「于氏王后(ウ氏王后)」視聴の前に:高句麗の成立~終焉、五部族(桂婁部、桂婁部、順奴部、灌奴部、消奴部)紹介【韓国歴史コラム】

08月27日23時19分ドラマ
画像:TVING「우씨왕후」

8月29日から高句麗を舞台にしたTVING初の時代劇「ウ氏王后(우씨왕후)」が始まる。ドラマ視聴の前に、高句麗の成り立ちと歴史、ドラマの中で重要なキーと5つの部族についても紹介する。ドラマの予告動画はYouTubeにて公開中だ。

「ウ氏王后」は、突然の王の死を受けて王位を狙う王子たちと権力を握ろうとする五つの部族の標的となったウ氏王后が、24時間以内に新たな王を立てるために奮闘する追跡アクション時代劇。⇒パート1:第1話~第4話あらすじと見どころ
【「ウ氏王后」を2倍楽しむ】では、制作発表会やキャスト、あらすじ・見どころなど紹介する。





高句麗(コグリョ)とは

地図©navicon

紀元前37年から668年まで朝鮮半島の北部と中国東北部を中心に存在した古代の国家である。高句麗は強力な軍事力と外交戦略で知られ、朝鮮半島や周辺地域において重要な役割を果たした。

※高句麗の地図は【時代別[韓半島の地図]】の【三国時代の地図】で見ることができる。



高句麗の起源と建国

系図©navicon

高句麗は紀元前37年、朱蒙(チュモン)によって建国された。朱蒙は扶余(プヨ)という古代の王国の王子で、彼の統治下で高句麗は急速に成長した。高句麗の首都は最初、丸都(現在の中国吉林省集安市)に置かれ、その後、国内城(同じく集安市)へ移された。

※高句麗の歴代王は【高句麗王朝系図】でまとめている。



高句麗の文化と社会

高句麗の文化は中国の影響を強く受け、特に漢字の使用や儒教の導入が進んだ。しかし、高句麗独自の文化も発展し、特に壁画や墓の建築などで知られる。高句麗の壁画は色鮮やかで、日常生活、宗教儀礼、戦争などの様々な場面を描き、その美術的価値は非常に高い。



高句麗の軍事力と拡張

高句麗は強力な軍事力で知られていた。特に、5世紀には広開土王(こうかいどおう)の治世下で領土を大幅に拡大し、中国の南北朝時代の北魏や周辺の民族と頻繁に戦った。広開土王は「好太王碑」という碑文にその偉業が記されており、高句麗の最盛期を象徴する存在である。



高句麗の衰退と滅亡

しかし、7世紀になると、高句麗は隋(ずい)や唐(とう)などの中国王朝との戦争により衰退し始めた。最終的には新羅と唐の連合軍によって668年に滅亡する。滅亡後、高句麗の人々の一部は渤海(ぼっかい)という新しい国家を建国し、一部は新羅に吸収された。



高句麗の遺産

高句麗の遺産は、現在の韓国と北朝鮮、中国の一部地域で見ることができ、その歴史的な重要性からユネスコの世界遺産にも登録されている。特に、高句麗古墳群はその壮大な壁画で有名で、古代朝鮮の文化や歴史を理解する上で非常に重要な遺跡である。

高句麗は古代東アジアの歴史において重要な役割を果たし、その影響は現在でも多くの人々の記憶に残っている。



五部族

高句麗は「五部」と呼ばれる五つの主要な部族によって構成されていた。この五部族は貴族勢力として自治権を持ち、独自の外交を行っていたため、王は部族の代表程度の力しかなかった。桂婁部出身の第6代・太祖大王(テジョテワン)が5つの部族をまとめ古代国家体制を整え諸加会議(チェカフェウィ)と呼ばれる会議で政策について論議された。また、この代表を古鄒加(コチュカ)と呼ぶ。


●桂婁部(계루부=ケルブ)

内部、黄部とも呼ぶ。高句麗の王家である朱蒙の子孫が属した部族であり、王権の中心を担った。王を出す部族で、始祖、東明聖王(朱蒙)一族が桂婁部で桂婁部。一族の姓は「高(コ=고)」氏(씨)。


●絶奴部(チョルノブ)

北部、後部、黒部とも呼ぶ。軍事力に優れた部族であり、戦争の際には高句麗の主要な戦力として活躍した。王妃は絶奴部から立てられた。一族の姓は「明臨(ミョンニム=명림),「于(ウ=우)」「絡(ナッ=낙)」氏(씨)。


●順奴部(スンノブ)

東部、左部、青部とも呼ぶ。高句麗の初期の発展に貢献し、国家の基盤作りに大きな役割を果たした。一族の姓は「温(オン)」氏(씨)。


●灌奴部(관노부=クァンノブ)

南部、前部、赤部とも呼ぶ。高句麗の行政を担当し、内政面での統治を行った。一族の姓は不明。


●消奴部/涓奴部(ソノブ)

西部、右部、白部とも呼ぶ。経済活動や農業に従事し、国家の経済的な基盤を支えた。初期は王を出したが徐々に衰弱し、後に桂婁部がこれに代わった。一族の姓は「解(ヘ)」氏(씨)。


これらの部族は高句麗の発展と存続に不可欠な要素であり、各部族の協力と対立が国家の運営に大きな影響を与えた。高句麗は668年、唐と新羅の連合軍によって滅亡したが、その文化と影響は後の朝鮮半島の歴史に深く根付いている。



高句麗が舞台のドラマは?

ドラマの年表三国時代©navicon

韓国時代劇は圧倒的に朝鮮時代が多い。そんな中、「紀元前2333に建国した檀君(タングン)朝鮮から始まる」という神話時代~19代王・広開土王の時代までを舞台にしたのが「太王四神記」だ。
王朝の初期が舞台の作品には、高句麗建国の王の物語「朱蒙」、2代王・瑠璃王~3代王・大武神王の時代を描いた「風の国」などがある。2024年8月29にから始まる「ウ氏王后」は9代王・故国川王~10代王・山上王辺りが舞台のようだ(視聴後確認)。
王朝後半は25代王・平原王~27代・嬰陽王までの「王女ピョンガン 月が浮かぶ川」、王朝末期を描いた「淵蓋蘇文(ヨンゲソムン)」「大祚榮(テジョヨン)」などの大作ドラマがある。

※その他の高句麗のドラマは【ドラマの年表:三国時代】で(高)と記して、(白)百済、(新)新羅のドラマと一緒に時系列に紹介している。




「ウ氏王后」は韓国TVINGにて8月29日からパート1、パート2は9月12日に公開される。

YouTube「ウ氏王后」ティーザー予告(日本語字幕なし)

kandoratop【作品詳細】【「ウ氏王后」を2倍楽しむ】