「トンイ」最終回のその後…「イ・サン」へ繋がる粛宗・景宗・英祖の史実のバトンリレー

2014年05月05日13時40分ドラマ
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感動の最終回で幕を閉じた韓国ドラマ「トンイ」…はたしてドラマのその後、史実はどう動いたのか?そしてドラマは「イ・サン」にどうつながるのか?今回は、そんな気になる「ドラマのその後」を紹介する。

「トンイ」は、名匠イ・ビョンフン監督が手掛けた歴史エンターテインメント大作。朝鮮王朝第19代王・粛宗の妻であり、第21代王・英祖の母となったトンイ(淑嬪崔氏)の波乱万丈な生涯を描く。主人公は日韓合作の新作ドラマ「匿名の恋人たち」に主演しているハン・ヒョジュ。

ドラマの時代背景やキャスト紹介、全話のあらすじは【「トンイ」を2倍楽しむ】でまとめている。



■トンイ最終回
トンイの機転でみごと最後の敵チャン・ムリョルも捕えることができ、トンイの人柄に心を動かされた仁元王妃はヨニン君(延礽君)を守るために自分の養子にすると提案し、粛宗も譲位を撤回する。トンイは宮殿を出てイヒョン宮で貧しい民の相談に乗りながら暮らし、朝鮮王朝史で最も長く在位した賢君・英祖の生母・崔淑嬪(チェ・スクピン)として名を残した。

時は流れ、ヨニン君は、第21代国王・英祖として即位。成人した英祖は、母の墓・昭寧(ソリョン)園でチャ・チョンスと共に亡き母を忍ぶ。

チョンスは、トンイの墓の虫を取るトンイにそっくりな少女を見かけ、「淑嬪様のお墓だからお金をもらってはダメだと父も言っています」と言うその少女に「貴い志を抱いて貴い人におなりなさい」と声をかける。父に名前を呼ばれた少女はその場を去る。“トンイ”と呼ばれた少女は、亡きトンイにオーバーラップし、それはやがて粛宗と二人で仲睦ましく歩いて行くのだった。

■史実に見る粛宗王
※ここからは朝鮮王朝系図を開いて、系図を見ながらお読みください。
ドラマで譲位を撤回した粛宗は、実際には、1720年60歳で崩御。粛宗は1674年13歳で即位したので、46年間も王座を守ったことになる。「朝鮮王朝系図」にも書いたように、粛宗は幼くして即位したが、摂政政治など垂簾聴政(すいれんちょうせい)を受けず、自らが国を統治した。党派の年表を見ればわかるように、粛宗の時代は、最も党争が激しく手の付けられない時代でもあった。「トンイ」ではお茶目な王として描かれた粛宗だが、弱体化した王権復興のため“換局政治”といって政権党を総入れ替えして勢力の強い党派をけん制する大胆な政策を採った強い王だった。

各党では、何とか自分たちの勢力を強めようと、肝心な国政そっちのけで論争し謀略を巡らすことに日々を過ごしていた。

ドラマの前半に描かれたオクチョン(チャン・ヒビン)との愛だが、これも、勢力の強い“西vs南”を互いにけん制さて弱化させるための一つの政策でもあったとも考えられる。(西人派は・仁顕王妃派、オクチョンは南人派)。粛宗は、こうした換局政治を通じて強化した王権を土台に、民生安定と経済発展に大きな業績を残した。

■「トンイ」から「イ・サン」へ
粛宗のあとを継いだのは「トンイ」に登場した心優しき世子の景宗。オクチョンが夢にまで見た我が子が32歳で即位。しかし、オクチョンの処刑に関して、西人派が二つに分派し、オクチョンの死罪を反対し景宗を擁護した少論派と、世弟であるトンイの息子ヨニン君を擁立しようとする老論派との間で、また党争が起きる。そんな中、残念ながら景宗はわずか4年で病死。景宗は粛宗の冷遇により憂鬱症も患っていたとも伝わっている。病弱だったとはいえ、景宗の死は、当時少論派が王族から養子を迎えてヨニン君を排除しようと準備を進めていただけに、ヨニン君を擁護する老論派の両班によるとの説もある。

結局、1724年、ヨニン君が21代王・英祖として30歳で即位。本来なら、王位に就くことができなかっただろうヨニン君が王位に就けたのは老論派のおかげで、英祖は、このため老論派に強く出ることができなかった。
しかし、英祖は賢君だった。党争を無くすために党派に関係なく有能な人材を登用する「蕩平(タンピョン)策」や、農民の租税負担を軽減するための「均役法」を推進したり、罪人の人権を尊重するために過酷な刑罰を禁止したり、死罪にあたる罪人には、3回まで裁判を受けることができる「三審制」を採用したりした。このように弱者に目を向けた政治を行った英祖は、ひょっとすると実際の母からも、ドラマの「トンイ」のような教育を受けたのかも知れない。

※粛宗王役=チ・ジニ、世子役=ユン・チャン、クム(ヨニン君)=イ・ヒョンソク、成人したクム(英祖王)役イ・ソンホ

こうした背景をもっと詳しく知りたい方は、ドラマ「イ・サン」を2倍楽しむの(2)から(4)を参考にどうぞ。

kandoratop【作品詳細】【「トンイ」を2倍楽しむ】