【韓国在住コラム】韓国のリアルな恋愛・結婚・出産事情が分かる韓国ドラマ3選!

2023年05月08日03時40分ドラマ

結婚や出産などをテーマとした人気韓国ドラマ「結婚白書」「ミョヌラギ」「パンドラの世界~産後ケアセンター~」の3作品をもとに、実際の韓国ではどうなのか?!韓国人男性と結婚し韓国で生活する筆者の経験を基にしてご紹介しよう!作品詳細と予告動画は作品タイトルクリックで確認できる。
※あくまで個人的な意見であることをご了承頂きたい。



昨今のブームによって注目を集めている韓国。ドラマの影響もあり、韓国人といえばロマンティックな男性が多いというイメージが強いが、実際韓国人と付き合ったり結婚するとどうなのだろうかと気になる人も多いのではないだろうか?また、幸せな恋愛期間を経て迎える結婚という大きなイベントも、細かい部分で日韓の違いなどが出てくるもの。プロポーズや結婚式、そして嫁姑問題、出産…と、一体日本とどのような違いがあるのだろうか?

【結婚白書】(全12話)韓国ドラマ紹介Netflixシリーズ『結婚白書』独占配信中「結婚白書」(全12話)は結婚を目前に控えて、童話のハッピーエンディングのように幸せな生活が始まると信じる30代カップルが、結婚の準備中に様々な困難に直面する現実共感ロマンス。

幸せな恋愛期間を経ていざ結婚となると、否が応でも現実的な面を見ていかなければならない。ただ好きなだけではやっていけない…と痛感するのが結婚準備期間。このドラマではそんなリアルな結婚に向けた男女のストーリーが描かれている。既婚者の方は激しく頷きながら、未婚者の方は是非とも参考にしながら観ていただきたい。

まず韓国は、日本以上に豪華で派手な演出などを好む傾向にある。付き合って100日記念、200日記念など細かい記念日までしっかり祝う韓国人カップルは、やはりプロポーズもドラマなどで見るようなロマンティックなイベントを準備する人も一定数存在する。残念ながら筆者はきちんとしたプロポーズもなく結婚準備が進んでしまったため体験談は語れないが、実際、かなり凝ったプロポーズをする人が多いのも事実だ。コロナ以降はデートにホカンス(ホテル+バカンスの造語)を楽しむ人々が急増。プライベート感もありカップルに人気の定番デートコースとなったが、そこで誕生日や記念日にプロポーズを行う人が多いようだ。また結婚式も、以前は何百人もの招待客、派手な結婚式が主流であったが、コロナ以降はスモールウェディングが増えてきたため、以前よりは日本と似たようなスタイルに近づいたかもしれない(招待客以外でも出席可能、ビュッフェスタイルで自由解散などは特徴的な韓国の結婚式だ)。

しかしながら、結婚は本人同士だけの問題でなく、家庭と家庭が結びつくもの。特に家族の繋がりを重要視する韓国では、結婚準備の際にも日本以上に親の意見が重要視される傾向にある。というのも、結婚の際に新居は新郎側が用意し、家具などは新婦側が用意する(ホンスと言い、所謂嫁入り道具)のが昔からの風習で、かなりの金銭的負担となるため親が金銭的援助することが多いからだ。勿論自力で何とかする韓国人カップルもいるが、親が介入することでより複雑化していく話し合い…またこの際、それぞれがいくら出すのか?といったことも両家できちんと納得のいくように事前に話し合いをしておかなければ、後々揉め事が起きる原因になるので要注意だ。

そのため、結婚相手を選ぶ際、ルックスや学歴、職歴…といったもの以外にも家柄をしっかり見極める必要がある。前述の通り、家族の繋がりが強いため、結婚後の親戚付き合いの頻度や濃度によって、嫁業の大変さがかなり変わってくるからだ。このような煩わしさや出産子育の大変さをデメリットと考え、1人を選ぶ人も増加して深刻な問題となっている。

【ミョヌラギ - わが嫁たちの物語】(全12話)韓国ドラマ紹介© Kakao Entertainment Corp.そんな嫁業の苦労を描いたドラマが、次に紹介する「ミョヌラギ - わが嫁たちの物語」。現代の働く女性が婚家で抱く違和感の数々を笑いを交えて描いた作品だ。
インテリア家具会社に勤務するミン・サリン(パク・ハソン)は夫のグヨン(クォン・ユル)と幸せな新婚生活を送っていた。姑パク・ギドン(ムン・ヒギョン)の誕生日が近づき、早朝から婚家で姑へのお祝いの食事の準備をし、仕事にも行き、夜は家族全員でレストランに集まって食事など慌ただしい一日を過ごす。その後、舅と姑の結婚記念日、祭祀などの行事が続きサリンのストレスが日に日に増していくが…。
またシーズン2では仕事も充実し大事な時期を迎えたサリンの計画になかった妊娠を通して、女性の家庭や社会での立場や現実の厳しさ、ヒロインの成長を描く。
※ミョヌラギ=姑と舅が嫁を呼ぶ時使う呼称。韓国の嫁が婚家の家族に認められたいと思うこととその時期。

