【韓ドラ歴史コラム】「暴君のシェフ」で化けの皮をはいだチェサン大君のモデルは斉安大君?

Netflixで配信中の韓国ドラマ「暴君のシェフ」第11話では、王イ・ホン(イ・チェミン)を排除する反乱が勃発した。その首謀者となったのがチェ・グィファ扮するチェサン大君である。ドラマで描かれる彼のモデルは、歴史上の斉安大君(제안대군/齊安大君)と考えられる。
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公式情報やエピソードから推測される実在人物のモデルは以下である。
・チャン・チュンセン、あの天才科学者チャン・ヨンシル(蒋英実)の子孫?
・インジュ大王大妃(ソ・イスク)のモデルは“鉄の女”仁粋大妃
・イム・ユナ(少女時代)が選に漏れた“採紅”って何?
・カン・ハンナ演じる側室は、三大悪女の張緑水(チャン・ノクス)?
・時代背景は?イ・チェミンが演じる王のモデルは燕山君
そして最終回を前に紹介するのが斉安大君だ。
以下、人物またはタイトルクリックでさらに詳しい紹介ページに遷移します。
■斉安大君の生涯(1466年2月13日生~1526年1月6日)
斉安大君は第8代王・睿宗と継室・ 安順王后韓氏との間に生まれた。嫡男である兄が早世したために、次男ながら嫡男として冊封された。しかし翌年の1469年に父が崩御した際、まだ4歳だったため、祖母の貞熹王后(慈聖王大妃)は叔父にあたる懿敬世子の次男・者乙山君(자을산군)を王位に就けた。これが第9代王・成宗だ。
1470年に「済安大君(齊安大君)」の爵位を与えられ、1474年には曽祖父である第4代王・世宗の嫡七男・平原大君の奉祀孫として出系させられた。かつては王位継承第1位の元子であったが、大君の奉祀孫にまで降格されたのである。
この処置は、貞熹王后が王族を謀反に巻き込ませず命を守るために下した深謀遠慮とされる。その結果、済安大君は、「第二の端宗」として悲劇的な最期を迎えることを免れた。
斉安大君は幼少期から温厚で慎み深く、学問を好む一方で権勢欲に乏しかった。王位を退けられた後も不満を表に出さず、静かに暮らした。宗親の中でも誠実で謹直な人物として知られ、詩文や書に優れ、派閥争いに巻き込まれることもなかった。比較的安定した生涯を送ったのである。

■ドラマにおけるチェサン大君の表現
実在の斉安大君も一時期、燕山君の遊興にふけった時期があったともされているが、権力欲はなかった。「暴君のシェフ」でも同じ叔父にあたるチェサン大君(チェ・グィファ)は、王イ・ホン(イ・チェミン/燕山君モデル)に近い人物として描かれる。
表向きは王族らしからぬ放蕩者として振る舞い、酒を飲んで軽薄な言動を見せる。しかし裏では冷酷で計算高い策略家である。側室カン・モクジュ(カン・ハンナ)と内通し、王宮内の情報を集め、反乱の機会を窺う。普段は愚鈍に装うが、側近や廷臣の前では冷静で残忍な顔を見せる。
第5話・第6話では料理や食材へのこだわりを見せ、味覚を武器に周囲を翻弄する。第8話では外交や財権操作を通じて、自国や他人を裏切る行動も躊躇せず、目的のためなら子どもすら利用する冷酷さを見せる。
物語が進むにつれ、チェサン大君の狡猾さと暴虐ぶりが明らかになり、第11話では王宮内で反乱を起こし、周囲の人々を次々と排除する。
■斉安大君が登場する他のドラマ
(作品タイトル青文字クリックで作品詳細ページへ遷移)KBS2「韓明澮 〜朝鮮王朝を導いた天才策士〜」(1994)イ・ホジェ
KBS2「王妃チャン・ノクス-宮廷の陰謀-」(1995年)配役:ペク・ユンシク
KBS1「王と妃」(1998年)パク・チャンファン
SBS「王と私」(2007年)配役:パク・チャンファン
JTBC「インス大妃」(2011)配役・コ・ユヌ、イ・ウジュ
ほか
「暴君のシェフ」のチェサン大君は、歴史上の斉安大君をベースにしつつも、放蕩者かつ冷酷な悪役として描かれている。史実とは大きく異なる創作要素を加え、ドラマならではの強烈なキャラクターに仕上げられている。
【「暴君のシェフ」を2倍楽しむ】では、全話あらすじと見どころ、キャスト徹底紹介、時代背景や豆知識など、ドラマを深掘りしていく。
