イ・ソンミン主演「刑事ロク 最後の心理戦 シーズン2」第7−8話(最終回):街に根付く不正と命を賭けた最後の戦い
7月5日からディズニープラス スターで配信を開始した「刑事ロク 最後の心理戦」シーズン2。第7−8話(最終回)では街に渦巻く不正の正体が身近な人物だと気づいたテクロクが全てに終止符を打つべく命懸けで立ち向かっていく最終決戦の様子が描かれた。気になるあらすじとみどころをチェックしてみよう。(ネタバレあり)
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「刑事ロク 最後の心理戦」は、スタジオドラゴン制作×イ・ソンミン主演で贈る、殺人容疑をかけられたベテラン刑事が、正体不明の脅迫者“友”を追い詰める極上刑事サスペンス。各話のあらすじや制作発表会レポートなどは【関連記事・各話のあらすじ】で一覧できる。
■第7話あらすじ
遡ること1999年、クモ市で刑事をしていたテクロク(イ・ソンミン)は、ソウルからきた機動捜査隊の捜査に協力したことで当時の機動捜査隊の班長だったドヒョン(チョン・ジニョン)に気に入られ、機動捜査隊の一員として事件を共に追う仲間になっていた。テクロクは「今日を無事に乗り越える」という願いを込めて、当時の仲間たちと「オムサ」と呼ばれる組織内サークルを立ち上げたが、事態は思わぬ方向に向かってしまう。
上層部から理由も告げられぬまま、麻薬組織の追跡を中断するよう迫られたテクロクらだが、オムサの一同は有志として麻薬組織への奇襲作戦を実行する。しかし容易に犯人を射殺しようとするドヒョンをテクロクが制止している間に、部下ジンソクが襲われ、片足を切断するほどの重傷を負ってしまう。互いに責め合うテクロクとドヒョン。テクロクは犯人の居場所を突き止め急行するが、そこにはジンソクの敵討ちで犯人をリンチするオムサの姿が…。テクロクの当初の目的とは乖離し、オムサは手に負えない私刑集団になってしまっていたのだった。
オムサをより強力に組織化して警察の威厳を高めようとするドヒョンとは袖を分かち、私的な組織を作った責任を取って降格しクモ市に戻ったテクロク。そして現代、テクロクは一連の事件や不正の裏で暗躍していたクムジョン会はドヒョンがオムサを発展させた組織だと気づき、全ての始まりを作った自分が全てを終わらせべくドヒョンとの対決を決意する。
しかし、政界への足がかりを掴み始めたドヒョンはテクロクを始末するよう命じ、ペク署長(チョン・ヘギョン)を利用して、捜査チームを解散させただけでなく、ソンア(キョン・スジン)が一連の殺人の重要参考人として連行されてしまう。
テクロクはペク署長が事件に関与いていたとリークし、署長を無罪放免にする予定だった検事長の汚職も暴き、真実を世間に知らしめていく。テクロクを殺そうとしていたクムジョン会の下っ端がソンアらが仕掛けた罠で検挙されたと知って焦りを感じるドヒョン。更にテクロクはドヒョンが入党しようとしている政党に一連の事件を調査する特殊調査団の発足を提案。ドヒョンは一番うやむやにしたい自らの悪行を自ら調査するはめになってしまう。
■第8話あらすじ
ジナン捜査家長(チン・グ)を泳がせ、テクロクをおびき寄せた挙げ句、ジナンだけ殺すよう命じたのもドヒョンだった。テクロクはオムサを立ち上げたせいで、後に傷つき死んでいった仲間たちの夢を見て、そもそも警察になるべきではなかったと後悔を抱き始める。
一方、収監されたイ議員(チュ・ジンモ)はドヒョンへ復讐するべく、ドヒョン側に寝返ったチャ室長(チェ・ビョンモ)を説得。更にジュヒョン(キム・シンロク)を呼び出すと、彼女の父を死に追いやった組織とテクロクの関連を仄めかし、取引を持ちかける。ジュヒョンは独自に調査を進め、父を殺した組織を作ったのがテクロクだったと知り、裏切られたかのような複雑な思いに涙をこぼす。そして、父を殺したのがペク署長だったことが明らかになった。テクロクはジュヒョンの身を案じてイ議員の取引に応じるなと助言するが、真実を知ったジュヒョンはテクロクの言葉に聞く耳を持たない。
