2月14日ベルリン・フィル「Digital Concert Hall」はシューマンの交響曲4番の初版ほかをライブ配信!

2009年02月08日10時04分音楽
Berliner Philharmoniker

1月より、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団がインターネットでのライブとオンデマンドのブロードバンド配信、「Digital Concert Hall」を有料で開始している(=既報)。

2月14日(土)午前4時(日本時間、現地時間は2月13日(金)午後8時)からのライブでは、ロベルト・シューマン(1810-1856)の「交響曲第4番ニ短調」の1841年初版と、ベルント・アロイス・ツィンマーマン(1918-1970)の「1楽章の交響曲」(1953年第2版)ほかが配信される。

シューマンの第4交響曲は、交響曲というよりも幻想曲に近い自由な構成を成し、シューマンらしさがよく出た作品とされる。もともと第1番に次いで1841年に作曲されたが、同年12月の初演で第1番(1841年3月初演)ほどの評価を得られなかったためお蔵入りさせ、10年後に改変に着手して1853年に第4番として初演し出版された。通常4番といえばこの最終版を指す。最終版は、4楽章中の両端楽章の構成が見直され、管編成を増やしたり他の楽器と重複させるなど、ひとことで言えば重厚・壮大になり、時代の要求に沿うものとなった。ただし、同時代の作曲家ヨハネス・ブラームスは、1841年の初版の方が明快で構築力があるとして、校訂者ヴュルナー(旧バッハ全集の校訂者として著名)と共にシューマンの死後1891年に第一稿(通称ヴュルナー版)として出版した。
日本ではあまり聴く機会のない初版だが、シューマンの4番に馴染み深い視聴者にとっては興味深い演奏となるだろう。

ツィンマーマンは20世紀ドイツの作曲家で、12音音階や打楽器の多用など、いわゆる現代音楽的な試みを導入した人であるが、シュトックハウゼンなどの前衛派とは激しく対立し、旧音楽と前衛の融合を目指した(それゆえ前衛はからは中途半端と批判された)。最近になって日本でも注目されるようになり、昨年は難解とされるオペラ「兵士たち」も初演された。「1楽章の交響曲」は、1951年に作曲した初期の作品だが2年後に改変され、こちらはシューマンの4番と違って改変後の版がもっぱら用いられている。

今回の配信ではこれら2曲に先立ってシューマンの「ピアノ協奏曲 イ短調(作品54)」と「4つのホルンのためのコンツェルトシュテュック ヘ長調(作品86)」が演奏される。前者はシューマンらしい叙情性が感じられる著名な曲。ピアノは1970年代に渡欧して世界的ピアニストとなり、昨年ベルリン・フィルのレジデンスピアニストとなった内田光子。
 後者は3楽章からなるホルンのための小協奏曲というべきもので、1850年の初演当時は高音域を多用した難曲として奏者には不評だったが、楽器の改良が成された今日、ロマン派の大家が残した数少ないこのホルンのための協奏曲として楽しむことができる。

配信開始:2月14日(土)午前4時(日本時間)
視聴方法:ナビコン記事を参照、視聴のためのアカウント作成やチケットの購入方法を詳しく説明している。

ベルリン・フィル「Digital Concert Hall」