各家庭によって程度の差こそあるものの、家族の誕生日や記念日などには、とにかく皆で集まりたがる韓国。また儒教の影響で年長者を敬う風習が日本人以上に根強く残っており、子が親に何かとお小遣い(韓国でプレゼントとして最も喜ばれるのは現金だ)を用意する。うっかりプレゼントを用意しそこねたり、日ごろの電話を忘れてしまったら、後で何て言われるかわからない!?日本人の感覚としては、結婚して独立した息子にここまで頻繁に連絡するなんて…と結婚当初は驚きの連続だった。また幸い筆者が嫁いだ家は祭祀などの行事を厳格に行う訳ではなかったものの、祭祀でしょっちゅう帰省したり、チュソクや旧正月には前日から出向きひたすら料理や皿洗いを手伝う…というハードな嫁業をこなす人も多い。コロナ以降初めての名節を迎え国から「帰省自粛」というお達しが出た際には、全国の嫁が歓喜の涙を流したというおもしろエピソードも。
また、毎年11月頃に行われる一大イベントのキムジャン(1年分のキムチを漬ける作業)でも、以前は親戚中が集まっていたが、近年はコロナの影響や昨今の物価高によって、白菜を買うよりキムチを買った方が安いという逆転現象が起きているため、規模はかなり縮小された模様。伝統行事が縮小するのは寂しい気もするが、戦争のような慌ただしい日々を過ごす韓国人女性にとっては、すこしほっと一息つけるニュースかもしれない。

韓国の独身女性は、日頃から自身の母親を見て育ち、周囲の既婚者の苦労話を嫌というほど聞いてきているので、こんな苦労してまで結婚するメリットが分からないと非婚を貫きキャリア形成にまい進する選択をする場合も増えてきた。
勿論、結婚したから苦労ばかりという訳ではなく、その分日本以上に親からの援助やサポートがあるのは大変有り難いことだ。また現代は多く失われてしまった家族での団らんといった暖かい雰囲気が存在するのは貴重であり、今後も大切にしていきたい文化だ。全国の嫁業を頑張る女性たちは、難しいがうまくバランスを取りながら、息抜きをしながら過ごしてもらいたいと願う。

【パンドラの世界~産後ケアセンター~】(全8話)韓国ドラマLicensed by KBS Media Ltd. (C)2020 KBS. All rights reservedそして、2021年に出生率が0.81と過去最低を記録し、2022年上期には0.75と更に少子化が懸念されている韓国。世界的に晩婚化が進んでいるものの、ここまで出生率が低い韓国の出産・子育て事情を描いたドラマが、「パンドラの世界~産後ケアセンター~」だ。本作品は最年少常務が最高齢妊婦に!?韓国ならではの母子ケア施設“産後ケアセンター”の実態をコミカルに描くドラマだ。日本でも人気ドラマだったため、このドラマを見て韓国ならではの「産後療養院」って実際どんな施設だろうと興味を持った方も多いのではないだろうか?
昨年韓国で出産した筆者による産後療養院の体験談などはコチラで詳しく紹介済だ。

日本以上に少子化が深刻な韓国、出産育児に関しては日本以上に手厚いサポートで、個人的には「韓国で出産して良かった」と思えたものの、それでも出産はやはり女性への負担が大きく、韓国でも非婚主義が増えるなど様々な問題を抱えているのが現状のようだ。

このように、現代の韓国での結婚や出産のリアルな実情を垣間見ることができる3作品をご紹介してきた。文化の差などでびっくりするようなこともあるが、日々様々な問題に直面しつつも奮闘する女性の姿は国は違えど共感できることばかりだ。まもなく迎える年末年始、今度は日本の女性が家族の集まりや嫁業でバタバタ忙しい日々を送る番となるが、これらのドラマに励まされて、少しは気を楽にして心穏やかに新年を迎えられることを願うばかりだ。

なお、「結婚白書」はNetflixで(Netflix(韓国ドラマ・オリジナル)一覧)、「ミョヌラギ」はFODで、「パンドラの世界~産後ケアセンター~」はParaviでそれぞれ配信中だ。年末年始に一気見してはいかがだろう?

kandoratop