韓国映画『夏時間』と<パラサイト 半地下の家族>との意外な共通項とは?

2021年02月08日15時00分映画

2021年2月27日(土)より日本公開する韓国映画『夏時間』は、韓国映画韓国社会の貧富の歪みをさりげなく描き出す珠玉の作品!意外にもアカデミー賞受賞作『パラサイト 半地下の家族』との意外な共通項を紹介、作品公式サイトで予告動画が公開中だ。



『夏時間』は、注目の女性監督ユン・ダンビが描く、懐かしく繊細な夏の物語。誰もが記憶に残っている、夏休みの思い出。その懐かしくも記憶に刻まれる日々を、ひとりの少女の視点から描く。それは、ただ楽しいだけのものではなかった。

監督は1990 年生まれのユン・ダンビ。第24 回釜山国際映画祭で4 冠に輝いたのを筆頭に、ロッテルダム国際映画祭など数多くの映画祭で、デビュー作である本作の繊細さと確かな演出力が絶賛された。『はちどり』のキム・ボラや『わたしたち』のユン・ガウン、『82年生まれ、キム・ジヨン』のキム・ドヨンに並ぶ、新たな才能が韓国から登場した。

本作がデビューとなる姉オクジュ役のチェ・ジョンウンは、監督が見つけた一枚の写真から大抜擢された。弟ドンジュ役のパク・スンジュンは人気ドラマ「愛の不時着」にも出演している天才子役。この姉弟と家族との自然なアンサンブルが観客の感情を刺激することだろう。

そんな『夏時間』と『パラサイト 半地下の家族』とは以下のような共通項があった。

natu■共通項1:映画『夏時間』に登場する家族が住んでいたのは“半地下の家”だった!!
主人公の少女オクジュと父と弟の3 人は、父親の事業の失敗で、夏のある日、おじいさんの家に引っ越すことになる。そのおじいさんの家が本作の主要な舞台となるが、映画の冒頭、3 人の家族が元々住んでいた家からの引っ越しのシーンが描かれる。それが映画『パラサイト 半地下の家族』で描かれていた半地下の家を想起させる地下の家なのだ。
natuオクジュはその家を懐かしむように見てまわり、電気を消す、そして地下からの階段を上がり、表に出て引っ越し用の車に乗り込み、映画は始まる。ユン・ダンビ監督によれば、この住居のロケ地は監督が住む家の近くにある、再開発が間もなく始まる古い街並みが残る地域とのこと。貧困層が多く住み、映画『パラサイト 半地下の家族』で描かれた家族の姿が思い浮かぶ。

natu■共通項2:映画『夏時間』本当は、『パラサイト』のようなブラックコメディーだった!?
誰もが記憶に残っている、夏休みの思い出。その懐かしくも記憶に刻まれる日々を、ひとりの少女の視点から、日常生活の描写を主体に静かに描き出す本作は、実は『パラサイト 半地下の家族』のようなブラックコメディーだったとユン・ダンビ監督はオフィシャル・インタビューで語っている。
natuユン・ダンビ監督: 最初に書いたシナリオは『パラサイト 半地下の家族』のようなブラックコメディー風だったのですが、スタッフの意見を聴き、本当に描きたい内容なのか、それとも長編を撮るために物語を作り出しているだけなのか考えました。実体験を書いたわけではなく、情緒や感情に基づく私の経験の一部分をシナリオに反映させていきました。祖父の家で暮らしたことも、弟とケンカをしたことも、母と別れて暮らしたこともありませんが、登場人物たちの気持ちを十分理解し、共感できました
作品の出来上がりからは想像もできないが、もしかしたら、『パラサイト 半地下の家族』を超えるようなシュールで笑えるコメディだったかもしれない。

★2021年2月27日(土)〜ユーロスペースにてロードショー全国順次公開

natu■あらすじ
夏休みのある日、10 代の少女オクジュは、父親が事業に失敗したため、弟ドンジュと一緒に緑が生い茂る広い庭のある祖父の家に引っ越した。しかし、そこには母親の姿はなかった。広い居間とステレオセット、風が通る2 階の窓際に置かれたミシン。日本の“昭和”のような懐かしい空気の家。弟は新しい環境にすぐ馴染むが、オクジュはどこか居心地の悪さを感じている。オクジュの逃げ道は、同級生との淡い恋模様。そんなある日、この祖父の家に離婚寸前の叔母まで住みつき始め、一つ屋根の下に三世代が集まり、オクジュにとって、自分と家族のあり方を初めて意識せざるを得ない、ひと夏の日々が始まった。

韓国/2019年/105分/DCP
原題/남매의 여름밤 英題/Moving On
監督・脚本/ユン・ダンビ
出演/チェ・ジョンウン、ヤン・フンジュ(『ファッションキング』)、パク・スンジュン(『愛の不時着』)、パク・ヒョニョン(『私と猫のサランヘヨ』)、キム・サンドン
制作/ユン・ダンビ、キム・ギヒョン(『わたしたち』)
撮影/キム・ギヒョン(『わたしたち』)
照明/カン・ギョングン
整音/ハン・ドンフン
編集/ウォン・チャンジェ

・字幕/三重野聖愛
・配給/パンドラ
・協力/あいち国際女性映画祭
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