チョン・イル「ヘチ 王座への道」第18話<王の資格>ネタバレあらすじと見どころ、豆知識:殿下と邸下

2021年06月12日09時00分 
(2021年06月12日09時05分 更新)
ドラマ

王、景宗が亡くなり、世弟であるイ・グムが即位して、第21代王・英祖となるはずだが…韓国本格時代劇「ヘチ 王座への道」第18話あらすじと見どころ、豆知識を紹介、番組公式サイトにはチョン・イルからのコメントと予告動画が公開されている。
※オリジナル版を参考にしているために、カットされたシーンやあらすじが前後する場合もあります。

※この記事は、2019年11月10日~2020年5月3日までNHKBSプレミアムでの放送時に紹介したものです。

●ネタバレなしの第18話のあらすじはこちら【「ヘチ」を2倍楽しむ】では、ドラマの時代背景や見どころや実在の人物紹介などをまとめて紹介。



■第18話「王の資格」(見どころ・豆知識)
王、景宗が亡くなった。イ・グムが王に即位するはずだが、少論派の意見が分裂していた。イ・グムを支持する重臣のイ・グァンジャ側に対し、大多数を擁する重臣チョ・テグは、イ・グムが適切な処置をさせずに景宗を死なせたとして即位に反対していた。老論派のミン・ジノンは、どちらを支持すれば主導権を握れるか思案する。そして、景宗の命を救えなかったイ・グムも、自分には王になる資格がないのではと考えていた。
卑賎な血を引くことが負い目でもあり、イ・グムの原動力でもあった。ところが景宗の死が、イ・グムを弱気にさせてしまった。

そんな中、都入りした南人派イ・インジャは長老たちと密会し、世弟イ・グムが景宗を毒殺したという噂があり宮殿は不穏な動きをしていると報告する。一方、タルムンは情にほだされてユニョンを匿ったことを悔やみ、苦しんでした。
さあ、実在の人物がまた一人登場した。イ・インジャについてはネタバレになるので次回解説。待ちきれない方は「テバク」史実とフィクションで描いた時代背景は?で予習を。

イ・グムの苦しい胸の内を聞いたイ・グァンジャは、「王に毒を盛ったのか、王の治療の邪魔をするために内医院を封鎖したのか、王を殺害するために附子と人参を処方させたのか、王座が欲しいためにしたのか」とあえて厳しい言葉でイ・グムの本心を聞き出そうとする。そして「真実を知らない者たちの偽りの中で何故自分を責めるのですか?果てのない嘘と誤解、陰謀の中で生きていくことが王への道。道の途中で逃げた瞬間、王の資格は消えるのです」と説く。人としてこの苦痛を避けるか、それとも王になってすべての企みと戦うのか、とイ・グムに選択を迫り、自身もある決心を固める。
イ・グァンジャの言葉の一つ一つが胸に響く。比類ない忠臣であり、素晴らしい師である。そんなグァンジャはどんな決心を固めたのか?

義禁府の情報を聞こうとチョ・ヒョンミョンの元に向かったパク・ムンスは、途中でヨジと遭遇。揚洲にいるはずのヨジが宮女姿で、しかも大妃の使いとして司憲府と義禁府の情報を探りに来たと知り動揺する。
宮女として入宮した女官たちは、国王に身を捧げる立場となり、他の男性との恋愛や結婚は許されない。王の目に留まれば側室になる道もあるが、ほとんどが結婚もできずに独り身で過ごすことになる。そんな選択をしたヨジに対するムンスの気持ちは複雑なはず。宮女の身分については【朝鮮王朝豆知識】「◆宮女の身分(内命婦)」参照。

各部署が少論のチョ・テグと老論のミン・ジノンの指示に備えて、それぞれ慌ただしく動き出す。イ・グァンジャの言葉で目が覚め、景宗の臨終の言葉をかみしめたイ・グムは、王座が空白になる6日間に事変が起きないよう、パク・ムンスたちに何ができるか備えるよう指示し、大妃の元へ向かう。そして一日も早く即位させてほしいと頼む。即位を急ぐことで「先王を死に追いやり急いで王位に就いた卑怯な王」と呼ばれるのを覚悟でやって来たイ・グムの意を汲んだ大妃は、即位式を早めるよう命を下す。その頃、イ・グァンジャもまたある決意を胸にミン・ジノンと対面する。
新しい国王が王位に就くまでの6日間、王座は空席となる。その間は、大妃が政権を握る。都承旨とは、王命の伝達と王への報告を行う官庁の長官。王の側近といえる役人で、ウィ・ビョンジュ役ハン・サジンは「イ・サン」で都承旨役を務めている。さて、少論のイ・グァンジャは何の目的で政敵である老論の長ミン・ジノンを訪ねたのか?

