対決ではなく共鳴だった…「かかし」パク・ヘス×イ・ヒジュンが示した新たな関係性演技
瞬間最高視聴率9.3%で有終の美を飾った韓国ドラマ「かかし」で、物語を支えた二人の名優、カン・テジュを演じたパク・ヘスとチャ・シヨンを演じたイ・ヒジュンの“演技対決”が大きな注目を集めている。その熱気は今も収まらずSNSにはメイキング写真や映像が続々と公開されている。
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二人は過去作でも共演経験があり、本作で通算4度目のタッグとなったが、本人たちが「これまでで最も深く、激しくぶつかり合えた作品」と語るように、信頼関係の上に成立した“極限の演技バトル”が視聴者を圧倒した。
本稿では、作品のテーマとも深く結びついた二人の演技の核心に迫る。
■ パク・ヘス:沈黙の圧力で語る「静」の狂気
パク・ヘスが演じるカン・テジュは、過去の未解決事件への罪悪感を背負い続けるプロファイラーだ。彼の演技の最大の特徴は、言葉よりも「沈黙」と「視線」で感情を構築している点にある。
とりわけ評価が高かったのは、真犯人やシヨンと対峙する場面で見せる“無言の圧”だ。怒りを爆発させるのではなく、冷静な眼差しの奥に長年蓄積された憎悪と後悔を封じ込めることで、逆に強烈な緊張感を生み出している。
また、物語中盤でヨンボムから「サムチュン(おじさん)」と呼ばれた瞬間に見せた表情の変化も象徴的だ。張り詰めていた精神が一気にほどけ、30年分の時間が崩れ落ちるような涙へと変わる。この“静から崩壊への転換”は、作品全体でも屈指の名シーンとなった。
■ イ・ヒジュン:理性の崩壊を描いた「動」の怪演
一方でシヨンを演じたイ・ヒジュンは、権力と欲望に飲み込まれていく人間の“変質”を、圧倒的な身体表現で描き切った。
序盤では洗練されたエリート検事、そして国会議員として冷静さを保つ人物として登場するが、物語が進むにつれてその均衡は崩壊していく。
隠蔽工作の露見、家族との断絶、そしてヨンボムからの拒絶。あらゆる支えを失った彼は、次第に理性を失い、視線・声色・動作すべてが制御不能な領域へと滑り落ちていく。
特に最終回では、「誰もが欲望と時代に操られた“かかし”だった」という作品のテーマを、自らの崩壊した姿で体現するような鬼気迫る演技を見せ、視聴者に強烈な印象を残した。
■ “嫌悪と執着”が生んだ関係性のリアリティ
テジュとシヨンの関係は、単なる対立構造ではない。互いを理解しすぎているからこそ生まれる「嫌悪と執着の共生関係」として描かれている点が、本作の最大の魅力だ。
法廷での対峙シーンでは、セリフの応酬以上に、間・視線・呼吸のタイミングが緻密に設計され、まるで長年の積み重ねが一気に噴出するような緊張感が走った。
これは単なる演技力だけではなく、長年の共演で築かれた信頼関係があって初めて成立する“ぶつかり合い”だったと言える。
■ 現実の関係性が生んだ相乗効果
二人は実生活でも演技の勉強会を行うほど親しい関係にあり、互いの芝居を研究し合う関係だとされる。
その信頼は、作品の中での“対立”をよりリアルにし、同時に“破綻寸前の共鳴”として成立させている。
最終的にテジュがジャーナリズムの道へ進み、シヨンが孤独の中で崩壊していく結末は、この二人の対峙があったからこそ成立したドラマ性だと言える。
■ まとめ:対決ではなく「共犯関係」としての演技
「かかし」におけるパク・ヘスとイ・ヒジュンの関係は、勝敗を決める“対決”ではない。
むしろ互いの限界を引き出し合うことで成立した、極めて高度な“共犯的演技構造”であり、その結果として作品全体のテーマである「人間は環境と欲望に操られる存在なのか」という問いを、より深く視聴者に突きつけることになった。
静と動、理性と崩壊。その両極がぶつかり合ったとき、『かかし』は単なるサスペンスを超えた心理劇へと昇華されたと言える。本作はU-NEXTにて独占配信中だ。
「かかし」は、康盛(カンソン)連続殺人事件の真犯人を追う刑事と、自身が嫌う検事との意外な共闘を描いた犯罪捜査スリラー。1986年から1991年にかけて韓国・京畿道華城郡で発生した韓国を震撼させた実在の未解決事件「華城連続殺人事件」をモチーフにしている。全話のネタバレあらすじや考察、キャスト・キャラクター徹底解説、制作発表会レポートなどは【「かかし」を2倍楽しむ】でまとめている。
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