【韓ドラコラム】「不滅の恋人」イ・ガンのモデル首陽大君(朝鮮王朝第7代王・世祖)は王位簒奪者!

2019年02月16日22時45分ドラマ
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韓国で「大君‐愛を描く-」という原題で放送され人気を博したロマンチック史劇「不滅の恋人」は、朝鮮王朝第4代王・文宗~7代王・世祖までを時代背景としており、チュ・サンウクが演じたイ・ガンは首陽大君、後の世祖がモデル!今回は実在の首陽大君についてご紹介、Youtubeにて予告動画が公開されている。

「不滅の恋人」は、兄イ・ガン(首陽大君=スヤン大君、後の朝鮮王朝第7代王・世祖)と弟イ・フィ(安平大君=アンピョン大君)の王座奪還戦が“実は1人の女性を巡って起きたのでは”という歴史的仮説を基に大きく脚色した、史実とフィクションを大胆に絡めた恋愛度数の高い時代劇。
※ドラマの時代背景はコチラで、弟イ・フィ(安平大君)についてはコチラで紹介している。

■ドラマの中のイ・ガンは?
弟イ・フィ(ユン・シユン)の恋人ジャヒョン(チン・セヨン)に横恋慕し、甥から王座を奪う野心家。そんなイ・ガンを演じたのは、「善徳女王」以来9年ぶりに時代劇に出演したチュ・サンウク。「ジャイアント」でも悪役を演じたが、本作では悪役として欲望が沸き立つ強烈で激しい感情を完璧に熱演し、チュ・サンウク史上最悪のキャラクターを演じている。だが、彼独特の切なげな眼差しと演技がこれまでの悪役と一線を画し、視聴者の胸キュンを誘発しまくった。特にイ・フィへの嫉妬心から始まったジャヒョンへの叶わぬ恋があまりにも切なく、悪役でありながら多くの視聴者のハートを鷲掴みにした。そんなイ・ガンのモデルとなったのは首陽大君。

■首陽大君(生年1417~没年1468)
首陽大君は偉大な王、第4代王・世宗大王と昭憲王后の次男として誕生。名は瑈(ユ)。生まれついての学者であった長男の珦(ヒャン、後の5代王・文宗)、芸術に造詣の深い三男の瑢(ヨン、安平大君)とは違い、豪放磊落で血の気が多い武人気質。即位前は晋平大君(チンピョンデグン)→咸平大君(ハムピョンデグン)→晋陽大君(チニャンデグン)を経て1445年に首陽大君(スヤンデグン)に冊封された。
父王亡き後、長男の文宗が第5代王となったが、在位2年3か月で亡くなってしまい、わずか11歳の長男が第6代王・端宗に。本来なら母親か祖母が御簾の後ろで摂政(垂簾聴政)を行うのだが、どちらも他界しており端宗には頼りになる人物がいなかった。文宗は亡くなる前に老臣の金宗瑞(キム・ジョンソ)に端宗の後見を頼んでおり、実権は領議政(宰相)の皇甫仁(ファンボ・イン)、右議政(第二副首相)の金宗瑞、左議政(第一副首相)の南智(ナム・チ)の3人が握った。彼らは清廉な人物ではあったが、当然のように王権は弱まった。金宗瑞らは首陽大君の野望を見抜いて遠ざけ、権力志向のない弟の安平大君との関係を維持した。

■「癸酉靖難(ケユジョンナン)」で玉座をついた野心家
大臣たちの態度に不満を持った首陽大君は権擥(クォン・ラム)、韓明澮(ハン・ミョンフェ)らと計略を立て、1453年10月10日深夜、金宗瑞の自宅を訪問して彼と家族を殺害して宮殿に攻め込んだ。怯える端宗に、安平大君が謀反を企んでいると告げ、その夜のうちに皇甫仁ら敵対する大臣を招集して一挙殺害し、安平大君を流刑にした。(安平大君についてはコチラで詳しく解説)
このクーデターから始まるドラマが「王女の男」。パク・シフが金宗瑞の息子スンユ役、ムン・チェウォンが首陽大君の娘セリョン役を演じて、禁断のロマンスを描いた作品だ。

■世祖(在位1455-1468)と死六臣
怯える端宗は叔父である首陽大君に政事を頼んだが、首陽大君の野心は補佐役で満足しなかった。端宗はついに譲位を決心。首陽大君は第7代王・世祖となった。だがその後も成三問(ソン・サンムン)ら忠臣が端宗の復位を願って世祖を糾弾し、暗殺計画を進めた。事前に計画を知った世祖は成三問らを捕えて拷問。だが、成三問を高く評価していた世祖は自分に忠誠を尽くすように説得したが、彼を翻意させることができずに死刑に処した。この時に成三問と共に処刑された朴彭年(パク・ペンニョン)、河緯地(ハ・ウィジ)、李塏(イ・ゲ)、兪応孚(ユ・ウンブ)、兪応孚(ユ・ウンブ)の6人を「死六臣(サユクシン)」と呼んで、人々は忠義の人と称えた。

■王権を強化したが猜疑心の塊に…
世祖は文宗の治世以降弱まった王権を強化し、王権をけん制する集賢殿を廃した。王の秘書機関の承政院を強化し、祖父である第3代王・太宗時代のように六曹直啓制を実施して王が各省庁を直接統括する体制をとり、国の財政の立て直しもした。
だが、自らの野心のために多くの血の雨を降らせた世祖は猜疑心の塊となり、原因不明の病に悩まされた。これは端宗の母、顕徳王后の呪いとも伝わっている。50歳を過ぎると病床に伏し、52歳でこの世を去った。13年の治世だった。あれほど王権強化を願った世祖だったが、彼を推戴した韓明澮や申叔舟(シン・スクジュ)ら勲臣たちが、この後、王も無視できないほどの権力を持つことになるとは想像もしなかっただろう。
ちなみに、世祖は自分が簒奪より王位についたため、子や孫の時代に再び類似した状況が起きる可能性を鑑みて、王族には政治に関係のない官職を用意し、政治実務から遠ざけた。

■ドラマの結末は?
前述の「王女の男」では史実に近い世祖の末路も描いていたが、果たして「不滅の恋人」でチュ・サンウクが演じるイ・ガンは最終回でどう描かれるのか?弟イ・フィとの確執がいつから始まるのか、史実では早くに亡くなっている母シム氏(ヤン・ミギョン扮)がイ・ガンとどんな関係として描かれるのか、そして艶福家だった父、世宗と違って女性関係はさっぱりしていて貞熹王后以外にひとりの後宮(側室)しか持たなかった王の恋心をどう描くのか、全ては本編で確かめよう。

「不滅の恋人」は、3月3日から毎週日曜夜9時からNHKBSプレミアムにて放送。1週間前の2月24日には直前スペシャルも放送される。

【「不滅の恋人」を2倍楽しむ】では、時代背景や実在の人物紹介、ドラマの見どころや韓国での評判、記者会見再現レポ、放送にあわせて各話の詳しいあらすじと見どころ、豆知識などをまとめて紹介するので、視聴の参考にどうぞ。

NHKBS「不滅の恋人」番組サイト
 2019.03.03スタート 毎・日21:00~22:00
TV CHOUSUN番組サイト

kandoratop【作品詳細】【「不滅の恋人」を2倍楽しむ】