イ・ソンギュン遺作『脱出:プロジェクトサイレンス』史上最大級の災難映画と話題に…韓国7/12公開

07月07日09時25分 映画
映画『脱出』ポスター

昨年12月に亡くなったイ・ソンギュンの遺作として関心を集めている『脱出:プロジェクトサイレンス』が来る7月12日に韓国にて公開予定だ。公開を目前に控えた現在、この夏期待の映画だと既に多くの関心が集まっているのでご紹介したい。現在予告動画がYouTubeにて公開中だ。

『脱出:プロジェクトサイレンス』は、濃い霧の中で連鎖追突事故が起き、崩壊危機の空港大橋に放たれた統制不能の軍事用実験犬から生き残るために極限の死闘を繰り広げる人々の話を描く。



『グッバイ・シングル』のキム・テゴン監督に『パラサイト 半地下の家族』のホン・ギョンピョ撮影監督、『新感染 ファイナル・エクスプレス』のパク・ジュソクシナリオ作家、『神と共に』シリーズのVFX(視覚効果)を担当したデクスタースタジオ、『1987、ある闘いの真実』のハン・アルム美術監督…と驚くほどの豪華な製作陣が集結した作品だ。昨年開かれた第76回カンヌ国際映画祭のミッドナイトスクリーニング部門に招待され、140カ国で先行販売される快挙を成し遂げた。

イ・ソンギュンは留学に行く娘ギョンミン(キム・スアン)を見送りに空港に向かうが、崩壊直前に空港大橋に閉じ込められてしまう安保室行政官のチャ・ジョンウォン役を演じる。またチュ・ジフンはレッカー技師のチョ・バク、キム・ヒウォンは謎の多い「プロジェクトサイレンス」の責任研究員ヤン博士を演じる。

この映画が史上最大の災難映画と言われているのは、「連続追突事故にヘリコプター墜落」と聞いただけでも最悪の事故が重なり恐怖を感じるが、これだけではないのだ。更に有毒ガス爆発、空港大橋の崩壊危機、更には軍事用実験犬が解き放たれてしまい…!聞いているだけで鳥肌もの。映画ポスターの「生存者全員がターゲットになる」というキャッチコピー、そして現在公開中の予告動画だけでも緊張感や恐怖感が伝わってくるだろう。



このようなスケールの映画をつくるために、撮影もかなり大掛かりに行われたようだ。濃霧注意報が発令された空港大橋でストーリーが展開される作品なだけに、作品全体の90%は霧に包まれたシーン。ホン・ギョンピョ撮影監督は「一つの空間で、一晩で起こる話を詰め込んだ映画」という特性に合わせ、場面ごとにスモッグの濃度を細かく調整するなど繊細な演出で極限の緊張感を維持、本作品の独特なムードを完成させたと明かしている。また100台の玉突き事故が発生する序盤の場面では、事前にニュース記事や交通事故調査報告書など数多くの資料を参考にし、事故車両の種類や大きさ、走行速度や車間距離、車線、風や霧などの天気要素まで徹底的に研究。実際の撮影ではコンテナ船着場に200メートルの道路をつくり、300台以上の車両を用意した上で、実際に車を次々と衝突させてリアリティ溢れるシーンを撮影した。それ以降の殆どの撮影は国内で一番大きい1300坪余りのセット場で、床にアスファルトを敷いて重機まで動員させ、実際の大橋工事現場を再現。これらを聞いて「そこまで徹底的にするのか!?」と驚かざるを得ないだろう。映画館で観るとどれだけ迫力溢れるシーンとなっているのであろうか?実際に足を運びたくなってくること間違いなし。

またイ・ソンギュンの遺作の1つとなった本作品。予告動画を見た韓国人達は「もう聞けないと思っていた声が聞こえて鳥肌ㅠㅠ」「イ・ソンギュンに会いに劇場いきます」「イ・ソンギュン愛してる」といったコメントを数多く残した。尚イ・ソンギュンの遺作『幸せの国』は8月に公開予定だ。

今回イ・ソンギュンだけではなくチュ・ジフンもかなり注目を集めているということも言及しておきたい。彼は本作品で、これまで見たことのない破格的なスタイルに挑戦したからだ。まず彼の長髪スタイルという見た目からして強烈なインパクトを与え、驚いた方も多いのでは?「私の知ってるチュ・ジフンではない」「『神と共に』のイ・ジョンジェ(長髪の閻魔大王を演じた)のような雰囲気を想像していたが…ㅋㅋㅋ」「この程度なら引退作ではないか」という思わず笑ってしまうような反応が続々と寄せられているが、これはチュ・ジフン本人のアイデアが採用されたスタイリングだというからまた驚き。ネットニュースでも「彼は「ラプンツェル」のように長い髪をなびかせながら映画に愉快な活力を吹き込む予定」などと報道されており、そのラプンチェルと呼ばれていることにも思わず笑ってしまう。監督は「コメディ要素が多いこの役にチョ・ジフンのユーモア感覚とセンスが加わりより愛らしくなった」とコメントしている。コメディ+突拍子もないかわいさを具現したチョ・パクという役柄は、絶対に見逃せない!災害映画ということで終始緊迫感たっぷりの作品の中で彼の存在がアクセントとなっていることだろう。



そして公開を12日に控えた現在、都心の映画館やショッピングモールには異色な広告が出現しこちらも話題に。CGV龍山には崩壊寸前の空港大橋に立っているような錯覚効果のある広告が。またスターフィールド高陽、河南、安城、水原などには巨大なスマホのホーム画面(大型電光掲示板)が登場。このスマホ画面に、濃霧注意報から玉突き事故発生、有毒ガス、ヘリコプター衝突など続々と災害メールが押し寄せるという。日常的な空間で起きた史上最悪の災難を連想させ、映画に対する好奇心は高まるばかりだ。

このように、見どころが多すぎて何度も劇場に脚を運びたくなる!?映画『脱出:プロジェクトサイレンス』は来る7月12日に公開予定だ。

■作品紹介
制作国:韓国
制作年:2024年
スタッフ:
演出:キム・テゴン
脚本:キム・テゴン、キム・ヨンファ、パク・ジュソク
原題:『탈출:프로젝트 사일런스』(タルチュル:プロジェクトゥサイロンス)
韓国公開日:2024年7月12日〜
チャ・ジョンウォン役:イ・ソンギュン
チョ・パク役:チュ・ジフン
ヤン博士:キム・ヒウォン


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