元警察が起こした一連の事件が報道されるなか、ペク署長は証拠不十分で釈放された。ペク署長をクムジョン会の別荘に呼び出したドヒョンは、騒動の全責任を押し付けるためにペク署長を射殺。チャ室長もジュヒョンに別荘の場所を告げた直後にクムジョン会によって射殺された。
別荘ペク署長の遺体を見つけたジュヒョンに銃を向けるドヒョン。テクロクが駆けつけるが、過去のトラウマが邪魔して、ジュヒョンを人質にとったドヒョンに発砲できずにいた。テクロクが説得を試みた次の瞬間、ドヒョンが撃った銃弾がテクロクを襲う。攻撃されたジュヒョンも意識を失い、ふたりは事件の報道を沈静化するための黒幕として始末されそうになってしまう。
その夜行われたドヒョンの入党式。警察の権限強化を求め続けてきた彼にとっては大きな一歩となる式典だったが、演説の最中に死んだはずのテクロクが現れ、会場は大騒ぎに。ドヒョンは晴れの舞台で目標を目の前にしながらも逮捕された。
テクロクは生死の境を彷徨いながらも、死んで行った部下の激励に奮い立たされていた。ジュヒョンもまた、間一髪のところで駆けつけたソンアらに助けられていた。こうしてクモ市に渦巻く一連の不正事件や警察の汚職が全て明るみになり、事件は幕を閉じた。
6ヶ月後、ソンアやギョンチャン(イ・ハクジュ)らは昇進していた。「引退したらもう走りたくない」と語っていたテクロクは必死に駆け抜けた刑事としての生活にきりをつけて、海辺の町の派出所長として住民たちの悩みを聞く生活を始めていた…。
■見どころ
待望のクライマックスを迎えた本作第7−8話では、テクロクが機動捜査隊時代に「オムサ」を立ち上げたエピソードから始まり、至って平和的な目的で作られたサークルがいかに私刑集団「クムジョン会」に変貌してしまったのかという背景、そこに存在したテクロクとドヒョンの正義や警察のあり方に対するイデオロギーの対立が描かれ、シーズン1でも描かれなかった「どうしてテクロクでなければいけなかったのか?」という部分の謎も明かされた。
シーズン1からの一連の事件を裏で命じていたドヒョンは警察関係者として、時には過激な方法で正義を追い求めようとするあまりに、テクロクと決裂し、去っていった彼を「正義から逃げた」と思い続けていた描写があり、それがシーズン1で彼が過去に組織ぐるみで捜査を捏造してきたテクロクに過去の事件を再調査させた動機となったのではないだろうか。
クライマックスでは第一線を退いたテクロクが派出所勤務でのんびりとした生活を送っているシーンが描かれたが、気になるのは収監されたドヒョンがテクロクに放ったセリフだ。「後悔するぞ」…このセリフが妙な余韻を残している。ここまで「警察の権限を強化する」という自分なりの正義を実現するために検察や政治家を巻き込んで巨大な権力ネットワークを築いてきたドヒョンが果たして簡単に屈するのだろうか?彼のほどの人物であれば、獄中にいながらでも、テクロクや仲間たちを再び危機に陥れられる隠し駒がいてもおかしくないのではないだろうか?
撃たれて生死の境を彷徨っていたテクロクが、死んだ部下ヒョンソクに「定年までは全力で走らなければならない」と諭している場面も含め、まだここでめでたしめでたしでは終わらなそうな気配を感じさせる。
シーズン1・2ともに緻密な心理戦が描かれ、少し難解ではあったものの、黒幕やその意図が明らかになった今、改めてドヒョンの目線でシーズン1から再視聴してみると、謎のまま見落としてしまったシーンの真相が見えてくるかもしれない。
シーズン1ファンを裏切らない緻密な心理戦が描かれた「刑事ロク 最後の心理戦」シーズン2は7月5日(水)からディズニープラス スターで配信中だ。
■スタッフ
監督:ハン・ドンファ 「元カレは天才詐欺師~38 師機動隊~」「ナビレラ -それでも蝶は舞う-」
■キャスト
キム・テクロク:イ・ソンミン 「未成年裁判」「ミセン-未生-」
イ・ソンア:キョン・スジン 「マウス」「トレイン」
ソン・ギョンチャン:イ・ハクジュ「夫婦の世界」「マイネーム: 偽りと復讐」
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