即位式が早まったと知ったチョ・テグは、これを阻止するために軍事行動を起こそうとする。ミン・ジノンはチョ・テグを止めて、イ・グムを支援することにしたと告げる。イ・グムとどんな政治取引をしたのかと聞くチョ・テグに、イ・グムではない“愚か者たち”に持ちかけられたと答える。
“愚か者たち”とはもちろん、イ・グァンジャ、チョ・ヒョンミョン、そしてパク・ムンスの3人。3人はどんな取引をしたのか。そして宮殿の外の愚か者たちは即位式準備の噂に狂喜乱舞。タルムンにもやっと笑顔が戻るのでお見逃しなく。

パク・ムンスはイ・グムに「“邸下”とお呼びするのもこれが最後。どうか聖君になって下さい。最後までその道でお守りします」と、誓う。大妃は即位式にイ・グムが着る正装の準備をヨジにさせる。ヨジはイ・グムを想い、心を込めて王の服に香を焚きつける。
ヨジがムンスに告白した言葉は「これしか方法がないのです。殿下のお傍でお守りする方法は。私は邸下をお守りできれば、それで充分です」。ヨジと同じくイ・グムを守るつもりのムンスだが、“傍”ではなく“その道”といっている。果たしてその意味は?ヨジに王の服を任せるとは。本作の大妃は実に人を見る目に長けている。王の礼服については【朝鮮王朝豆知識】「王室の祭服・婚礼服」を参照。

厳かに即位式が行われ、ヨニン君イ・グムは第21代王・英祖となる。即位式の後、ムンスは調査資料などを整理して他の監査たちに引き継ぎし、ユン・ヒョクに辞表を提出する。一方、イ・グァンジャは経筵に役立つたくさんの書物を持って、初めての政務を終えたイ・グムの元にやって来る。さっそく宿題なのかと笑顔のイ・グムに辞意を表明する。そして、チョ・ヒョンミョンとパク・ムンスも辞任すると伝え、「安定した治世を行うためには、力のない自分たちを捨てて、権力ある老論を通して力を持つべき」と訴える。
長く険しかった王への道にやっとたどり着いたイ・グムだが、本当の試練はこれからのようだ。ショックを受けたイ・グムの表情に注目。経筵とは王と重臣たちが政治問題を討論し、対話する場。詳しくは「不滅の恋人」14話豆知識で。

ミン・ジノンが、イ・グムへの協力の対価としてイ・グァンジャたちの辞職を取引したと推測したイ・グムは、血相を変えてミン・ジノンの元へ。そして「友を捨ててまで老論と手を組む気はない」と憤慨するが、ミン・ジノンは「自分には到底理解できない」がという言葉を添えて、取引を持ち出したのがイ・グァンジャたちだったと教える。そしてチョ・テグ率いる少論を抑えるためにはこの取引に乗るべきと助言する。「そのために命懸けで支えてくれた彼らを諦めろというのか」と聞くイ・グムに、「王とは、王権や政治のために無実の者も犠牲にする、孤独を強いられるもの」と告げ、今後「老論は英祖を支持し国政に協力する」と誓い、英祖の治世が平和である事を望んでいるとも言う。
イ・グァンジャが何を思い、無茶な取引を申し出たのかは、回想シーンで明らかになる。そしてムンスたちも同じ思いだったのだ。ようやく権力を手にした主君のために自ら身を引くグァンジャたちが理解できないと言いながらも、彼らにかつて純真だった自分の姿を重ねるかのような、一瞬遠くを見つめるミン・ジノンの目をお見逃しなく。

イ・グムに会えば離れがたくなると考えたムンスは手紙1つを残して去る。ムンスを引き留めようとタルムンのアジトに駆けつけたイ・グムは、ムンスからの手紙を受け取る。「手紙1つで去る無礼をお許しください」から始まる手紙には「申し訳ないとか、自分を責めたりしないでください」と認めてあった。「私の味方、私の友さえも守れない。王座とはそんな座だったのか」と、泣き崩れるイ・グムを陰で見守るヨジもまた涙を流す。
王にはなれたが、また孤独になってしまったイ・グム。そろそろヨジが傍にいると知らせてやった方がいいのでは?果たして、グムはいつ宮女ヨジの存在を知るのか?

暗闇に紛れて誰かが井戸に何かを入れた翌朝、ユン・ヒョクの元にウィ・ビョンジュが幽閉地から姿を消したという知らせが入る。報告を受けたイ・グムは、すぐにミルプン君の元に討伐軍を送るように命じる。そこに、ミン・ジノンが現れ…。その頃、ウィ・ビョンジュはある人物と共に…。
ミン・ジノンはいったいどんな知らせを持ってきたのか?そしてウィ・ビョンジュは誰と共に、何処にいるのか?



■豆知識:殿下と邸下
韓国時代劇では王や世子を呼ぶのに“陛下(폐하=ペハ)”、“殿下(전하=チョナ)”“主上殿下(주상전하=チュサンチョナ)”、“邸下(저하=チョハ)”など色んな呼び方がある。今回、イ・グムの即位式の前、辞職を決意したパク・ムンスが、最後だといって「邸下」と呼びかける感動的なシーンがある。聞き違いしそうだが、“殿下(전하=チョナ)”は王様で、“邸下(저하=チョハ)”は後継者(今回は世弟イ・グム)のこと。この呼び方は、当時の中国との関係が大きくかかわってきている。これについてはまた、別の機会に詳しく説明するとして、耳を澄まして「チョナ~」と聞こえた時は王様、「チョハ~」は後継者と覚えておこう。

■キャスト相関図(NHK)
延礽君ことイ・グム役:チョン・イル
茶母ヨジ役:Ara(コ・アラ)
熱血漢パク・ムンス役:クォン・ユル
町のごろつきダルムン/タルムン役:パク・フン
密豊君ことイ・タン役:チョン・ムンソン
ほか

NHK「ヘチ 王座への道」番組サイト
 2021.02.14スタート 毎・日23:00-24:00 NHK総合
 2019.11.10-2020.05.03 毎・日21:00~22:00 BSプレミアム
作品公式サイト

kandoratop【作品詳細】【「ヘチ」を2倍楽しむ】