「ヘチ 王座への道」キム・ガプスが演じた朝鮮王・粛宗を「トンイ」や「テバク」など他作品でどう描いている?

2022年04月06日08時00分ドラマ
©SBS

テレビ東京で地上波放送中の韓国ドラマ「ヘチ 王座への道」に登場する粛宗は朝鮮王朝第19代王で、「トンイ」や「テバク ~運命の瞬間(とき)~」でもメインキャストとして登場する!実在した粛宗と3作品で誰が演じてどう描かれたか、比べてみた!作品公式サイトおよびYoutubeにて予告動画が視聴できる。



■作品紹介
【ヘチ 王座への道】(全24話)韓国ドラマ紹介「ヘチ 王座への道」(2019年、SBS)は、民のための政治を行い名君として伝わる朝鮮王朝第21代王・英祖(ヨンジョ)の青年時代を仮想の人物として描く。
©SBS、演出:イ・ヨンソク、脚本:キム・イヨン、主演:チョン・イル
●作品詳細、時代背景、各話のあらすじなど⇒【「ヘチ」を2倍楽しむ】
作品公式サイト

【テバク ~運命の瞬間(とき)~】(全24話)ドラマ紹介「テバク~運命の瞬間(とき)~」(2016年、SBS)は、粛宗の第1王子として生まれながら幼い頃に捨てられ詐欺師となる主人公と、玉座を賭けた男たちの熱い戦いと運命を愛を描く。
©SBS、演出:ナム・ゴン、脚本:クォン・スンギュ、主演:チャン・グンソク
●作品詳細、時代背景、各話のあらすじなど⇒【「テバク」を2倍楽しむ】
作品公式サイト

【トンイ-同伊-】(全60話)ドラマ紹介「トンイ」(2010年、MBC)は、賤民の身分から粛宗の側室最高位まで上り詰めたトンイの波乱に満ちた生涯をドラマチックに描く。
© 2010 MBC、演出:イ・ビョンフン/キム・サンヒョプ、脚本:キム・イヨン主演:ハン・ヒョジュ
●作品詳細、時代背景、各話のあらすじなど⇒【「トンイ」を2倍楽しむ】
Youtube予告動画

【朝鮮王朝系図】を見て見よう。朝鮮王朝には27人の王がおり粛宗(スクチョン)は第19代の王。

■朝鮮王朝第19代王・粛宗(生1661年~没1720年)
粛宗は18代王・顕宗の一人息子。母は明聖王后・金氏。名前は焞(スン)。幼少期から優秀で1667年に王世子に冊封された後、14歳で即位しすぐに親政を取り45年を超え、長きにわたって王座にいた(在位1674年~1720年)。
朝鮮時代唯一の法貨「常平通宝」が広く流通し、財政制度「大同法」や土地制度「量田事業」が完成したのも粛宗の時代。在位中は激しい派閥争いがあったが、換局(政権交代)という方法で抑え、常に主導権を王に置き、弱まっていた王権を強くした。その過程で権勢家の娘などと婚姻し、王妃を廃位して側室を王妃に昇格させたり、その王妃を降格させて元の王妃を復位させたりと、女性たちで党派のかじ取りをした。女性たちはその都度栄辱を経験させられた。その中で最も激動の人生を生きたのが昀の母、禧嬪張(張禧嬪)で、朝鮮王朝三大悪女の一人とされたチャン・オクチョンだろう。

そうした政治政策から9人の妻(王妃や側室)がいた。妻たちから8人の子(男6人、女2人)を得たが、3人の王子は夭折している。残る3人の王子は昀(ユン)、延礽君こと昑(グム)、延齢君こと昍(フォン)。粛宗は延齢君を寵愛していたが、延齢君も21歳で死亡している。

「王権を確立した強い王」「女性にだらしない好色漢」「ロマンチスト」「自由奔放」など、後世に伝わる評価はさまざま。

■「ヘチ」粛宗役:キム・ガプス(優しく子供想いの王)
「ヘチ」より 粛宗(キム・ガプス)©SBS 「ヘチ」より 粛宗(キム・ガプス)「チュノ~推奴~」では第16代王・仁祖(インジョ)を演じたキム・ガプス。近年は「賢い医師生活」シリーズの物欲のない優しい病院長チュ・ジョンスが印象深いが、過去には「武人時代」の武臣政権の執権者・チェ・チュンホンや「海神(ヘシン)」の海賊イ・ドヒョンといった猛々しい役を演じることが多かった。
●「ヘチ」では、世子、イ・グム、ヨルリョン君の3人とも大切な我が子と考える優しく子供想いの王として登場する。中でも、母の身分が低かったために臣下たちからも軽んじられているイ・グム(後の英祖)の聡明さと王材(王としての資質)を早くから見抜いていた。表面的にはグムに厳しく接しながらも次期王にしたいと考えていた。

