「ヘチ 王座への道」閔鎮遠(ミン・ジノン)は<トンイ>が残した禍根でイ・グムを救う?イ・ギョンヨン紹介
韓国ドラマ「ヘチ 王座への道」劇中登場する人物と歴史書などに伝わる実像を比べて見た!今回はイ・ギョンヨンが演じた閔鎮遠(ミン・ジノン)を紹介、Youtubeにて2分の予告動画が公開されている。
※以下、ミン・ジノンに関連した14話までのネタバレあり
「ヘチ 王座への道」は、不遇の王子が仲間に支えられて王(英祖(ヨンジョ))として、司憲府(検察組織)を改革して世の中を立て直していく人気時代劇。【「ヘチ」を2倍楽しむ】では、時代背景や各話のあらすじ(ネタバレあり、なし)と見どころなどまとめて紹介している。
■「ヘチ」で描かれる閔鎮遠(ミン・ジノン)は?
老論派の重臣。老論派の実質的な主導者。かつては政に夢を抱いたこともあったが、正義や法ではなく権力を握る派閥が勝者となって世を動かし、対立派閥を滅ぼす現実を見てきた結果、政治の安定のために強い派閥や重臣の力が必要だと考え、イ・グムと敵対。しかし、イ・グムの毅然とした姿を見て、長年、明白な証もないまま疑いだけで政敵を排除してきたこの国のやり方は正しくないと考え、政敵だったイ・グムと手を組むことに。
★イ・ギョンヨン(1960年12月12日生、173cm)
デビューは1987年の映画『燕山日記』の端役。その後、イム・グォンテク監督の『アダダ』でメインキャストの一人スリョン役に抜擢され注目を集める。1990年代半ばまで映画界でパク・チュンフン、アン・ソンギ、チェ・ミンスらと共に、過去映画製作所が多くて韓国映画のメッカと呼ばれた街、“忠武路(チュンムロ)4大俳優”と呼ばれ銀幕のスターに。上品で柔らかいカリスマ性を持ち、メロドラマから知的な役までこなし、主婦層の人気を独占してきた。
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「ミセン-未生-」より俳優としての絶頂期に、事件を起こし活動を自粛していたが、2011年に国民的俳優アン・ソンギ主演作『折れた矢』で悪役に扮したのをきっかけに、『南営洞1985~国家暴力、22日間の記録~』でも悪役で圧倒的な存在感を示した。
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『いつか家族に」より2012年の渡部篤郎主演の邦画『外事警察 その男に騙されるな』でも北朝鮮軍将校役で出演し、短い出演シーンながら印象深い演技を見せ、2015年には『いつかか家族に』に出演するなど、復帰後は、イケオジ、ちょい悪オヤジといった渋めで不良がかった雰囲気を醸し、ドラマ界でも大活躍。「ミセン~未生~」「ミスティ」「ハイエナ-弁護士たちの生存ゲーム-」「夫婦の世界」など話題作に多く出演している。
※本作のミン・ジノン役では、チョン・イル演じるイ・グムと敵対しながら互いを認めるという不思議な関係を築いていく。
■閔鎭遠(민진원:ミン・ジノン)(生1664年~没1736年)
父は西人派の重臣・閔維重(ミン・ユジュン)。兵曹判書などを勤めた実力者。妹が朝鮮第19代王・粛宗の継妃、仁顕王后(イニョンワンフ)閔氏。粛宗の寵愛は張禧嬪(チャンヒビン)に集中し、1689年己巳換局で閔氏は廃妃に追い込まれ、廃位に反対する40人以上の西人が流刑などに処され、科挙に合格していた閔鎭遠も活躍の場はなかった。
張氏が王妃の座に就くが、今度は1694年の甲戌換局で閔氏が復位、張氏は降格。これにより西人も復権し、閔鎮遠も官職に就き、司僕寺、司憲府執義など歴任。西人が分派、閔鎭遠は老論の一員として分派した少論と激しく対立。その後、正2品に昇格し刑曹判書、工曹判書など歴任。1720年に老論の主導者だった兄・閔鎮厚(ミンジヌ)が亡くなり、その後を受け継ぐ。
粛宗が逝去し、張氏の子が王・景宗に。老論が淑嬪崔氏の子、のちの英祖を世弟に推し、代理聴政まで要求するが失敗。老論と英祖が景宗の暗殺を企てたという噂で、老論の多くが失脚、閔鎭遠も流刑に。
景宗の急死で1724年、英祖が王になると、赦免されて復帰、老論も力を回復、閔鎭遠は左議政に。だが、英祖の党派に偏らない「蕩平策」を反対し、少論排除の姿勢が激しすぎ、解任される。ところが1728年少論と一部の南人が起こした反乱「李麟佐の乱」で呼び戻される。閔鎭遠は、李麟佐の乱の後処理として少論と南人の多くを粛清し、その後は名誉職などに就いて、1736年死去した。
※“換局”については「テバク」第4話の豆知識で詳しく解説している。
▼家族▼
父:閔維重(ミン・ユジュン)
母:恩津宋氏(ウンジンソンシ)
兄:閔鎮厚(ミンジヌ)
妹:仁顕王后(イニョンワンフ)
妻:李德老(イドンノ)の娘
子供:閔買洙(ミンメス)、閔遇洙(ミンウス)
▼実像とドラマの違い▼
ミン・ジノンが活躍したのはドラマと同じく第19代王・粛宗~21代王・英祖の時代だが、【エピソード0】「■老論派、少論派、南人派って?」で説明したように、歴史的事実と異なるところも多い。15話からはミン・ジノンとイ・グム(英祖)は手を組むことになり、2人は史実と同じく対立したり和解したりを繰り返すことになる。
14話ラスト~15話冒頭でミン・ジノンが「血で血を洗う憎しみと報復」として「実姉(史実では妹)である仁顕王后を廃位し、兄弟を死に追いやったのは今の王(景宗)の実母・張禧嬪で、その実母を死に追いやったのが世弟(イ・グム)の実母・淑嬪崔氏」とつぶやくが、これが上で説明した王妃交代劇。韓国ドラマに詳しい方なら“チャン・ヒビン”が登場する作品を思い出すのでは?本作の脚本家は「イ・サン」「トンイ」などを書いたキム・イヨン作家。ミン・ジノンのつぶやきの中に登場する女性3人こそが、「トンイ」の主人公トンイで後の淑嬪崔氏(ハン・ヒョジュ扮)、仁顕王后(パク・ハソン扮)、張禧嬪(イ・ソヨン扮)なのだ。キム作家はなんと自身が描いた「トンイ」で禍根を残した王妃交代問題を「ヘチ」で最高の見せ場にしたのだ。
さあ、ここからドラマはイ・インジャも登場する。【「ヘチ」を2倍楽しむ】では、英祖(ヨンジョ)、密豊(ミルプン)君、李麟佐(イ・インジャ)の人物紹介もしているので、そちらをご覧になってドラマ終盤を予測してみてはいかがだろう?
◇NHK「ヘチ 王座への道」番組サイト
2021.02.14スタート 毎・日23:00-24:00 NHK総合
2019.11.10-2020.05.03 毎・日21:00~22:00 NSプレミアム
◇作品公式サイト
【作品詳細】【「ヘチ」を2倍楽しむ】