NHK「未解決事件」年末特別編、世田谷一家殺害事件の現在地に迫る 12月30日放送
NHKは12月30日、ドキュメンタリー番組「未解決事件 年末特別編」を放送する。今回はFile.09として、20世紀最後の大晦日に発覚した世田谷一家殺害事件を中心に、事件発生から25年以上が経過した現在も続く捜査の最前線に迫る内容となる。
世田谷一家殺害事件は、幼い子ども2人を含む一家4人が自宅で惨殺された未曽有の凶悪事件だ。現場には犯人が脱ぎ捨てた衣服や凶器の包丁が残され、指紋やDNAといった数多くの物証も採取された。しかし、それらの証拠をもとにした捜査は難航し、決定的な手がかりを得られないまま年月が経過した。当時の捜査員は、客観的な事実を積み重ねても犯人に至る道筋が見えなかったと振り返る。
番組では、「未解決事件」を専門に扱う警視庁・特命捜査対策室に初めてカメラが入り、現在も続く捜査の実態を密着取材する。事件から25年以上が経過した今、どのような捜査が続けられているのかを明らかにする。
さらに、長年未解決だった末に容疑者逮捕へと至った2つの事件も取り上げる。名古屋市主婦殺害事件では、事件発生から26年後の今年10月、被害者の夫の高校時代の同級生が逮捕された。警察が捜査対象としてきた約5000人の中には当初から容疑者も含まれており、長期化した捜査の経緯と電撃的な逮捕の舞台裏を検証する。
神戸市高校生殺害事件では、2010年に住宅街で16歳の男子高校生が刺殺された事件を追う。犯人の足取りは長くつかめなかったが、事件から10年後に寄せられた情報提供が逮捕につながった。遺族の粘り強い呼びかけと科学捜査の進展が、未解決事件を動かした原動力として描かれる。
スタジオでは、未解決事件の背景や捜査の課題、科学捜査の進歩がもたらした変化について詳しく解説し、視聴者に向けて情報提供も呼びかける。
番組は12月30日(火)22時15分から23時14分まで放送予定だ。NHK ONE(新NHKプラス)では同時配信を行い、1月6日まで見逃し配信も予定している。
また、年末には「未解決事件」シリーズの再放送も実施される。12月29日深夜から30日未明にかけて、「逃亡犯へ 遺族からの言葉」「大手ハウスメーカー地面師詐欺事件」「ベルトラッキ贋作事件」が一挙放送される。
2026年1月以降も新作の放送が予定されており、「三億円事件」「ビットコイン巨額窃盗事件」「ストーカー 事件はなぜ繰り返されるのか。」「赤ちゃん取り違えの深層」など、社会に大きな衝撃を与えた事件を題材にしたラインナップが続く。
長期未解決事件の現在地と、捜査を支える人々の執念に迫る「未解決事件 年末特別編」は、年の瀬に改めて事件と向き合う機会を提供する番組となる。