昭和43年(1968年)12月10日、昭和を揺るがした三億円事件は東京都府中市で発生、以降40年経つが、いまだ真相は闇の中である。
まず手口が巧妙であった。それは事件の4日前、日本信託銀行・国分寺支店長宛に脅迫状が届く。内容は翌日午後5時までに指定の場所へ300万円を持ってこないと、支店長宅を爆破するというもの。そのため、脅迫状にあった期日に、大勢の警官が張り込んだ。しかし、犯人の姿は現れなかった。そう、これはまさに”序章”だった。
4日後の事件当日、12月10日午前に日本信託銀行・国分寺支店から府中にある工場へ、工場従業員のボーナスである約3億円入りのジュラルミントランクを現金輸送車が輸送中、警官に変装した犯人がニセの白バイで輸送車の前に立ち塞がった。そしてニセ警官は言った。「この輸送車にもダイナマイトが仕掛けられている」と。4日前の脅迫状により行員たちは警官の言うことを信じた。そして犯人は発炎筒を用意し煙を出すと、「危険だから逃げろ!」と怒鳴り、そのまま輸送車を持ち去った…。
この石井輝男監督、小川真由美主演の映画は『実録三億円事件 時効成立』は迷宮入りとなったこの事件をあらたな角度から犯人を仮定して描く”ファクション”の傑作。このために東映は警察とは別の”捜査隊”を組織、莫大な資料を集めた。事件に関わる多くの人物を緻密に描いた意欲作であり、事件を独自の視点で推理する”問題作”でもある。
※ファクションとは?
事実(ファクト)に仮説(フィクション)を組み合わせたストーリー手法。ネーミングはアメリカの映画機関が行った。ファクションの有名な作品として挙げられるのはオリバー・ストーン監督の”JFK”や、ロバート・デニーロ主演の”レナードの朝”など。
事件からもう40年なのか!石井輝男監督、小川真由美主演でおくる”ファクション”の傑作『実録三億円事件 時効成立』
スタッフ: 原案:清水一行/監督:石井輝男/脚本:小野竜之助、石井輝男/音楽:鏑木創キャスト: 小川真由美/岡田裕介/金子信雄/田中邦衛/絵沢萌子/滝沢双
(C)東映
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