【韓ドラコラム】「トッケビ」時代背景②:コン・ユが演じたのはキム・ジュヒョクが演じた武神のキム・ジュン?
2018年早春に日本でのリリースが決定した「トッケビ~君がくれた愛しい日々~」で、主演のコン・ユが演じたキム・シンは高麗の武臣!いったい誰をモデルにしているのか?今回は前回紹介した時代背景①を参考に、モデルとなった実在の人物を探してみたい!予告動画は公式サイトで公開予定。待ちきれない方はYoutubeでも公開している。
「トッケビ~君がくれた愛しい日々~」は、高麗の神の力によって不滅の命を与えられ“トッケビ”になってしまった高麗の英雄が、900年の時を経て、その命を終わらせることができる唯一の存在“トッケビの花嫁”と出会ったことで始まる壮大なファンタジーラブロマンス。
■高麗時代の名武将たち紹介(生年~没年)
高麗時代にどんな武将がいたのか、韓国の教科書に出てきてドラマでもよく描かれる武将たちを調べてみた。
※高麗時代には歴史に名を残した武将がたくさんいる。特に中期の武臣政権下ではここに書ききれないほどの武将がいたが、特に筆者が印象に残った人物に絞った。
ドラマ参照⇒【ドラマの年表:南北国~高麗時代】
<高麗前期>
・王建/ワン・ゴン(877~943)
936年朝鮮半島を再統一し、高麗を建国した太祖。
・朴守卿/パク・スギョン(?-964)
王建の朝鮮半島再統一を助けた将軍。
・姜邯賛/カン・ガムチャン(943-1037)
鴨緑江を渡り侵入してきた契丹の大軍を殲滅した英雄。
・康兆/カン・ジョ(964-1010)
千秋太后と金致陽に反旗を翻しクーデター“康兆の政変”を起こした。
※ここで紹介した人物は「太祖王建」「光宗大王-帝国の朝-」「輝くか、狂うか」「麗<レイ>~花萌ゆる8人の皇子たち」「千秋太后」などに登場する。
<高麗中期>
・李義方/イ・ウィバン(?-1174)
武臣政権を樹立した。
・鄭仲夫/チョン・チュンブ(1106年-1179年)
武臣政権を樹立した。
・崔忠献/チェ・チュンホン(1149-1219)
権力闘争が続く武臣政権を安定させた人物。
・金俊/キム・ジュン(?~1268)
武臣政権を倒して主権を王に返還、将軍としてモンゴルと戦った。
※ここで紹介した人物は「武人時代」「武神」などに登場する。
<高麗後期>
・崔瑩/チェ・ヨン(1316-1388)
倭寇討伐やモンゴル(元)など外敵と戦い百戦百勝の名将。
・李成桂(1335-1408)
崔瑩と共に外敵と戦った名将で、朝鮮王朝開国の祖。
※ここで紹介した人物は※「シンドン」「シンイ-信義-」「龍の涙」「チョン・ドジョン(鄭道傳)」「六龍が飛ぶ」「大風水」、舞台を元(中国)に移した「奇皇后」などに登場する。
■「トッケビ」キム・シンのモデルは金俊!?
キム・シンの人物像を探るうえで手掛かりとなるのはドラマの第1話。
①約900年前の人物。
②戦場で多くの戦いで勝利。敵は外敵、おそらくモンゴル。
③人々から武神と呼ばれた。
④英雄として生きて逆賊として死んだ。
「トッケビ」時代背景①でも、キム・シンを高麗中期の武臣と紹介したが、上の①~④の条件にぴったりハマるのは金俊。つまり、コン・ユが演じたキム・シンのモデルは、金俊だと考えてもいいだろう。(あくまでの筆写の勝手な推測なのであしからず)
■実在した金俊(?~1268)は?
最初の名は金仁俊(キム・インジュン)。父・金允成は崔忠献の奴婢だったため、崔家の奴婢として育った。弓の名手で体力に恵まれた彼は、崔氏武臣政権二代目の崔瑀(チェ・ウ)に認められ、武官に取り立てられた。その後も出世街道を駆け上がり、崔沆(チェ・ハン)の三代目就任の後押しをした功績で、主君の右腕にまで出世。しかし、四代目の崔竩(チェ・ウィ)には疎んじられ、仲間と共に主君を殺し、崔氏による武臣政権を倒して100年ぶりに主権を国王に返還した。
この功により将軍に任命されて衛社功臣に列せられたが、モンゴルの襲来が始まると徹底抗戦を主張。モンゴルに服従しようとする国王を除去しようとしたが、国王側に寝返った部下の林衍(イム・ヨン)たちによって暗殺された。
(C)MBC 2012 All Rights Reserved.■金俊を主人公にした「武神」
金俊をモデルにしたドラマに「武神」がある。主人公のキム・ジュンを演じたのは俳優キム・ジュヒョク(1972年10月3日生)。
1998年にSBS公採タレントとしてデビュー後、ドラマ「カイスト」「プラハの恋人」「ホジュン~伝説の心医~」「応答せよ1988」や映画『ハッピーログイン』『ビューティー・インサイド』『コンフィデンシャル/共助』、バラエティ「1泊2日」など幅広く活躍した。
ちなみに、「トッケビ」の脚本家キム・ウンスク作家は、「プラハの恋人」の作家でもあり、キム・ジュヒョクの演じた主人公の役名を“チェ・サンヒョン”にした。当時キム作家には心惹かれる男性がおり、その彼の名前がチェ・サンヒョン。なんと、キム作家は公共の電波を使って彼にプロポーズしたわけだ。なんともステキなエピソードではないか。
第1話の「人々から武神と呼ばれた」のナレーションは、キム・ウンスク作家からの、本人の知らないところでキューピットの役目をさせたキム・ジュヒョクへの感謝と、史劇ファンへのなぞ解きのサービスかもしれない。
多くの人から愛されたキム・ジュヒョクは、2017年10月30日午後5時頃、ソウル江南区三成洞の道路で車を運転中の心筋梗塞により別の乗用車と追突し、更にマンションの壁に衝突し車両が横転。火災が発生して救助され病院に搬送されたが、亡くなった。直接の死因は頭部挫傷と判明。
2017年10月30日、あまりにも早すぎる死だった。(享年45)
キム・ジュヒョクが現代ドラマで見せた甘い演技や、バラエティでのキュートな笑顔と違った、猛々しい武将になり切った主演作「武神」については、【「武神」を2倍楽しむ】で、時代背景や各話の詳しいあらすじと見どころをまとめているので参考にされたい。
【「トッケビ」を2倍楽しむ】では、今後も本作の見どころや、時代背景、インタビュー、各話のあらすじ、キャストの魅力や豆知識をまとめていくのでお楽しみに。
◇「トッケビ」公式サイト
◇Youtube|Mnet「トッケビ」予告動画
【作品詳細】【「トッケビ」を2倍楽しむ】
※参考資料:『韓国の教科書に出てくる人物コリア史』1、『同』2、『韓国の歴史』ほか。
■Amazonで「トッケビ」関連を探す■