Netflix「今日もあなたに太陽を」ストレス社会を生きる人に贈るヒューマンドラマ:鑑賞コラム②見どころ・感想

2023年11月09日20時00分ドラマ
「今日もあなたに太陽を ~精神科ナースのダイアリー~」
Netflixで独占配信中

Netflixで独占配信中の韓国ドラマ「今日もあなたに太陽を ~精神科ナースのダイアリー~」は、心の病というセンシティブな主題を扱いながらも、シリアスに傾倒しすぎず、視聴者に日々の生活の小さな喜びを発見させてくれるハートフルな作品。ここでは日常にストレスを抱える人ほどに観てほしいお勧めポントを紹介したい。
【「Netflix」で独占配信の韓国ドラマ】
鑑賞コラム①:ストーリーライン(まとめ)



「今日もあなたに太陽を ~精神科ナースのダイアリー~」は、内科から精神科に異動した看護師ダウン(パク・ボヨン)が精神科病棟でさまざまな経験を通して成長していく姿と、そこで出会う人々の物語を描く癒しのドラマだ。

■キャスト
看護師チョン・ダウン役:パク・ボヨン
大腸肛門外科医ドン・コユ役:ヨン・ウジン
親友ソン・ユチャン役:チャン・ドンユン
先輩看護師ソン・ヒョジン役:イ・ジョンウン
 ほか

■心の病とどう向き合うか?
今日も「今日もあなたに太陽を ~精神科ナースのダイアリー~」
Netflixで独占配信中
世の中には双極性障害、パニック障害、社会不安障害、統合失調症…これらの心の病の違いや症状を詳しく理解している人は少ない反面、電車の中で何かを呟きながら同じ場所を行ったり来たりする人や、時に怒鳴り声を上げて見えない誰かと喋っている人、虚ろな表情で一点を見つめる人を町中で見かけて鬱陶しさや恐怖、不安を感じたことがある人は多いのではないだろうか。この作品は、そんな彼らがどんな事情から、どんな心の病に取り憑かれ、それに本人や家族がどう向き合っていくのかをうまく描いた作品である。


■シリアス過ぎないヒューマンドラマ
この作品の特徴は、心の病に関する知識が一切無い人でも十分に楽しめるシリアス過ぎない脚本だ。病気やその治療よりも、患者や親族、そして治療をサポートする医療従事者の人間性に焦点が当てられ、教本としてだけではなく、ヒューマンドラマとして十分に見応えがあり、笑える場面も多い。
kyoumo 「今日もあなたに太陽を ~精神科ナースのダイアリー~」
Netflixで独占配信中
作中に登場する医師や看護師らは「患者のために自分を犠牲にして献身的にサポートをする」という完璧な聖人のような描かれ方ではなく、それぞれが複雑な事情を抱え、ともすれば心の病の兆候とも見られる考え方や癖、生活スタイルを持った、ギリギリで一線を越えずに踏みとどまっている「心の病予備軍」のように描かれているのが印象的で、職場では牽制し合っている医師と看護師の職場とプライベートでのメリハリも人間味に溢れていて面白い。イ・ジョンウン演じる看護師長のど迫力の飲みっぷりや薬局に殴り込みに行くビッグママ感、普段は怖いスヨン主任の新人時代の破天荒なエピソードなど爆笑必至のエピソードにも注目だ。このように人間性が詳しく描かれているのは医師や患者だけではなく、親族も同様。作中では時折、心無い発言をする親族が登場するが、その根底には「大切な家族が病気に冒されたから」という無知識からくる不安や、自責感が感じられ、医師・看護師・患者・親族に感情移入したときにどれもセリフひとつひとつに血が通っている点は脚本のクオリティの高さが感じられる。

■重篤な心の病を引き起こす社会の悪循環と風刺を描く
今日も「今日もあなたに太陽を ~精神科ナースのダイアリー~」
Netflixで独占配信中
作中では、重篤な心の病を引き起こす社会の悪循環や、理想的な社会の形についてもダウンの幼馴染ユチャンの再就職エピソードを通じて風刺された。心の病が一番恐ろしいのは外見からはほとんど診断ができないことだ。心的ストレスに対するキャパシティも人それぞれなので、周囲や本人すらそれがただの心の甘えだと誤解してしまう。精神論や根性ということばも邪魔をして、心の病を否定してきたユチャンは、再就職の際に面接の時点でパニック障害を持っていることを正直に打ち明けて再就職を果たし、無理解な上司に心の甘えだと一蹴されながらも自分を守るために声を上げて職場の雰囲気を変えるという一幕だ。「新入社員の一声で日々の仕事から残業がなくなれば苦労しない」とツッコミを入れたくもなるのだが、「では何だったらできるんだろう」と考えを巡らせると、ここで作者が示した理想的な社会の形とは、心の病への知識をみんなが共有していて、偏見だけで不当な扱いを受けることがなく、つらいときはつらいと正直に言える社会だったのではないかという考えにたどり着き、走行会のシーンで酔っ払った看護師たちが肩を抱き合って騒いでいる場面を想起させた。

■心が悲鳴を上げていないかセルフチェックを
今日も「今日もあなたに太陽を ~精神科ナースのダイアリー~」
Netflixで独占配信中
シリアス過ぎない内容だ、とは書いたものの、作中で心の病を患っている患者が抱える問題や症状を見てみると、愛情や自己肯定感の欠落、会社での期待やパワハラによる重圧、悲しい出来事を忘れようとする自己防衛、失敗を想定して膨らんでいく妄想や不安感、手の震えや息苦しさ、不眠症や独り言、やせ我慢など「もしかして自分も心を病んでいるのでは…」と思ってしまうぐらい身近な原因や症状が心の病と結びついていることに気付かされる。作中でもたびたび触れられる通り、心の病とはある日突然、一見すると「正常」な人々に襲いかかる病気であって、誰もがその境界線上を生きているのだ。この作品を視聴した後は、心の病への知識不足や偏見が是正されるだけでなく、自分の心が悲鳴を上げていないかセルフチェックをする機会を与えてくれる、そんな作品だ。

自分を大切にしようと思える、前向きな気持にしてくれる「今日もあなたに太陽を ~精神科ナースのダイアリー~」はNetflixで独占配信中だ。

鑑賞コラム①:ストーリーライン(まとめ)

■キャスト
看護師チョン・ダウン役:パク・ボヨン
大腸肛門外科医ドン・コユ役:ヨン・ウジン
親友ソン・ユチャン役:チャン・ドンユン
先輩看護師ソン・ヒョジン役:イ・ジョンウン
 ほか

原題:정신병동에도 아침이 와요(精神病棟にも朝が来ます)

YouTube|정신병동에도 아침이 와요 | 티저 예고편 | 넷플릭스
(原題「精神病院にも朝が来る」(今日もあなたに太陽を)ティーザー予告編)

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