■「テバク」粛宗役:チェ・ミンス(強いカリスマ王)
テバク©SBS 「テバク」より 粛宗(チェ・ミンス)チェ・ミンスといえば、名作「砂時計」のヤクザ役のパク・テスをはじめ、「ペク・ドンス」の黒紗燭籠の頭目・天(ワン・ヨン)、現代ドラマでも「人間レッスン」の売春斡旋のイ・ワンチョルなどアウトローな役が多い。「太王四神記」の火天会大長老役での凄味のある悪役も記憶に新しい。一方で映画『チュ・ノミョンのベーカリー』では、コミカルな演技も見せている。
●「テバク」では周りを震え上がらせる鋭い視線でワイルドな王として登場する。策略により人妻を側室にしておきながら、側室が出産した男児が月足らずで生まれたために「自分の息子ではない」という疑念にかられて捨ててしまう。

■「トンイ」粛宗役:チ・ジニ(ユーモアあふれるダンディな王)
「トンイ」© 2010 MBC 「トンイ」より 粛宗(チ・ジニ)「大風水」では朝鮮王朝初代王・太祖(李成桂)に扮したチ・ジニ。米ドラマのリメイク「サバイバー:60日間の大統領」でもわずか60日ながら大統領を演じている。だが、彼の代表作といえば今も「宮廷女官チャングムの誓い」ミン・ジョンホをあげるファンが多いのでは?正義感あふれ、文武両道に秀でて何かとヒロイン(チャングム)の力になる。もっとも彼女が命の恩人だとはなかなか気づかない。
●「トンイ」では「チャングム」のミン・ジョンホと同じく正義感溢れ、卓越した指導力と該博な知識で、悪賢い臣下達を次々と押さえていく。それでいてユーモアも持ち合わせたダンディな王として登場する。側室オクチョンを愛しながらも自分を王とは知らない女官トンイの自由さに惹かれていく。

■実在した粛宗に一番近いのは?
3人の名優が演じた粛宗のなかで歴史書などに照らし合わせると、もっとも実像に近いのは「テバク」でチェ・ミンスが演じた粛宗かもしれない。「ヘチ」キム・ガプスと「トンイ」チ・ジニが演じた粛宗はどちらも愛情深く優しいイメージがあるが、両作の脚本を手掛けたのはキム・イヨン。他にも「イ・サン」「馬医」なども手掛けた脚本家。キム作家にとっては粛宗はそうしたイメージのある王なのかもしれない。

■そのほかの作品は?
粛宗が登場するドラマは他にも「張禧嬪-チャン・ヒビン」では、カリスマ俳優のチョン・グァンリョルが粛宗を演じ、キム・ヘス扮するチャン・オクチョン(後の張禧嬪)に振り回される、少々情けない王として登場する。
一方、「チャン・オクチョン」ではユ・アインが粛宗を演じ、チャン・オクチョン(後の張禧嬪)をキム・テヒが演じた。Netflixを通じて世界中を震え上がらせた「地獄が呼んでいる」で新興宗教団体の不気味な教祖を演じたユ・アインが愛のために全てを懸ける粛宗を若々しく演じている。

【ドラマの年表:朝鮮時代】では、ドラマを時代別にドラマが一覧できる。まだまだある粛宗が登場するドラマうあ、他にも同じ時代のドラマを見比べて時代劇を楽しんでほしい。

【韓流コーナー:韓ドラここが知りたい】では、朝鮮半島の【歴代の地図】や朝鮮時代以外にも三国時代(高句麗・百済・新羅)、統一新羅、高麗時代などの【系図・年表】、【豆知識】では実在人物の紹介などもしている。また、時代劇だけでなく現代ドラマなども含めて1000作以上のドラマを紹介している。

テレビ東京「ヘチ 王座への道」番組サイト
 2022年3月30日-5月2日 月~金8:15-9:11
作品公式サイト

kandoratop【作品詳細】【「ヘチ」を2倍楽しむ】