【歴史コラム】「朝鮮弁護士」(原題)の時代背景はいつか。王様と公主は実在した?5つのキーワードから推測

2023年08月26日09時30分ドラマ
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KNTVで日本初放送中のウ・ドファンとキム・ジヨンが主演した「朝鮮弁護士」(原題)は、史実に基づく歴史作品ではなくフュージョン時代劇だが、ドラマの中のキーワードから時代背景や登場する王様、公主を特定することができる。



■「朝鮮弁護士」ってどんなドラマ?


「朝鮮弁護士」(原題)は、朝鮮時代に弱い民に代わり訴訟を請け負うトラブルメーカーな弁護士の活躍を描く時代劇。

【朝鮮弁護士】(全16話)韓国ドラマ紹介©2023MBC第1話では、法は誰にも平等であると考える外知部カン・ハンス(演:ウ・ドファン)が、連れのドンチと共に仕事を求めて漢陽にやって来る。だが、それは無念の死を遂げた両親の復讐をするためだった。あの手この手で1人目のターゲットに復讐を果たし、第2話では父に濡れ衣を着せた重臣たちと黒幕らしき人物が判明するという展開だった。
●詳しいあらすじあらすじと見どころは第1話と第2話ネタバレで。

以下「歴代王の名前」をクリックすると詳しい人物紹介、「※」では時代や人物特定に役立つ図表などが確認できる。

■5つのキーワードから検証


朝鮮弁護士カン・ハンス(演:ウ・ドファン)まず、「朝鮮弁護士」の1つ目のキーワード「外知部(ウェジブ)」。これは現代の弁護士のような職業。「朝鮮時代に弁護士?」と驚くかもしれないが、朝鮮は世界でほぼ唯一女性と奴婢の訴訟が可能な国だった。前王朝・高麗時代(12世紀ごろ)からあった“都官知部”(도관지부=トグァンジブ)という官庁が前身。朝鮮時代に入って法に弱い民に変わって訴訟を引き受ける職業を“外知部”と呼んだ。
※詳細は“外知部”は実在した職業?で。

次に注目したいのは「明」。第1話で主人公のハンスが初めての裁判で「明」について言及している。朝鮮王朝500年は中国では明(1368年~1644年)と清(1616年~1912年)時代なので、ドラマの舞台が王朝の前半と特定できる。
【朝鮮歴史年表】参照。

3つ目のキーワードは、第2話で宰相ユ・ジェセ(演:チョン・ホジン)が言及した「勲旧派」。これは、建国功臣や王族との姻戚関係で勢力を伸ばした官僚たちのことで、初代王・太祖14代王・宣祖まで続いた。
【朝鮮時代の党派の歴史】参照。

宰相のことを「院相」と紹介しているのが4つ目のキーワード。「院相制」は王の権限を宰相も行使できるという制度で、7代王・世祖がこの制度を導入し9代王・成宗の代で終わらせた。
【朝鮮王朝豆知識】「◆院相制」参照。

ここまででドラマの舞台が7代王・世祖、8代王・睿宗、9代王・成宗に絞ることができた。最後は「即位の経緯と立場」について。現王イ・ヒョルが従姉ヨンジュ公主(演:キム・ジヨン)相手に「叔父・先王亡き後、兄を追い抜いて即位」し、「垂簾聴政(摂政)で政の権限がない」と自嘲するシーンが第1話にある。

3代の王の関係は、世祖の次男が睿宗で、成宗は長男の子、つまり睿宗は叔父にあたる。成宗には長兄もいたが、祖母の指名で即位させられた。ドラマの設定にぴったり合致する。
【朝鮮王朝系図】

■ドラマの時代背景と王様、公主を特定


朝鮮弁護士現王(演:ソン・ゴニ)、公主(演:キム・ジヨン)以上、5つのキーワードから推測すると…
・ドラマの舞台=15世紀の睿宗と成宗の時代
・現王イ・ヒュル=成宗
・先王=睿宗
・ヨンジュ公主=顕粛公主
・カン・ハンス=架空の人物


※成宗については【善政を敷いて太平の世を築いた成宗】で詳しく紹介している。
※睿宗については【1年余の在位で早世した睿宗】で詳しく紹介している。

こうしてドラマの内容から時代背景や実在の人物を探し当てるのも時代劇の醍醐味。ここでは1、2話から5つのキーワードから推測したが、他にもまだまだ有効なキーワードが出てくるはず。今度はご自身で探してみてはいかがだろう?
navicon「韓流コーナー」の「年表」「地図」「歴史・豆知識」には時代や人物特定に役立つツールがたくさんあるので活用されたい。


■放送日
<本放送>8月19日(土)スタート
毎週(土)後8:00~10:30 ※2話連続
再放送日 毎週(金)前11:30~後2:00 ※2話連続

KNTV「朝鮮弁護士」(原題)番組サイト

kandoratop【作品詳細】【「朝鮮弁護士」を2倍楽しむ】