視聴率地図を動かす男、チソン─2024~2026年、韓国ドラマ勢力図はこうして塗り替えられた
ここ数年の韓国ドラマ界を振り返ると、視聴率争いは単なる数字の競争ではなく、放送局ごとの「流れ」をどう作るかという局面に入っている。とりわけ2024年から2026年にかけての3年間は、その流れが連鎖的に形作られていった時期だった。
2024年:MBC優勢、tvN躍進──その中でSBSを押し上げた「コネクション」
2024年のドラマ界は、地上波とケーブルが同時に強かった稀有な一年だった。
MBCは「夜に咲く花」「捜査班長1958」などで安定した視聴率を確保し、総合力で優位に立つ。一方、ケーブル局ではtvNが圧倒的な存在感を放っていた。
その象徴が、24.9%を記録したキム・スヒョン×キム・ジウォン主演の「涙の女王」だ。
ロマンスと家族劇を融合させた本作は高い話題性と視聴率を同時に獲得し、「2024年を代表する一作」として広く認知される。地上波を含めた全体ランキングでも存在感を示し、tvNが“数字でも勝てる局”であることを改めて印象づけた。その後も安定した数字を記録し、年末には「ジョンニョン:スター誕生」も16.5%と高い数字で証明した。
こうした中で、やや影を潜めていたのがSBSだった。
話題作としては「財閥 x 刑事」があったものの、年間を通して流れを変える決定打には至らなかった。
その空気を一変させたのが、チソン主演の「コネクション」である。
刺激的な設定に頼らず、緻密な心理描写と演技力で勝負した本作は、回を追うごとに評価を高め、視聴率14.2%を記録。「やはりSBSにはこの路線がある」という信頼を視聴者に取り戻させた。
MBCの安定、tvNの大ヒット、そしてSBSの反撃。
2024年は三者三様の強さが際立つ一年となり、その中で「コネクション」は、SBSが主役に返り咲くための起点として確かな意味を持つ作品となった。
2025年:tvN「暴君のシェフ」が首位、SBSは“負けない局”に
2025年は、tvNが完全に主役となった年だ。
17.1%と圧倒的な話題性と数字を叩き出したのが「暴君のシェフ」。ケーブル局作品でありながら、地上波を含めた年間トップに立ち、視聴率争いの構図を塗り替えた。
その一方でSBSは、突出した年間1位こそ逃したものの、「熱血司祭2」「わたしの完璧な秘書」「復讐代行人3~模範タクシー~」などが二桁を記録し、大きく崩れることはなかった。
2024年の「コネクション」によって築かれた“この局は最後まで見られる”という信頼が、2025年も生き続けていたからだ。話題作が乱立する中でも、SBSは安定した成績を維持。
この年は、派手な勝者=tvN、堅実な強者=SBSという住み分けがはっきりした一年だった。その一方で、MBCは決定打を欠き、視聴率争いの主役から一歩後退した印象を残すことになる。
2026年:低迷MBCを救った「二度目の裁判」
2026年に入ると、SBSとtvNが安定路線を保つ一方で、MBCはヒット不足に苦しむ状況が続いていた。「今年も厳しいのでは」という空気が漂う中で登場したのが、チソン主演の「二度目の裁判」だ。
社会派法廷ドラマとして静かな立ち上がりを見せた本作は、回を追うごとに評価を高め、視聴率でも存在感を発揮。同時期に放送されていたラブコメやジャンル作とは一線を画し、中高年層を確実に引き戻し、残り3話を残してここまでで13.5%の最高視聴率を記録している。
結果、MBCは久々に“数字で語れるドラマ”を手にし、「MBCドラマ復活」という評価を呼び込む。2026年の視聴率争いを語るうえで欠かせない一作となった。
なぜチソン作品は「局の流れ」を変えるのか
データを並べてみると明確だ。
チソン主演作は、いずれも局が押されている局面で投入され視聴率だけでなく“信頼感”を回復し、次の編成につながる空気を作っている。
単発ヒットではなく、放送局の立て直しに効くカード。
それがチソンという俳優の特殊性だ。
視聴率争いの次の分岐点も
2024年のSBS逆転、2026年のMBC復活。その中心にチソンがいた以上、今後も彼の出演作は、「次に流れを掴むのはどの局か」を占う重要な指標になるだろう。視聴率戦国時代のカギは、数字ではなく“誰が背負うか”。その答えを、チソンはすでに何度も示している。
なお、MBCはこの後も、チョ・ジョンヒョプ×イ・ソンギョンの「君がきらめく季節に」、4月にはIU×ビョン・ウソクの「パーフェクト・クラウン」を控えており、
「二度目の裁判」で取り戻した流れを本物にできるかが、次の焦点となる。