NHK「未解決事件 File.10」 三億円を50年目に再検証
NHKのドキュメンタリー番組「未解決事件」シリーズ最新作として、日本犯罪史に残る未解決事件「三億円事件」を再検証する「未解決事件 File.10 三億円事件」が、1月10日(土)午後10時から放送される。
三億円事件は1968年12月10日、東京・府中市の路上で発生した。現金輸送車が偽の白バイ警官に停止させられ、現金約3億円がわずか3分で奪われた事件で、現在の価値では約30億円に相当するとされる。暴力を伴わない巧妙な手口は「劇場型犯罪」とも呼ばれ、社会に大きな衝撃を与えた。
捜査には延べ17万人の捜査員が動員され、捜査対象者は12万人に及んだ。警察が作成したモンタージュ写真は事件の象徴として広く知られたが、事件は1975年に時効を迎え、未解決のまま幕を閉じた。
今回の番組では、事件当時に現場の一部始終を目撃していた当時高校生の女性が、初めて取材に応じる。女性は、白バイへの違和感や警官姿の犯人の言動、犯人の姿について鮮明に証言している。さらにNHKは膨大な捜査資料を入手し、捜査体制や経緯、目撃証言、捜査対象者のリストなどを徹底的に検証した。
取材では、170人以上の捜査関係者へのアプローチを試みたものの、事件から半世紀以上が経過し、多くの関係者はすでに故人となっていた。その中で、数少ない最後の証言者たちが口を開き、当時の捜査の実態が明らかになっていく。
番組はまた、昭和の名刑事が残した手記にも焦点を当てる。そこには「初動のつまずきを取り戻すことは容易ではない」と記された苦悩が綴られており、ずさんとも言われる初動捜査の実態が、関係者の証言とともに浮かび上がる。事件現場から約20キロ離れた場所で目撃されていた、偽白バイに関する重要証言が十分に生かされなかった事実も明らかになる。
「未解決事件 File.10 三億円事件」では、なぜ事件は解決に至らなかったのかを改めて問い直し、国民的ミステリーとして消費されてきた事件を「検証すべき現実」として描く。高度経済成長期の日本で起きたこの事件が、現代社会に何を問いかけるのかにも迫る。
番組は1月10日(土)午後10時からNHK総合で放送され、NHK ONE(新NHKプラス)で同時配信される。見逃し配信は1月17日(土)まで予定されている。次回は平成の未解決事件として「ビットコイン巨額窃盗事件」を取り上げ、1月17日に放送予定だ。