【韓ドラ歴史コラム】「暴君のシェフ」に登場するチャン・チュンセン、あの天才科学者チャン・ヨンシル(蒋英実)の子孫?
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Netflix配信中の韓国ドラマ「暴君のシェフ」第7話では、国の威信をかけて明と料理対決に臨むシーンが描かれる。
その勝敗の鍵を握るのは、現代ではおなじみの「圧力鍋」。しかし当然、朝鮮時代には存在していない。そのため主人公は、圧力鍋を作れる唯一の人物を探すことに。その人物こそチャン・チュンセンだ。彼はドラマの設定上、朝鮮王朝を代表する天才科学者、蒋英実(チャン・ヨンシル)の子孫として登場する。
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■世宗大王時代の天才発明家、蒋英実とは?
蒋英実(生年不詳~?)は、15世紀、第4代国王・世宗大王の時代に活躍した科学者であり技術者。もともとは奴婢の身分でありながら、その発明の才能を見出されて抜擢された異例の人物だ。彼は天文学から農業技術、気象観測まで幅広い分野で革新的な技術を生み出し、朝鮮の科学発展に大きな功績を残した。
代表的な発明には以下のようなものがある。
水時計(自動で時間を測る機械式の装置)
測雨器(世界最古の雨量計とされる)
渾天儀(天体観測のための器具)
これらによって農業生産や国政に必要な気象・天文情報が飛躍的に向上し、まさに「世宗の改革」を支えた影の立役者とされる。特筆すべきは、彼がもともと奴婢の身分から這い上がった異色の才人であったこと。時代を飛び越えたその発明は、まさに「世宗の改革」を技術面で支えた功労者だ。
※蒋英実についてもっと詳しく知りたい方は➡【蒋英実は科学革命の提唱者】
■ドラマに命を吹き込むチャン・チュンセンのキャラクター
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カギとなる圧力鍋は、単なる鍋ではなく「蒸気と圧力」を科学的に利用する高度な発明。ヨンシルの後継者という立場を背負ったチャン・チュンセンだからこそ、この時代に存在しないはずの調理器具を作る説得力が生まれている。祖先の才に恥じぬ技術者として描かれ、難題解決のキーパーソンとなる。
俳優コ・チャンソクの熱演も見逃せない。➡イム・ユナ×イ・チェミン、山奥で変人技術者と大砲対峙!?)。
■歴史とフィクションの融合
「暴君のシェフ」は、史実をベースにしながらも大胆な発想でファンタジー要素を取り込み、視聴者を魅了している。燕山君(ヨンサングン)のような歴史的人物や張緑水(チャン・ノクス)をモチーフとした側室が登場する一方で、チャン・チュンセンのように歴史的偉人の末裔という設定を加えることで、宮廷ドラマを超えた“歴史×科学×料理”の異色の世界観が築かれている。
もしチャン・ヨンシルが後世まで子孫を残し、その知識と技能が脈々と受け継がれていたなら──そんな「もしも」を具現化したのがチャン・チュンセンの存在と言える。第7話で描かれる明との国際的な料理対決は、ただの美食バトルではなく、朝鮮の科学技術を背後にした「文明の戦い」でもあるのだ。
■チャン・ヨンシルを描いた他のドラマは?
天才科学者チャン・ヨンシルは、これまでの韓国ドラマでも何度も描かれてきた人気キャラクターだ。
KBS「大王世宗」(2008年)配役:イ・チョンヒョン
KBS「チャン・ヨンシル~朝鮮伝説の科学者~」(2016年)配役:ソン・イルグク
特にKBS大河ドラマ「チャン・ヨンシル~朝鮮伝説の科学者~」は、奴婢出身から王に信頼される科学者へと登りつめるまでの波乱の人生を真正面から描いており、彼の業績に光を当てた作品となっている。
他にも、MBC「ポンダンポンダン 王様の恋」ではチャン・ヨンシルの功績を詳しく描いたり、ディズニープラス「支配種」に登場する“AI秘書”の名前が「チャン・ヨンシル」だったり、韓国国民に広く愛される科学者だ。
「暴君のシェフ」でチャン・チュンセンが登場したことで、物語はただのグルメ・ロマンスの枠を越えて、歴史と科学が交錯する知的な面白さを帯びてきた。次なる発明がどのように王宮の運命を左右するのか、ますます目が離せない展開となっている。
「暴君のシェフ」は、タイムスリップという奇想天外な設定から始まるサバイバル・ファンタジー・ロマンティックコメディー。【「暴君のシェフ」を2倍楽しむ】では、全話あらすじと見どころ、視聴率、ドラマ出演者のモデルとなった実在人物の紹介などもしている。
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