クリント・イーストウッドが監督、主演した西部劇｡というと、かつての勧善懲悪、ガンマンたちの華やかな銃撃を思い浮かべるが、この作品は少し異なっている。
かつて悪の限りを尽くした老ガンマンたちは自らの悪業を反省し、無法者を叩きのめす保安官は悪漢たちよりも恐れ嫌われる。
なぜ人々は銃を撃ち、なぜ殺し合うのか。そんな疑問を抱いた者は、この荒野では生き残っていけないのかもしれない。

19世紀後半のアメリカ・ワイオミング。
列車強盗や殺人でその名を知られたウィリアム・マニー（クリント・イーストウッド）は、いまや銃を捨てて２人の子供と農場を営みながら静かに暮らしていた。しかし、妻には先立たれ、農場の仕事もうまくいかない。
ある日、若いガンマンが訪ねてきて、マニーを賞金稼ぎに誘い出す。マニーは、かつての相棒ローガン（モーガン・フリーマン）を伴い、町に向かった。
その町は、保安官のリトル・ビル（ジーン・ハックマン）が力づくで治めていたのだが……。

冷酷非情な保安官のジーン・ハックマン、そしてマニーの相棒役のモーガン・フリーマンが実に良い。
モーガン・フリーマンとのコンビのせいか、ついつい後年の『ミリオンダラー・ベイビー』を思い浮かべてしまった。いずれも、老境に達した男たちの過去との訣別がテーマなのかもしれない。
1992年度アカデミー賞最優秀作品賞、監督賞、助演男優賞（ジーン・ハックマン）、編集賞を受賞している。