チョン・イル「ヘチ 王座への道」第10話<黒い入れ墨をした少女>ネタバレあらすじと見どころ、豆知識:殺主契はトンイの剣契?
ヨジ(Ara)とパク・ムンス(クォン・ユル)を救うために妓楼に駆け付けたイ・グム(チョン・イル)が殺人犯として連行!韓国本格時代劇「ヘチ 王座への道」第10話の詳しいあらすじと見どころ、豆知識を紹介、番組公式サイトにはチョン・イルからのコメントと予告動画が公開されている。
※この記事は、2019年11月10日~2020年5月3日までNHKBSプレミアムでの放送時に紹介したものです。
●ネタバレなしの第10話のあらすじはこちら。
※オリジナル版を参考にしているために、カットされたシーンやあらすじが前後する場合もあることをご理解ください。【「ヘチ」を2倍楽しむ】では、ドラマの時代背景や見どころや実在の人物紹介などをまとめて紹介。ここでは第1話の前にいったい何があったのか、前史ともなる時代背景と派閥(老論、少論、南人)についても【エピソード0】として紹介している。
■第10話「黒い入れ墨をした少女」(見どころ・豆知識)
妓楼で司憲府(サホンブ)の役人を刺殺したのは男装した少女で、肩には主人を殺すという“殺主”という入れ墨があった。現場にいたイ・グムは、司憲府のウィ・ビョンジュの命令で、殺害の容疑者として司憲府へ連行されてしまい、このことは景宗、少論、老論にも報告される。
ヨジのピンチを捨て身で救ったパク・ムンス。振袖を翻して戦うヨジ。しかし健闘むなしく劣勢…そんな2人のピンチを救ったのは、皮肉にもイ・グム連行騒ぎだった。
イ・グムが妓楼に駆けつけたのが自分たちのためだと知ったヨジとパク・ムンスは司憲府に押しかけ、濡れ衣だと訴えるが、ユン・ヒョクに「捜査は原則に則るもの」と追い返されてしまう。
取り調べを受けたイ・グムは、役人はすでに殺されていたと犯行を否定するも、目撃した犯人については口を閉ざす。やがて王命により、イ・グムは義禁府(ウィグムブ)へ移送されることになる。ムンスとヨジを見たイ・グムは、二人の前に立つ。必ず濡れ衣を晴らすと言うムンスにうなずき、「私のために、二人ともまた怪我をしたのか」と涙を浮かべ、ヨジを引き寄せ抱きしめる。
司憲府vs義禁府のにらみ合い。短いが緊迫の場面だ。「義禁府だといって有利な条件はない」という義禁府のミン同知事の言葉に、「この国のどこにも私にそんな場所があるはずがない」というイ・グムの言葉が哀しい。その後、公衆の面前で愛の抱擁?さあ、グムはヨジの耳元になんと囁くのか、お聴き逃しなく。
一方、事件のことを知ったミルプン君/イ・タンとユニョンが好機だと動きだす。巷にも「世弟が人を殺めた」という噂が広まり、イ・グムを支持したキム・チャンジュンとイ・イギョムは老論の他の重臣たちから突き上げられる。
ミルプン君が向かった先は?似た者同士の初対面をお見逃しなく。
イ・グムの尋問に当たった義禁府の同知事チョ・ヒョンミョンは、自身が不利になる発言をした挙句、他の両班殺しについて質問するグムの態度を不審に思う。チョホンの機転で、尋問が中断されイ・グムは宮女姿のヨジと会うことができる。そして、両班を狙った連続殺人は、再び組織された“殺主契”の仕業だろうと自らの考えを話し、犯人が12・3歳の少女だったために黙秘したと打ち明ける。先代・粛宗の時代、殺主契組織を壊滅させるために、無残な殺主契狩りが行われた。当時、組織に関係のない民たちも犠牲になっており、イ・グムは再び同じ悲劇を繰り返さないためにも黙秘したのだった。そして、ヨジに穏便に探るように命じる。その頃、パク・ムンスもイ・グムの心中を察し、タルムンに経緯を話す。
宮女姿のヨジに一瞬見惚れるイ・グム。こんな時にも軽口を叩くグムが粋だ。朝鮮王朝中~後期、特に粛宗治世には反政府組織が横行した。この時代をドラマにした「トンイ」では“剣契(コムゲ)”という組織が登場している。詳しくは下の豆知識で。
イ・グムに会いに来た景宗は、黙秘する理由を尋ねる。「お前の力になりたいのだ」言う景宗の言葉に、「先王(粛宗)の時代に国全体を混乱に陥れた“殺主”が関係しているといい、黙秘したのは犯人が少女だったからだ」と打ち明けるイ・グム。「世弟が政に関わっていはいけないと知っているが、自身の出自を考え、他人事とは思えない。罪を問う前に、少女が罪を犯すしかなかった理由を知りたい」と、黙秘の理由も打ち明ける。そこに、司憲府の役人たちが、イ・グムの捜査権を戻せと辞職覚悟の抗議の座り込みをする。すると景宗は、義禁府をなだめるために3日後に引き渡すと、あっさり認める。
この3日は、事件の真相を究明するための猶予期間。民を思うイ・グムの心に打たれた景宗が、自らも窮地に陥るかもしれない英断を下したのだ。
事件のことを知ったミルプン君/イ・タンとユニョンが好機とばかりに、人身売買をしている妓楼の主人ト・ジグァンに会いに行く。一方、ウィ・ビョンジュは猶予の3日が、景宗がイ・グムのための時間稼ぎだと見破り、漢城府のミン・ジノンの協力を仰ぐ。
タルムンやパク・ムンスたち仲間が待つアジトにやって来たイ・グムは、それぞれの調査結果を聞く。今回の殺人は腑に落ちない点があり、その結果、最近起きた一連の殺人事件は子供たちが犯人かもしれないという、衝撃の事実。さらにイ・グムが記憶していた凶器の短刀と、犯人である少女の手にも煤がついていたことから犯人を特定する。
不審な点…①これまでは宿場で怪しい動きがあったが、今回はどの宿場にもそうした動きがない。②殺害後に略奪の痕跡がない。③相手が泥酔しているにも関わらず、一撃で致命傷は与えられずに、何度も刺している。
そして、凶器の短刀はどこで、何のために使われていたのか?少女の手が煤で汚れていたの、はなぜ?
