「かかし」最終回8.1%で自己最高締め…“法で裁けなかった現実”を描いた衝撃作、その実話との共通点とは
ENAドラマ「かかし(ホスアビ)」が、最後まで重い余韻を残した。5月26日に放送された最終回は、ニールセン・コリア全国基準8.1%、首都圏8.3%を記録し、自己最高視聴率で有終の美を飾った。本作はU-NEXTで全話配信中だ。
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「かかし」は、韓国を震撼させた実在の未解決事件「華城連続殺人事件」をモチーフにした犯罪捜査スリラー。1986年から1991年にかけて韓国・京畿道華城郡で発生した同事件では、10人の女性が性的暴行・殺害され、長年未解決事件として残されていたが、後にイ・チュンジェが真犯人として特定された。
本作は単なる犯罪サスペンスにとどまらず、“法で裁けなかった現実”と、“その時代に人生を壊された人々”を真正面から描き、多くの視聴者に衝撃を与えた。
特に最終回では、カン・テジュが30年前の真実にたどり着きながらも、時効という巨大な壁の前で無力感に直面する姿が描かれ、現実の事件を知る視聴者から「実話と重なって胸が苦しくなった」という反応も相次いだ。
警察の拷問捜査…ドラマが暴いた“冤罪”の悲劇
劇中でもっとも痛烈に描かれたのは、警察による暴力的な捜査と冤罪被害者の存在だった。
ドラマでは、知的障害を持つ真犯人の弟が、激しい暴行や威圧的な取り調べによって虚偽の自白を強要され、犯人として仕立て上げられる。彼は否認する術もないまま人生を奪われ、長い歳月を刑務所で過ごすことになった。
これは実際の事件でも大きな社会問題となった部分だ。当時の警察は事件解決を急ぐあまり、障害を持つ無実の男性を不当に拘束し、拷問まがいの捜査で自白を引き出したとされている。男性は約20年間服役し、その後の再審でようやく無罪が認められた。
「かかし」は、この“国家権力によって人生を壊された被害者”の痛みを、フィクションとしてではなく、極めて生々しく映し出した。
最後まで立ちはだかった「公訴時効」の壁
最終回では、カン・テジュが決定的証拠にたどり着きながらも、事件発生から30年が経過していたため、真犯人を法的に裁くことができないという残酷な現実が描かれた。
これも実際の事件と完全に重なる。
2019年、最新DNA鑑定によって真犯人イ・チュンジェの身元が特定された。しかし当時の法律では公訴時効が15年だったため、連続殺人そのものについて新たな裁判を行うことは不可能だった。
つまり、真犯人が明らかになっても、“法的には裁けない”という矛盾が残ったのだ。
ドラマはこの不条理を、単なる制度批判としてではなく、「被害者遺族の時間は止まったままだ」という視点で描き出した。犯人が生きているのに裁かれない――その現実こそが、作品全体を覆う最大の恐怖となっていた。
再審法廷に現れた“本物の犯人”…現実でも起きた衝撃
終盤で最も大きな衝撃を与えたのが、模倣犯として服役していたイム・ソクマン(チョン・ソクチャン)の再審に、真犯人である書店主イ・ヨンウ/ギファン(チョン・ムンソン)が証人として出廷する場面だった。
これは2020年、韓国社会を震撼させた実際の出来事をほぼそのまま再現したものだ。
現実でも、別件の殺人罪で無期懲役となっていたイ・チュンジェ本人が、白い囚人服姿で再審法廷に現れ、「自分が本当の犯人だ」と証言した。そして、「私のせいで罪を被った方に申し訳ない」と淡々と語り、法廷はもちろん、韓国中に衝撃を与えた。
ドラマは、この“あまりにも現実離れした現実”を演出過剰にせず、静かに描いたことで、逆に強烈な余韻を残した。
地域社会に残った“消えない恐怖”
「かかし」が単なる犯人追跡劇に終わらなかった理由の一つが、事件によって壊されていく地域社会そのものを描いた点にある。
1988年の田舎町康盛(カンソン)を舞台にした劇中では、女性たちは夜道を歩くことすら恐れ、男性たちは警察に疑われることを恐れて隠れるように暮らしていた。住民同士の疑心暗鬼が広がり、町全体が静かな恐怖に支配されていく。
これは、実際の1980年代後半の華城でも同様だった。農村地帯だった現地では、夜になると女性の外出が途絶え、警察は“怪しい”と判断した住民を次々に連行した。事件は被害者だけでなく、地域全体に深いトラウマを残したのである。
「かかし」が最後に問いかけたもの
「かかし」は、犯人逮捕のカタルシスを見せるドラマではなかった。
むしろ、“真実が明らかになっても救われない人々”を描き続けた作品だったと言える。
法が届かなかった現実。冤罪によって壊された人生。そして、数十年が経っても消えない恐怖と傷跡――。
カン・テジュの執念の追跡を通して描かれたのは、「事件は終わっても、被害者の時間は終わらない」という厳しい現実だった。
自己最高視聴率で幕を閉じた「かかし」が、多くの視聴者に“単なる犯罪ドラマ以上の作品”として記憶されそうな理由も、そこにある。
最終回の詳しいあらすじと見どころは、【「かかし」を2倍楽しむ】で紹介する。ここでは全話あらすじと見どころ、キャスト・キャラクター徹底紹介、制作発表会レポートなどまとめている。
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