「大岡越前9」第1話、青木昆陽・高橋和也と大岡忠相・高橋克典の縁!“おせっかい豆腐”に込められた人情【ネタバレ】

20時44分ドラマ
「大岡越前9」(1)「おせっかい豆腐」より

高橋克典主演のBS時代劇「大岡越前9」が、9月6日からNHKでスタートした。高橋克実、高橋和也、有森也実をゲストに迎えた第1話「おせっかい豆腐」では、米不足に苦しむ江戸を舞台に、善意から貧しい人々へ豆腐を配り続けた豆腐屋夫婦と、後に「甘藷先生」と呼ばれる実在の人物・青木昆陽との知られざる縁が描かれた。番組HPにて1分PR動画も公開中だ。



「大岡越前9」は、理性と人情を兼ね備えた高橋克典演じる大岡忠相が、笑いと涙で江戸の難事件を裁く正統派時代劇の第9弾。⇒【全話あらすじ・見どころ・豆知識】【「大岡越前8」全話あらすじ】

■主要レギュラーキャスト
大岡忠相役:高橋克典
榊原伊織役:勝村政信
結城新三郎役:寺脇康文
雪絵役:美村里江
徳川吉宗役:徳重聡

■第1話「おせっかい豆腐」ネタバレあらすじ


米不足で混乱する江戸
江戸の街では深刻な米不足が続き、食べるものに困った庶民の不満が高まっていた。米問屋への打ち壊しも頻発し、人々の怒りが瞬く間に広がっていく。現代のSNSの炎上にも通じるような状況に、南町奉行の大岡忠相も頭を悩ませていた。

そんな中、忠相は農学者・青木が研究を進めているサツマイモに注目する。荒れた土地でも育ち、寒さや干ばつにも強いサツマイモを、米に代わる救荒作物として幕府に推挙し、栽培を奨励しようとするのだった。

善意の豆腐で食あたり事件が発生
そんな折、江戸で食あたり事件が相次ぐ。事件が起きたのは、町でも評判の善人で、おせっかい焼きとして知られる吉兵衛(高橋克実)と女房のお春(有森也実)が営む豆腐屋だった。

3件の食あたりが発生し、原因を調べると、吉兵衛が「少しでも生活の助けになれば」と貧しい人々に無料で配っていた豆腐だったことが判明。患者たちは医師・榊原(勝村政信)の迅速な処置によって一命を取り留めるが、いつも丁寧な商売をしている吉兵衛の店で、なぜ突然食あたりが起きたのか。忠相は南町の者たちに詳しい調査を命じる。

責任を感じた吉兵衛夫婦が身投げを決意
その夜、吉兵衛の顔なじみの若者・浅吉(奥野壮)が、父親が食中毒になったと吉兵衛の家に怒鳴り込んでくる。吉兵衛が事情を説明しようとするものの、浅吉は聞く耳を持たず、吉兵衛の胸ぐらをつかむ。その拍子に灯が倒れ、火事になってしまう。

隣家への類焼はどうにか防ぐことができたものの、大家の甚右衛門(越村公一)は激怒。食あたりを起こした患者たちも吉兵衛を訴えると言い出し、吉兵衛夫婦は番屋へ連れていかれる。

自分たちのせいで人々を苦しませたと思い詰めた吉兵衛とお春は、身投げを決意する。身寄りのない2人は、かつて自分たちが命を助け、仲を取り持った若夫婦と赤ん坊に最後に会おうとする。そんな2人を捜していたのが青木昆陽だった。

青木昆陽が吉兵衛夫婦を救う
かつて吉兵衛夫婦に命を救われた青木が、今度は2人の命を救う。

やがてお白州では、吉兵衛夫婦と、彼らを訴えた関係者が一堂に集められる。忠相は今回の食あたり事件の背景に、米不足による飢えが関係しているのではないかと推察していた。

忠相の予想通り、被害者たちは吉兵衛からもらった豆腐を「もったいない」と数日間取っておき、腐ってしまった豆腐を食べていたことが明らかになる。さらに浅吉は、自分が吉兵衛につかみかかったことで火事になったことを告白し、吉兵衛に謝罪。大家の甚右衛門も謝罪し、訴えを取り下げる。

