ハン・ジヘ、「愛する盗賊様よ」で物語を支配―“ラブリー・ヴィラン”から尼僧、そして歴史を動かす女へ

12時20分ドラマ
画像:KBS2「은애하는 도적님아」より

KBS2土日ドラマ「愛する盗賊様よ」で、ハン・ジヘが圧倒的な存在感を放っている。慈愛深い尼僧として登場した彼女は、第9話・第10話でその正体と真意を明かし、第11話・第12話で物語の構造そのものを揺るがすキーパーソンへと浮上した。



■ 前作「次の人生はないから」との鮮烈なギャップ
Tv chosun「다음생은 없으니까」よりTv chosun「다음생은 없으니까」よりハン・ジヘは前作、TV CHOSUNドラマ「次の人生はないから」で、主人公チョ・ナジョン(キム・ヒソン)の宿敵ヤン・ミスク役を好演。ショーホストという華やかな職業に就き、強気で現実的、しかし土壇場では友情を選ぶ義理堅さを併せ持つ“憎めない悪役”として、多くの視聴者に強い印象を残した。

現代的でエネルギッシュな「ラブリー・ヴィラン」から一転、「愛する盗賊様よ」で見せるのは、感情を抑え、言葉を選び、沈黙すら武器とする尼僧という存在。わずか1か月余りで正反対の役柄を自在に行き来するその振り幅は、ハン・ジヘの演技スペクトラムの広さを改めて印象づけた。

■ 慈愛の仮面の下にあった“前王の后妃”という真実
KBS2「은애하는 도적님아」よりKBS2「은애하는 도적님아」EP10より劇中でハン・ジヘが演じる尼僧の正体は、先代の王に仕えた后妃「淑儀」。王に息子を奪われた母であり、同時に王朝の行く末を静かに見据える戦略家だった。ホン・ウンジョ(ナム・ジヒョン)の前に現れた彼女は、穏やかな口調でありながら、「この国の玉座の主を変えるためです」と語り、もはや傍観者ではないことを明確にする。とりわけ、10話「昨日死んだのは私の息子。今日死んだのはあなたの父。それでも、明日とその次は変えられる」という台詞は、慰めではなく“選択”を突きつける宣言として、視聴者に強烈な緊張感を与えた。



■ フィクションでありながら、歴史を想起させる構造
「愛する盗賊様よ」は架空の物語だが、【韓ドラ歴史コラム:「愛する盗賊様よ」】でその時代背景や人物配置には、朝鮮王朝史を思わせる明確な影が差し込まれていると紹介した。
元妓生(歴史上の張緑水に相当)を寵愛、狩りを楽しむために民家を撤去、忠臣の排除、妓生を宮中への呼び込みなど、劇中で描かれる王の姿は、暴政と恐怖政治で知られる燕山君を彷彿とさせる。
トウォル大君イ・ヨル(ムン・サンミン)は、その後に即位した中宗を想起させる存在として配置されている。さらに、ホン・ウンジョ=ギルドンという人物像は、実在した義賊ホン・ギルドンの伝承と重なり合い、王や制度に守られない民の側に立つ“もう一つの正義”を象徴している。

■ 尼僧ハン・ジヘは「歴史を動かす装置」
HJKBS2「은애하는 도적님아」よりこうした構造の中で、第11話からハン・ジヘ演じる尼僧は、王と民、暴政と変革、血統と正義をつなぐ媒介者=歴史を動かす装置として本格的に機能している。彼女は剣を取らず、声を荒げることもない。しかし、低く沈んだ声と一瞬の眼差しだけで、登場人物たちの選択と運命を決定づけていく。



■ ロマンスを超えた“政治劇”の中核へ
トレンディな現代劇で見せた親しみやすさと、時代劇で発揮される抑制されたカリスマ。ハン・ジヘは「愛する盗賊様よ」で、その両極を自在に行き来しながら、単なる助演を超えた“代替不可能な存在”として物語の中核を担っている。フィクションでありながら、歴史の本質を映し出すこの作品で、彼女がトウォル大君イ・ヨルとホン・ウンジョのロマンスを骨太の政治ドラマに変えた。物語は今、最も深く、最も危険な領域へと踏み込んでいる。

「愛する盗賊様よ」(脚本:イ・ソン、演出:ハム・ヨンゴル)は、ひょんなことから天下一の大泥棒になってしまった女性ホン・ウンジョ(ナム・ジヒョン)と、彼女を追っていた大君イ・ヨル(ムン・サンミン)の魂が入れ替わることで、互いを救い、民を守っていく危険で壮大なロマンスを描く。
【「愛する盗賊様よ」を2倍楽しむ】では、時代背景やキャスト徹底紹介、制作発表会レポート、全話ネタバレあらすじと見どころなどまとめている。

本作は、毎週土・日曜の21時20分よりKBS2にて放送中。その後、U-NEXTで独占配信中だ。