「ヘチ 王座への道」朝鮮王朝第20代王・景宗は、母の刑死を目撃した悲運の王
11月10日よりNHKBSプレミアム(日曜よる9時~)にてスタートする韓国ドラマ「ヘチ 王座への道」!劇中登場する人物と史書などに伝わる実像とを比べて見た!今回は朝鮮王朝第20代王・景宗(キョンジョン)、番組公式サイトにて日本版予告動画も公開した。
「ヘチ 王座への道」は、民のための政治を行い名君として伝わる朝鮮王朝第21代王・英祖(ヨンジョ)の青年時代を仮想の人物として描いた作品。【「ヘチ」を2倍楽しむ】では、「エピソード0」としてドラマの始まる前と老論・少論・南人について、粛宗ら実在の人物紹介、韓国での評判などまとめて紹介している。
第20代王・景宗/世子ユン
(ハン・スンヒョン扮)■「ヘチ」で描かれる世子ユン/後の景宗(ハン・スンヒョン)は?
19代王・粛宗の長男で、延礽君(ヨニングン)/イ・グムと延齢君(ヨルリョングン)/イ・フォンの異母兄。王位継承者である世子に定められているが、世継ぎとなる子ができないことがわかり、その座を追われそうになっている。側室だった母・禧嬪(ヒビン)張(チャン)氏は、正室を呪った罪で処刑された。
※ハン・スンヒョン(1982年12月21日生-):母は「検事プリンセス」でキム・ソヨンの母エジャ役を演じたヤン・ヒギョン。「棚ぼたのあなた」「ずる賢いバツイチの恋」など韓ドラに欠かせないベテラン女優。伯母は歌手のヤン・ヒウン。まあるい体と癒しのお顔は母親譲り。「月桂樹洋服店の紳士たち」ではイ・ドンゴンの部下ナ代理、「ミセン~未生~」ではカン・ソラの元の職場の取引先担当者、「神のクイズ シーズン4」では警察庁特殊捜査係ク刑事役を演じている。「ヘチ」の前史ともいえる「トンイ」では子役ユン・チャンが、「張禧嬪-チャン・ヒビン-」ではクァク・チョンウク、「テバク~運命の瞬間(とき)~」ではヒョヌといった少年や少年っぽさの残る俳優が景宗を演じている。母は美人と伝わる禧嬪張氏(チャン・オクチョン)の息子役で、異母弟を演じたチョン・イルやノ・ヨンハクら細面のイケメンが演じているだけに、時代劇ファンにとっては愛嬌のあるハン・スンヒョンのキャスティングはちょっぴり意外と映るかもしれない。
■朝鮮王朝第20代王・景宗(生1688年~没1724年)
19代王・粛宗と側室・禧嬪張(張禧嬪)の息子で、名は昀(ユン)。粛宗は彼の誕生を非常に喜び、側室の子にも拘わらず3歳で世子(後継者)に冊封したほど。この時期権力を握っていたのは老論と少論で、母・張氏を支持していた南人派は換局により失脚、力を失っていた。
1690年に世子に冊封され昀を支持していた少論派は喜ぶが、禧嬪張の処刑を強く訴えていた老論派は戦々恐々。老論派は延礽君(後の英祖)を支持していたが、昀が即位して景宗となる。幼少期からとても聡明だったが、わずか13歳だった時に母・張氏の悲惨な死を目撃したことや、張氏の刑死後、父王・粛宗から冷遇されたためか、景宗は病弱だった。しかも妻から子供も生まれず、老論から延礽君を世弟にするよう迫られ、代理聴政まで求めて来た。一旦は延礽君の代理聴政指示するが、少論の猛烈な反対により取り消し。さらに老論が景宗の殺害を企て、延礽君が王権を狙っているという疑惑を提起し、延礽君を殺害しようとする。そんな矢先、即位4年目にして景宗が36歳で死亡し、玉座は延礽君に。
一説によれば、食べ合わせが悪いとされていた蟹醤と柿を食べ、延礽君が医師の反対にもかかわらず参茶を薬として使ったという、老論と延礽君による毒殺説も流れた。また景宗に子供が生まれなかったのは母・張氏が我が子と引き裂かれるときに局所を掴んだためとも言われている。とっさに掴んだのか、粛宗への復讐心から課は不明だが、なんとも悲運の王子だった。(在位1720年~1724年)
▼家族▼
景宗には2人の王妃がいたが子はおらず、側室も持たなかった。最初の妻、端懿王后(タニワンフ)沈氏(シムシ)は景宗が王位に就く2年前、世子嬪時代に死亡している。継妃は宣懿王后(ソニワンフ)魚氏(オシ)も景宗が世子時代に婚姻し、景宗の即位後に王妃となった。景宗の死後、2年後に王大妃に、1930年、25歳で死亡。
▼実像とドラマの違い▼
前述のように幼少期から聡明だった景宗は、本来なら善政を敷くことができるはずだったが、老論と少論の熾烈な権力闘争の中で、世子に冊封され王位に就き、おまけに病弱だったために本来の力が発揮できなかった。「ヘチ」でもみずから政治を行うシーンはあまり多く登場しない。ハン・スンヒョンのキャスティングが意外だったと前述したが、史実と大きく違うストーリー、キャラクターが多い本作の中で、景宗の描かれ方は実像とさほど違いはないようだ。(参:韓国での評判)
▼評価と業績▼
わずか4年の在位だったために目立った政治的な実績のない王として、ドラマでメインに描かれることは少ない。
※次回は朝鮮王朝第21代・英祖を紹介。
◇NHK「ヘチ 王座への道」番組サイト
2019.11.10スタート 毎・日21:00~22:00
◇Youtube|SBS NOW予告動画(日本語字幕なし)
【作品詳細】【「ヘチ」を2倍楽しむ】