忠相は、これまで世話になった吉兵衛への感謝を忘れてしまった人々を諭すとともに、「治世を預かる我らが行き届かなかったせいでもある」と、自らの責任にも言及する。

青木昆陽を救っていた吉兵衛夫婦
そして、お白州で吉兵衛夫婦と青木昆陽をつなぐ意外な過去が明らかになる。

サツマイモの研究に没頭していた青木も、実は飢えに苦しんでいた。そんな青木のもとへ、毎日のように豆腐やおからを届けていたのが吉兵衛だった。時にはお春の手作りおにぎりを持っていくこともあり、その「おせっかい」によって青木は命をつないでいたのだ。その後、忠相に才能を見いだされた青木は、本格的なサツマイモの研究を続けていた。

一方、吉兵衛も青木のことを忘れてはいなかった。「いつか人様の役に立つ」と苦しい中でも研究を続ける青木の心意気を受け継ぐように、吉兵衛もまた、困っている人々に豆腐を無償で分け与えていたのだった。

吉宗がサツマイモを絶賛!
後日、江戸城では八代将軍・徳川吉宗(徳重聡)の前に、青木が作ったサツマイモが差し出される。吉宗が口にすると、「美味い!これはうまいぞ」と絶賛。青木昆陽は「甘藷御用掛」を命じられ、飢饉に備えたサツマイモ栽培を本格的に進めていくことになる。吉兵衛も浅吉を跡取りにして店は繁盛していた。


■「甘藷先生」と呼ばれた実在の青木昆陽とは?


「大岡越前9」(1)「おせっかい豆腐」より「大岡越前9」(1)「おせっかい豆腐」より
第1話で高橋和也が演じる青木昆陽は、実在した人物だ。1698年(元禄11年)、江戸日本橋の魚市場で働く魚屋の一人息子として生まれたとされる。

昆陽が生涯をかけて普及に取り組んだのがサツマイモだった。当時、日本の一部ですでに栽培されていたサツマイモが、荒れた土地でも育ち、寒さや干ばつにも強いことに着目。飢饉から人々を救う作物として、その栽培方法や利点を研究し、『蕃薯考(ばんしょこう)』にまとめた。その功績から、昆陽は後に人々から「甘藷先生」と呼ばれるようになる。

大岡忠相が青木昆陽の才能を見いだした
ドラマだけでなく、史実でも大岡忠相と青木昆陽には深い関わりがあったとされる。

1732年(享保17年)、西日本を中心に享保の大飢饉が起こり、江戸でも米不足や物価高騰によって人々の生活が苦しくなった。そんな中、江戸町奉行だった大岡忠相は、部下の与力・加藤枝直から、優れた民間学者がいることを知らされたという。

それが青木昆陽だった。

昆陽の熱意と『蕃薯考』に注目した忠相は、サツマイモなら飢えに苦しむ人々を救えると考え、8代将軍・徳川吉宗に推薦したとされる。吉宗も昆陽の考えを認め、昆陽は幕府のもとでサツマイモの試作と普及に取り組むことになる。江戸の小石川御薬園などで栽培が試みられ、さらに現在の千葉県などでも栽培が進められた。

こうして青木昆陽は、飢饉から人々を救うサツマイモの普及に尽力した人物として知られるようになった。

青木昆陽は蘭学の先駆者でもあった
青木昆陽の功績は、サツマイモだけではない。その後、徳川吉宗の命によってオランダ語を学び、日本の蘭学の発展にも大きな役割を果たした。医学や西洋科学を学ぶための蘭学が広がっていく中で、その先駆者の一人となり、後に『解体新書』の翻訳に携わった前野良沢の師匠でもあったとされる。

つまり青木昆陽は、飢えから人々を救うためのサツマイモ普及だけでなく、日本に西洋の知識を取り入れる道を開いた人物でもある。

第1話は「おせっかい」が人から人へ受け継がれる物語
「おせっかい豆腐」というタイトルの通り、第1話のキーワードとなったのは、人のために何かをすることだった。

吉兵衛夫婦が青木昆陽に届けた豆腐やおから、おにぎりは、決して大きなことではない。しかし、その小さな善意が青木の命を救い、やがてサツマイモの普及という大きな取り組みへとつながっていく。

そして史実でも、大岡忠相が青木昆陽の才能を見いだし、徳川吉宗へとつないだとされている。

人々が飢えに苦しみ、疑心暗鬼に陥っていた江戸で、大岡忠相が見つけたのは、単なる事件の真相だけではない。人を思いやる「おせっかい」が次の誰かを救い、その善意がまた別の人へと受け継がれていく――。そんな人情味あふれる物語が、「大岡越前9」の第1話を温かく彩った。

【放送情報】
「大岡越前9」
2026年9月6日(日)放送開始
NHK BS、NHK BSプレミアム4K
毎週日曜 18:45~19:28
全8回

NHK|BS時代劇「大岡越前9」
NHK ONE「大岡越前9」