「オクニョ 運命の女(ひと):豆知識」外知部(ウェジブ)って実在した職業?トンイとオクニョは同業者?

2017年12月09日18時18分ドラマ
©MBC
「オクニョ」第35話より

韓国ドラマ「オクニョ 運命の女(ひと)(原題:獄中花)」第36話でヒロインのオクニョが、養父チ・チョンドクの冤罪を晴らすために“外知部”になることを決心!朝鮮王朝時代に実在した“外知部(외지부=ウェジブ)”について解説!ドラマの予告動画は公式サイトにて視聴できる。

オクニョ ©MBC典獄署で生まれたオクニョの最初の職業は、典獄署の下働き=茶母(タモ)。次にその知識とずば抜けた身体能力を買われてスパイ=体探人(チェタミン)に。その後、典獄署の署長の私設秘書をしたが、ユン・ウォニョンらにハメられて奴婢=官婢に。その度胸・知識・機転をもってして巫女を経由し、昭格署の道流(25話で解説)に。そして、ついに養父のピンチを救うべく弁護人=外知部(ウェジブ)に!なんとも華麗な転職をしたオクニョだが、この外知部は朝鮮時代に実在した。

■外知部ってどんな職業?
“外知部(외지부=ウェジブ)”は、知識のない者に代わって裁きなどの訴訟を有料で引き受ける代訟人、現代で言う弁護人のような存在。

■外知部の起源は?都官知部⇒掌隷院
朝鮮王朝時代の前王朝、高麗時代に“都官知部”(도관지부=トグァンジブ)という官庁があった。都官とは奴婢の簿籍と訴訟に関する仕事をすることで、知部は刑部所属の従三品の官職名の知部事のこと。つまり、知部事が都官として派遣されて奴婢の訴訟判決をすること。
※ちなみに刑部とは「法律や訴訟、奴婢問題」など扱う部署。詳しくは「朝鮮王朝」豆知識の「◆官職の品階 ~◆官職の品階 」参照。
この都官知部は名称を何度か変えて、朝鮮王朝時代には“掌隷院”(장례원=チャンネウォン)と呼んで、同様の仕事をした。
そして、高麗時代の名残で、官職に就かないで都官知部の仕事を請け負う人を総称して“外知部”と呼んだ。
※ちなみに「推奴-チュノ-」第23話で、奴婢団が襲撃したのがこの掌隷院だ。

オクニョ ©MBC■外知部の追放
現代の弁護士が法律に疎い弱者を救うように、当時の弱者=民の無念の思いを法の力で助けた外知部は民にとって大きな救いとなった。
しかし、これは当時司法権を持つ側から見ると、「外知部の中には自らの知識(文才)を持って、法を愚弄し正邪をひっくり返して法を乱す無頼漢」。そこで朝鮮第9代王・成宗 9年(1478)に、外知部たちを咸境道辺方へ追い出してしまった。
ちなみに、「オクニョ」第36話では、10年前に追放されたとしている。ということはおそらく第11代王・中宗の時代。

■オクニョとトンイは同業者?
さて、次週36話からオクニョは外知部として活躍していくことになるが、韓国ドラマファンの中には、この言葉を聞いて別のヒロインを思い出す方も多いはず。同じくイ・ビョンフン監督作品の「トンイ」だ。
トンイ (c) 2010 MBCトンイは最終回、我が子・ヨニン君(クム)を救うために王妃の座を放棄し王宮を出た。そして、無罪で捕らわれた奴婢を助けるために捜査をはじめ、裁きの場に出て行った。従事官から越権行為ととがめられた時にトンイが口にしたのが、「外知部として容疑者の弁護にやって来た!」という言葉だ。「トンイ」最終回詳細あらすじ「■ドラマをもっと楽しむ 」を参照。

養父のために外知部になったオクニョ。果たして彼女はトンイのように庶民のために外知部として活躍するのか?次回からのドラマの展開に注目したい。

※今回“外知部”に関する情報は、「한국 고전 번역원(韓国古典翻訳院)」の情報を参考にしました。

kandoratop【作品詳細】【「オクニョ」を2倍楽しむ】

NHKBSプレミアム|韓国ドラマ 「オクニョ 運命の女(ひと)」