラクターは登場せず、タイムスリップしたヨン・ジヨンとのロマンスに全振りした構成となっている。
➡時代背景は?イ・チェミンが演じる王のモデルは燕山君
※参考:朝鮮王朝の君主の名前
側室や王族の大胆なアレンジ
燕山君の側室で稀代の悪女として伝わる張緑水(チャン・ノクス)は「カン・モクジュ」へと改名され、イ・ホンの側室に置き換えられた。史実の斉安大君(チェアンテグン)も「チェサン大君」としてイ・ホンの叔父に設定変更され、陰謀を巡らす反逆者として描かれている。そのほか仁粹大王大妃(インステワンテビ)→インジュ大王大妃、慈順大妃(チャスンテビ/貞顕王后(チョンヒョンワンフ))→ジャヒョン大妃大妃など、主要人物の名称が次々と差し替えられている。
➡カン・ハンナ演じる側室は、三大悪女の張緑水(チャン・ノクス)?
➡化けの皮をはいだチェサン大君のモデルは斉安大君?
➡インジュ大王大妃(ソ・イスク)のモデルは“鉄の女”仁粋大妃
架空の宮殿と改変された士禍
舞台となるのは「奉徳(ポンドク)宮」という架空の宮殿だ。第2話で光化門(クァンファムン)が正門として登場することから、モデルは景福宮(キョンボックン)と推測される。歴史的大事件も改変され、「戊午士禍(ムオサファ)」は「戊寅士禍」に、「甲子士禍(カプチャサファ)」は「甲申士禍」として描かれる。イ・ホンは甲申士禍の余波で廃位され「ヨニ君」に格下げとなり、異母弟のチンミョン大君が王位を継ぐという展開になっている。
※参考:戊午士禍、甲子士禍については【韓ドラコラム】の「●第10代・燕山君(イ・ユン)【暴君】」の項で。
ドラマならではの取捨選択
原作は後半でマゼランやレオナルド・ダ・ヴィンチまで登場する奇想天外な展開を見せる。しかしドラマは映像化可能な範囲に絞り、中国使節との対決までを描き切っている。
原作の魅力を生かしつつドラマならではの大胆な再構成を施した作品だ。史実と虚構の境界を越えて描かれる人間ドラマは、原作ファンも新規視聴者も楽しめる内容になっている。細部の違いを探しながら観ることで、物語の奥行きをさらに堪能できる。
「暴君のシェフ」は全話、Netflixにて独占配信中だ。【「暴君のシェフ」を2倍楽しむ】では、全話あらすじと見どころ、キャスト徹底紹介、時代背景や豆知識など、ドラマを深掘りしている。