その夜、王宮に残っていた少女を見つけたイ・グムは、逃げようとする少女に「お前を助けたい。なぜそんな罪を犯したのか、その理由を教えてほしい」と話す。少女は、「両班のために家族が不幸になり、姉は清に売られ、自分も売られそうになったのだ」と、涙で訴える。役人から少女を逃がしてやったイ・グムは、このことを景宗に報告し、「殺人を犯した罪は見過ごせないが、その前に、この国の病弊も正してください」と訴える。民を守ることもできない自分が、王座に座っているのかと、衝撃を受ける景宗。いたたまれず部屋を出たイ・グァンジャは、遭遇した大妃にイ・グムをどう思うかと聞かれ、まだわからないと答えながらも、「王材(王としての資質)を持つのはイ・グムなのかもしれない」と答えるしかなかった。
どうやら少論のイ・グァンジャが一番先に、イ・グムの王材を認める人物になるようだが、実際は、少論は徹底的にイ・グムを排除に動いた。
その頃、タルムンとパク・ムンスも殺主契の巣窟を発見し、老人から人身売買の情報を得る。司憲府に戻ったムンスはユン・ヒョクにこれを報告する。
翌日、イ・グムは自ら司憲府の“齊坐(チェジャ)”に出向くが…。その頃、ユン・ヒョクを説得したパク・ムンスたちも、清国への不法人身売買の罪でト・ジグァンの妓楼に乗り込むが…。
齊坐(チェジャ)とは監察だけでなく長官も一緒に容疑を論じる最高会議。2話でウィ・ビョンジュが亡きハン・ジョンソクを引きずり出した会議。
■豆知識:“剣契”と“殺主契”は
剣契(コムゲ)とは、文字通り「刀をさして歩く会」という意味で、朝鮮後期(19世紀)に実在した武装組織。もともとは賤民(せんみん)たちが葬儀費用などの共助目的で結成した組織だったが、いつのころか騒ぎを起こしたり無理な集金などをして反社会的な犯罪組織となった。夜に南山に登って軍隊のような訓練もした。殺掠契(サリャンゲ)または鬨動契(ホンドンゲ)などとも呼ばれ、強奪や殺戮も行い、「トンイ」のヒロインの父が目指した“世直し隊”ではなく、後半に描かれる“ならず者の集まり”に近い組織。
一方、殺主契(サルチュゲ)とはこちらも文字通り「主人を殺す会」で、虐げられた奴婢が主人を殺すための秘密結社。「推奴-チュノ-」では“奴婢団(ノビダン)”という組織として22話あたりで描かれている。
どちらも実在した反社会組織で、ほぼ同じ時期に現れたためにドラマなどでは同じように描かれることが多いが、成り立ちから異なる組織だ。
※参考:韓国wikipedia、剣契と殺主契(검계와 살주계)他
■キャスト⇒相関図(NHK)
延礽君ことイ・グム役:チョン・イル
茶母ヨジ役:Ara(コ・アラ)
熱血漢パク・ムンス役:クォン・ユル
町のごろつきダルムン/タルムン役:パク・フン
密豊君ことイ・タン役:チョン・ムンソン
ほか
◇NHK「ヘチ 王座への道」番組サイト
2021.02.14スタート 毎・日23:00-24:00 NHK総合
2019.11.10-2020.05.03 毎・日21:00~22:00 BSプレミアム
◇作品公式サイト
【作品詳細】【「ヘチ」を2倍楽しむ】