「緑豆の花」は農民たちが人らしく生きるために闘った1年間の革命史!時代背景と革命年表
「緑豆の花」は、1894年~1896年の朝鮮時代末期を描いた韓国本格史劇。ドラマの核となった1984年をドラマはどう描いたのか?当時の社会背景と日清戦争の引き金となった東学農民革命(甲午農民戦争)を早足で解説しよう。ドラマはBS日テレにて6月30日から再放送、6月現在Huluでも配信中だ。
「緑豆の花」はチョ・ジョンソクとユン・シユンのW主演を務め、農民軍と討伐隊に分かれて戦わなければならなかった異母兄弟の波乱万丈な生涯を描くヒューマンストーリー。
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■時代背景:暴政で苦しむ民が東学に縋った!
19世紀に入った朝鮮は暴政が続き、これに乗じて外国勢力が侵攻し社会は不安に包まれ、各地で民乱が起きる。特に半島南部では、私腹を肥やす役人も増え人々の生活は悲惨を極めた。そんな時、登場したのが“東学”。教祖は崔済愚(チェ・ジェウ、1824~1864)で、「人間と天とは同じ(人即天)=万人平等」の教理と「国の悪政を改め、民を安らかにする(輔国安民)」をスローガンに「世直し信仰」として一気に広まった。
※「客主」や「風と雲と雨」に続く時代。同じ時代を描いたその他のドラマは【ドラマの年表:朝鮮時代】で確認できる。
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■東学農民革命(甲午農民戦争)って?
東学教徒を中心として結集した農民が、地方の悪政に反対して行った蜂起が「甲午農民戦争」だ。韓国ではこれを「東学農民革命」と呼ぶ。これに関してドラマ(第20話)でチョン・ボンジュンが「“戦争”は憎悪が生み出すが、義兵たちの戦いは愛が生み出す“革命”」と語っている。
<第一次蜂起>
1894年冬、全羅道古阜地方の東学接主(支部長)の全奉準(チョン・ボンジュン)が、全羅南道で約1000名の農民を引き連れ武装蜂起。これを鎮圧するため閔氏政権が清国に援軍を要請し、日本も清国をけん制するため朝鮮へ出兵。農民軍は両国の武力介入の口実を与えないために「弊政改革十二条」を提案し全州和約が成立。各郡ごとに「執綱所」という自治機関を置いて朝鮮初の農民自身の手による弊政改革が推進された。だが、日清両国は退却せず、日本政府は王宮を占拠し、日清戦争を始める。
<第二次蜂起>
日清戦争に勝利した日本による内政干渉が強まり、1984年9月末に日本と開化を退ける「斥倭斥化」を訴え全奉準ら東学教徒と農民たちが再び武力蜂起し、11月下旬、牛禁峙(ウグムティ)で朝日連合軍と激しい戦いを展開する。農民軍は圧倒的な兵の数だったが、新式の武器と近代的な訓練を受けた日本軍が主導する朝日連合軍に惨敗した。
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■ドラマの革命年表(全24話版)
農民の乱で駆け抜けた1年と最終回で描かれるその後2年を合わせた3年間を年表にまとめた。詳細については(第●話)のあらすじで詳しく解説している。なお、BS日テレでは全30話版で放送するが、以下紹介している話数は全24話版なので、ご注意を。
1894年
陰暦1月10日:古阜の民乱(第2話)
陰暦3月20日:茂長起包と白山蜂起<第一次蜂起>(第5話)
陰暦4月7日:黄土峴戦闘(第6話)
陰暦4月23日:黄龍村の奇襲作戦(第8話)
5月7日:弊政改革十二条提案(第11話)
6月10日:全州講和と執綱所設置(第12話)
7月13日:内政改革推進の為の校正庁設置(第14話)
7月23日:甲午倭乱日本軍が景福宮を占領(第15話)
7月25日:日本海軍が清軍艦隊を攻撃、日清戦争勃発(第15話)
7月27日:親日改革派政権樹立(第15話)
8月~9月:日本が清へ戦布告、戦線は平壌へ(第16話)
7月27日:軍国機務処設置(第17話)
9月下旬:「斥倭斥化」を訴え忠清道公州へ(第19話)
9月22日:朝鮮・両湖都巡撫営が日本軍と連合(第20話)
陰暦11月9日:牛禁峙の戦い<第二次蜂起>(第21話)
1895年
4月24日:全琫準絞首刑(第24話)
1896年
義兵が起こる(第24話)
※日付などは陰暦表記や、ドラマに合わせたために多少のずれがあることご理解ください。
■農民の乱が残したもの
農民の乱は結果的に敗れたが、アジアにおける民衆の反帝国主義闘争の先駆として大きな意義を果たした。また、農民の乱の中心的人物であった全琫準(チョン・ボンジュン)が処刑されて間もなく、彼を密かに偲んで「パランセ」(青い鳥)という歌が全羅道で流行ったという。もともとは1880年頃から流行り始めた梨畑の鳥を追う歌だったが、これに全琫準のあだ名の詩が付けられた、と解説されている。ドラマのオープニング曲として、また全州和約成立など名場面で流れる。
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「새야 새야 파랑새야」 새야 새야 파랑새야 / 녹두밭에 앉지 마라 / 녹두꽃이 떨어지면 / 청포장수 울고 간다~♪
(「鳥よ鳥よ青い鳥」訳詞) 鳥よ鳥よ青い鳥 / 緑豆(ノクトゥ)畑に降り立つな / 緑豆の花が散ったなら / 青餔(チョンポ)売りが泣いて去る~♪
※緑豆は全琫準のことで、花が散るとは死ぬということ。青舗は緑豆で作った菓子、青舗売りは貧しい民衆を表現。
【「緑豆の花」を2倍楽しむ】では各話のネタバレあらすじと見どころ、豆知識、インタビューなどまとめて紹介している。
◇BS日テレ「緑豆の花」番組サイト
2023年6月30日スタート 月-金13:00-14:00 再放送
2022年8月24日-10月4日 月-金13:00-14:00
◇DVD公式サイト
◇予告編
【作品詳細】【「緑豆の花」を2倍楽しむ】